血漿交換(PE)|ICUでの血液浄化療法
『ICU看護実践マニュアル』(サイオ出版)より転載。
今回は、「血漿交換(PE)」について解説します。
上原真弓
市立青梅総合医療センター 集中治療室 看護師
平野智裕
市立青梅総合医療センター 臨床工学技士
桑林充郷
市立青梅総合医療センター 臨床工学技士
血漿交換(PE)とは
血漿交換とは、血漿中に存在する病因関連物質や病態を悪化させていると考えられている物質を除去することで、病態を改善させる方法のことである。
新鮮凍結血漿(FFP)やアルブミン製剤を補充液とすることで、凝固因子などを補充することもできる(図1参照)。
図1血漿交換の回路のしくみ

血漿交換(PE)の適応となる疾患
主に免疫異常を伴う人
- 活動性のある膠原病であり、ステロイドや免疫抑制剤の効果がないか、効果出現まで待てない場合:全身性エリテマトーデス、悪性関節リウマチ、顕微鏡的多発性血管炎、強皮症、抗リン脂質抗体症候群など
- 神経・筋疾患:慢性炎症性脱随性多発神経炎、多発性硬化症、重症筋無力症、多発性筋炎・皮膚筋炎など
- 産科疾患:母児血液不適合による胎児溶血性疾患など
凝固因子の補充が必要な人
いずれの場合も適応および治療効果判定が必要となる。
目次に戻る
血漿交換(PE)の実際
必要物品▶
- 医師からオーダーされた必要単位数の FFP輸血または 5 %アルブミン製剤、血漿交換に必要な輸液
手順▶
1オーダーされた必要単位数の FFP 輸血は当日受領し、5%アルブミン製剤は、前日に検査科に連絡して受領する。
2受領した、輸血と必要な点滴(ラクテック輸液など)を準備する。治療開始前までに臨床工学技士へ届ける。
3開始時間になったら、事前にバイタルサイン測定をする。施行前の、バイタイルサインを確認する。
4開始後は、PE 開始時の副作用症状の出現の有無に留意しながら観察を行い、異常時は早期に臨床工学技士ならびに、主治医に連絡する必要がある。
注意する合併症▶
- 体外循環や血漿を除去・補充したことが原因で血圧低下、ショック、悪心・嘔吐、頭痛、不整脈、感染症、出血、しびれなどがみられる。
- とくに FFP 使用時は保存バッグ内のクエン酸ナトリウムのため血中カルシウム減少に伴うしびれや嘔吐がみられることがあるため、HD を併用してクエン酸の除去を行い、FFP の副作用を軽減している。またカルシウムも HD で補正される。
目次に戻る
1)倉島直樹・岡晃司:書き込んでオリジナルのノートが作れる!機器と看護のポイントまるわかり IABP・PCPS・CHDF マスターノート,HEART nursing,2015,28( 2 ):42~58
本連載は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『ICU看護実践マニュアル』 監修/肥留川賢一 編著/剱持 雄二 サイオ出版


