看護用語辞典 ナースpedia キーワード:嘔吐

嘔吐とは・・・

嘔吐(おうと)とは、の内容物が食道を経て口から吐き出されることを指す。嘔気を伴うことが多い。異物・毒物を吐き出す生体の防御反応であるが、疾患が原因の嘔吐もあり、生命に関わる危険信号の場合もある。

■嘔吐のメカニズム
延髄の網様体にある「嘔吐中枢」が刺激されて起こる。嘔吐中枢からの命令により、胃の出口が閉まり、食道と胃の入り口が緩み、逆流運動が生じる。横隔膜や腹部の筋肉が収縮し、腹部の圧力が高くなって、胃を圧迫。胃の内容物が食道を通過し、口から吐き出される。直接的な嘔吐神経への刺激によって生じる中枢性嘔吐と求心性神経(迷走神経交感神経など)を介して嘔吐中枢が刺激され生じる反射性嘔吐がある。

【中枢性嘔吐】
・物理的要因:脳圧亢進脳腫瘍脳出血・くも膜下出血髄膜炎)など
・迷路・前庭・小脳からの刺激:メニエール病、乗り物酔いなど
大脳皮質からの精神的刺激:不安・嫌悪感などの感情、ヒステリー、鬱病など
・化学的刺激受容体(CTZ)からの刺激:薬物(モルヒネ・アルコール・抗癌剤)、代謝・内分泌異常(糖尿病性ケトアシドーシス尿毒症肝不全)、感染症など

【反射性嘔吐】
消化管・肝臓・胆道・膵臓・腎臓・生殖器の疾患など

■嘔吐後の対処法
①姿勢
誤嚥(ごえん:食物が誤って気管に入ること。窒息死することがある)を避けるため横向きになる。膝を深く曲げ、深呼吸をし、気分を楽にする。仰向けにならざるを得ない場合は顔を横向きにする。胃の運動を抑えるために、氷嚢などで胃と頭を冷やす。目を閉じて、安静にする。動く場合はゆっくりと。心理的な補助のため、身近な人が手を触れる、背中をさする、声を掛けるなどして、不安を取り除くとよい。なお、胃に食物が残っている場合は吐き切る方が良い場合もある。
②再嘔吐の予防
口の中の臭いで嘔吐が誘発されることがあるので、冷水・炭酸水・レモン水・番茶・塩水などで口をすすぐ。吐しゃ物も速やかに片付ける。ウイルスによる嘔吐の場合はウイルス感染の可能性があるので、片付ける際は手袋とマスクを使用する。
脱水症状電解質異常の予防
嘔吐後は、水分だけでなく、電解質(カリウム・ナトリウム・塩素など)も体外に排出されてしまう。水分や電解質が多量に失われると、脱力感・倦怠感・手足のしびれなどの電解質異常や口の渇き・皮膚の乾燥・尿量の減少・体重の減少などの脱水症状が現れる。重症になると、衰弱・意識障害を引き起こす。
嘔吐後は水分補給する。ただし、嘔気が強いときはしばらく何も飲まず、胃を空にする方がよい。食事がとれそうであれば、食べられそうなものから少量ずつ食べる。食後は30分程度、安静にする。食事は刺激の少ないもの、消化によいもの、電解質を多く含むもの、あっさりとした冷たいもの、食べやすい流動的なものにするとよい。食事の度に嘔吐する場合は1~2食、控える。

■日常生活における嘔気・嘔吐の原因
①暴飲暴食
過度のアルコールは体内でのアセトアルデヒドの分解が間に合わず、嘔気・嘔吐が起こる。また過度の食事量でも嘔気・嘔吐が生じる。
②乗り物酔い
乗り物に乗ると、上下左右の揺れやカーブ・回転・速度などの変化を内耳の気管が感じて脳に伝えている。これを異常な刺激と感じる場合があり、自律神経のバランスが崩れ、嘔気・嘔吐・冷や汗・頭痛・めまいなどが生じる。
③ストレス
ストレスにより自律神経のバランスが乱れ、胃腸の正常な働きが阻害されると、胃の粘膜が刺激され、嘔気・嘔吐が生じる。
④食中毒・異物の誤飲
腐った食品・毒性のある食品を食べると、胃の痛みとともに嘔気・嘔吐を起こす。また異物が喉に詰まると、生体の防御反応で嘔気・嘔吐が起こる。
妊娠
妊娠初期に起こるつわりは多くの妊婦が経験する。6~8週間程度、継続する。つわりの原因はホルモンバランスの変化や心理状態が影響していると考えられている。

■日常生活における嘔気・嘔吐の予防
①飲食
暴飲暴食を避け、胃に負担をかけない。消化の良いものを食べる。アルコールは適量にし、ゆっくり飲む。空腹状態でアルコールを摂取すると、血中アルコール濃度が高くなり、嘔気・嘔吐を起こしやすくなる。また食物の鮮度にも気を付ける。気温・湿度の高い時期の食品は冷蔵庫で保存し、調理器具も清潔に保つ。
②乗り物
乗り物を利用する場合は、睡眠を十分にとり、体調を整えておく。揺れの少ない場所に乗り、安静にする。新鮮な空気に触れたり、遠くの景色を見たりすると酔いにくくなる。
③ストレス
日々のストレスが身体に負担をかけ、嘔気・嘔吐の原因となることがある。自分に適したストレス解消法を持ち、ストレスと上手に付き合う。

このエントリーをはてなブックマークに追加


ナースpediaのTOPへ戻る

関連記事

いちおし記事

看護師の結婚の悩みは?

結婚式の招待客は…?旦那さんが動いてくれない…をマンガにしました。 [ 記事を読む ]

熱中症の起こり方

熱中症の病態と対応をまとめました [ 記事を読む ]

人気トピック

もっと見る

看護師みんなのアンケート

ナースシューズを手入れする頻度は?

投票数:
580
実施期間:
2017年06月09日 2017年06月30日

どのくらいの頻度で映画館に行く?

投票数:
555
実施期間:
2017年06月13日 2017年07月04日

「これが欲しい!」切実に思う“力”は?

投票数:
876
実施期間:
2017年06月16日 2017年07月07日

夜勤明けの天気、どっちが好き?

投票数:
492
実施期間:
2017年06月20日 2017年07月11日

大人気医療ドラマ「コード・ブルー」見る?

投票数:
482
実施期間:
2017年06月23日 2017年07月14日

休憩中の食事、どうしてる?

投票数:
391
実施期間:
2017年06月27日 2017年07月18日
もっと見る

今日の看護クイズ 挑戦者3370

67歳女性のAさん。朝になっても起きてこないので、家族が様子を見に行くと、いつもと様子が違うのに気付き、自家用車で救急外来を受診しました。Aさんは目を閉じていますが、大きな声で呼びかけると開眼します。こちらからの質問に答えはありませんが、ぶつぶつと独り言を話しています。「手を握ってもらえますか?」などの命令に応じることはできませんが、痛み刺激を与えると、左手で払いのける動作を示します。グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)を使って、Aさんの意識レベルを評価してください。

  • 1.E2 V4 M6 合計12
  • 2.E3 V3 M5 合計11
  • 3.E3 V1 M5 合計9
  • 4.E3 V3 M1 合計7
今日のクイズに挑戦!