最終更新日 2018/07/24

マイコプラズマ

マイコプラズマとは・・・

マイコプラズマ(まいこぷらずま、mycoplasma)とは、細胞壁を持たない一般細菌よりも小さい微生物である。

 

マイコプラズマ感染症の症状

マイコプラズマ感染症において肺炎は感染者の約3~5%に起こり、残りは気管支炎、上気道炎、不顕性感染となる。

 

潜伏期間は2~3週間で、初発症状は発熱・倦怠感頭痛等である。咳嗽は初発症状出現後3~5日で始まることが多く、乾性咳嗽から始まり解熱後も長引くことが多い(3~4週間)。小児においては乾性咳嗽から始まっても後に湿性咳嗽となることもあり、湿性咳嗽だからといってマイコプラズマ肺炎は否定できない。
その他、汁(特に幼児期)や嗄声、耳痛、咽頭痛、消化器症状、胸痛が25%で見られ、皮疹は報告により差があるが6~17%に見られる。喘息様気管支炎を呈することが多く、急性期には40%で喘鳴が認められ、胸水貯留をきたすこともある。

 

呼吸器以外の症状の合併は小児に多いとされており、髄膜炎炎・中枢神経症状・スティーブンス・ジョンソン症候群・多形滲出性紅斑・皮膚病変・血小板減少性紫斑病貧血関節炎・中耳炎・心膜炎などがある。肝機能障害は成人例に多いとされている。

 

マイコプラズマ肺炎の検査と診断

マイコプラズマ肺炎はクラミジア等と同様、一般的な細菌とはタイプの異なる微生物などで起こる非定型肺炎に分類される。

 

非定型肺炎との判断基準としては、下記の(1)~(5)の5項目で3つ以上、(1)~(6)の6項目で4つ以上に合致した場合に疑う。マイコプラズマ肺炎における感度は85%以上であり、有用な指標である。
(1)年齢60歳未満
(2)基礎疾患がない、あるいは軽微
(3)頑固な咳嗽
(4)胸部聴診所見が乏しい
(5)痰がない、あるいは、迅速診断法で原因菌が証明されない
(6)WBC(末梢血白血球数)<10,000 /μL

 

検査としてはPPLO寒天培地による培養やPCRがあるが、最近はLAMP法が用いられることが多い。また血清診断も広く用いられている。

 

画像診断

X線画像においては非常に多彩な陰影を示すため、細菌性肺炎との鑑別は困難であるといわれている。CT画像では気管支壁およびその周囲の肺間質に炎症が起こり、気管支と併走している肺動脈周囲間質の肥厚像所見がみられる。通常、線毛を有する気管支に感染を起こすため、中枢優位の陰影となりやすい。また、免疫反応による間接障害も起こした際には大葉性肺炎に似た像をとることがある。

 

治療

基本的には肺炎に至っていなければ治療は不要なことが多い。
通常、マクロライド系抗菌薬が第一選択で、第二選択としてはテトラサイクリン系が推奨されている。しかし、テトラサイクリン系は8歳未満の小児については歯牙黄染のリスクがあり、投与は推奨されていない。その他、キノロン系も有効であるとされているが、過剰カバーになること、抗結核活性も有することから肺炎に対する安易な使用は避けるべきと考えられている。

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