看護用語辞典 ナースpedia キーワード:貧血

貧血とは・・・

最終更新日 2018/02/21

貧血(ひんけつ、anemia)とは、血液中のヘモグロビン濃度が低下した状態のことである。末梢に酸素を運搬できるのはヘモグロビンのみであり、貧血になると低酸素による臓器や組織の機能障害が問題となる。

【原因】
貧血の原因は、(1)赤血球産生障害(鉄などの造血の素材の不足、薬剤や免疫異常による造血抑制、腎性貧血ではエリスロポエチンの不足)、(2)赤血球破壊の亢進溶血)、(3)赤血球の喪失(出血)のいずれかである。

【臨床所見】
自覚症状としては、倦怠感・易疲労感、めまい・立ちくらみ、頭痛、眠気・集中力の低下など低酸素によるものと、低酸素を代償するために生じる頻脈動悸息切れなどがある。他覚所見としては、皮膚および結膜の蒼白、心雑音(収縮期駆出性雑音)などがある。貧血が慢性的に進行している場合には、症状が自覚されにくい。

【検査所見】
血液一般検査でのヘモグロビン値により診断する。成人男性では13g/dL未満、成人女性と小児では12g/dL未満、高齢者では11g/dL未満を貧血とする。
貧血の原因の鑑別にはMCV(赤血球平均容積、ヘマトクリット値(%)÷赤血球数(×104/μL)×1000)が重要である。
MCVが正常の場合は正球性貧血、低値の場合は小球性貧血、高値の場合は大球性貧血と呼ばれる。さらに、網状赤血球数・白血球数血小板数も貧血の原因を探る重要な手掛かりになる。

【鑑別診断】
小球性貧血では鉄欠乏性貧血、大球性貧血では巨赤芽球性貧血(ビタミンB12または葉酸欠乏による)や骨髄異形成症候群、正球性貧血では溶血性貧血再生不良性貧血、腎性貧血が代表的な疾患である。溶血性貧血では網状赤血球の増加がみられる。再生不良性貧血や骨髄異形成症候群では白血球数や血小板数が低下している。血液生化学検査では、溶血性貧血でLDH(乳酸脱水素酵素)および非抱合型ビリルビンの高値、腎性貧血では尿素窒素およびクレアチニンの高値がみられる。MCV値や一般的な検査である程度鑑別を行ってから、詳細な検査(血清鉄・総鉄結合能・フェリチン、ビタミンB12・葉酸、エリスロポエチン等の測定、赤血球抗体検査、骨髄穿刺など)を必要に応じ追加する。
検査値とともに問診から重要な手がかりが得られることも多い。鉄欠乏性貧血における月経過多や黒色便(性器や消化管からの慢性的な出血)、巨赤芽球性貧血における切除やアルコール多飲(ビタミンB12欠乏)などの病歴に注意する。

【治療】
貧血の原因によって治療法が異なる。造血の素材やエリスロポエチンの不足が原因であればその補充が優先される。貧血の進行により臓器障害が懸念される場合(おおむねヘモグロビン7g/dL以下、慢性貧血の場合は6g/dL以下)には赤血球輸血が考慮される。

執筆

梶原道子

東京医科歯科大学医学部附属病院  輸血・細胞治療センター 副センター長/講師

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