最終更新日 2018/01/16

全身性エリテマトーデス

全身性エリテマトーデスとは・・・

全身性エリテマトーデス(ぜんしんせいえりてまとーです、Systemic lupus erythematosus;SLE)は若年女性に好発し、全身性炎症性病変を特徴とする自己免疫疾患である。厚生労働省の特定疾患(難病)にも指定されている。

【原因】
原因は、遺伝的素因を背景として、感染・性ホルモン紫外線・薬物などの環境因子が加わって発症する。自己抗体(特に抗DNA抗体)が過剰に産生され、抗原であるDNAと結合して免疫複合体が形成され、免疫複合体が組織に沈着して補体系の活性化などを介して炎症が惹起される。

【症状】
症状は多岐にわたり、全身倦怠感・易疲労感・発熱などの全身症状以外にも、各臓器にさまざまな症状を呈する。蝶形紅斑やディスコイド疹などの皮膚粘膜症状、骨破壊を伴わない関節炎、ループス腎炎、中枢神経ループス、間質性肺炎、肺胞出血、肺高血圧、心膜炎、胸膜炎、溶血性貧血などがよく知られている。

【治療】
治療には、重症臓器障害がなければ非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)や少量の副腎皮質ステロイドを用いる。生命の危機や重篤な臓器障害がある場合にはステロイド大量療法(ステロイドパルス療法)と免疫抑制剤による寛解導入療法が行われる。臓器障害がないか極めて軽い状態(寛解)となれば投与量を減らした維持療法に移行し継続する。

【予後】
予後については、寛解と増悪を繰り返して慢性の経過をたどることが多い。早期診断・早期治療が可能となった現在では、予後が著しく改善しており、5年生存率は95%以上である。予後を左右する病態としては、ループス腎炎、中枢神経ループス、抗リン脂質抗体症候群、間質性肺炎、肺胞出血、肺高血圧症などが挙げられる。

執筆: 井上 彰

明石医療センター 救急科医長

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