最終更新日 2018/02/21

誤嚥

誤嚥とは・・・

誤嚥(ごえん、pulmonary aspiration)とは、飲み込んだ飲食物や異物などが誤って気管に入ってしまうことを指す。

誤嚥の原因として、動きに問題がある機能的障害と構造上の問題がある器質的障害があるが、健常人でも起こり得る。
・機能的障害:血管障害、パーキンソン病などの神経変性疾患、筋ジストロフィー、加齢に伴う機能低下など
・器質的障害:口腔咽頭食道の悪性疾患や炎症性疾患、外傷、術後など

誤嚥により、窒息、気道閉塞による低酸素血症、細菌感染による誤嚥性肺炎、胃液や化学物質による化学性肺炎などが発生する可能性がある。

特に窒息は、数分で死に至る、もしくは低酸素脳症が発症するため、可及的速やかに気道内の物質を除去する必要がある。細菌感染による誤嚥性肺炎は一般的に抗生剤による治療を行う。化学性肺炎に対する特異的治療はない。誤嚥性肺炎や化学性肺炎を契機に急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome;ARDS)となり、重症化する場合がある。

【評価とリハビリテーション】
嚥下機能の低下に伴う誤嚥は繰り返すため、嚥下機能評価とリハビリテーションを行い、予防を図る。

評価には問診、身体診察に加えて嚥下テスト(改訂水飲みテスト、フードテスト、頸部聴診法)、嚥下造影、嚥下内視鏡などがある。

リハビリテーションには、嚥下機能そのものを改善させる治療的介入に加えて、残存機能を活かして姿勢や摂取方法を調整する代償的介入、患者を取り巻く環境を改善する環境改善的介入、さらに精神面の問題に対応する心理的介入などが含まれる。治療的介入には基礎訓練(間接訓練)、摂食訓練(直接訓練)がある。

執筆: 瀬尾龍太郎

神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター医長

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