抜管後、哺乳開始時の注意点は?|小児の人工呼吸管理

『人工呼吸ケアのすべてがわかる本』より転載。

 

今回は「抜管後、哺乳開始時の注意点」に関するQ&Aです。

 

三浦規雅
東京都立小児総合医療センターPICU主任

 

抜管後、哺乳開始時の注意点は?

 

呼吸状態が安定し、誤嚥のリスクが低下したら、少量から開始します。無理に進めず、経管栄養と並行して徐々に進めていきます。

 

〈目次〉

 

経口・経管栄養の開始

経口・経管栄養開始の明確な基準はない。抜管後の呼吸状態、挿管期間などから総合的に判断される(表1)。

 

表1経口・経管栄養開始判断基準の一例

 

呼吸回数 年齢相応である
呼吸状態 努力呼吸の徴候がない
分泌物 過剰ではない
胸部単純X線 抜管後増悪がない
中枢神経 十分に覚醒している、吸啜反射がある、嚥下反射がある、咳嗽反射がある、哺乳意欲がある
消化器症状 腸蠕動が確認できる、悪心がない

 

再挿管や再手術の可能性が低く、呼吸状態が安定しており、誤嚥の可能性が低く、哺乳意欲があれば、経口哺乳を開始する。

 

呼吸状態が安定していても、誤嚥の恐れがある場合、哺乳意欲がない場合には、経管栄養から開始する。

 

哺乳開始時の注意点

経口哺乳開始時は、誤嚥に備えて白湯や糖水を少量から開始することが望ましいが、ミルク以外好まない児もいる。

 

乳児では、乳首の形状や穴の大きさによって、哺乳が上手にできなかったり、むせ込んだりする場合がある。家族から情報を得て、児に適した乳首を選択する。

 

基礎疾患や、長期挿管による廃用のために、上手に吸啜できなかったり、易疲労性がある場合には、無理に経口哺乳を進めず、経管栄養と並行して徐々に進める必要がある。

 

長期の経静脈栄養からの経口・経管栄養に切り替えた場合、低血糖症状に注意する(表2表3)。

 

表2新生児、乳児期の低血糖症状

 

新生児、乳児期の低血糖症状

 

表3幼児期以降の低血糖の症状

 

血糖値(mg/dL) 症状
60 副交感神経期:空腹感、悪心、あくび
50 機能減退期:無気力、だるさ、あくび、会話の停滞、計算力減衰
40 交感神経期:血圧上昇、発汗、頻脈、上腹部痛、ふるえ、顔面蒼白、紅潮
30 低血糖昏睡前期:意識消失、異常行動
20 低血糖昏睡期:けいれん、深い昏睡

 


[文献]

  • (1)日本集中治療医学会ICU機能評価委員会:人工呼吸関連肺炎予防バンドル2010改訂版.http://www.jsicm.org/pdf/2010VAP.pdf(2014年11月18日閲覧)
  • (2)中川聡:小児の人工呼吸からのウィーニング.ICUとCCU2005;30:11-15
  • (3)谷昌憲他:小児呼吸不全患者の管理.急性・重症患者ケア2012;1:214.
  • (4)宮坂勝之訳編:日本版PALSスタディガイド.エルゼビア・ジャパン,東京,2008:120-121.
  • (5)志馬信朗,橋本悟,問田千晶:小児ICUマニュアル改訂第6版.永井書店,大阪,2012:79.
  • (6)木原秀樹:呼吸理学療法.救急・集中治療2010;22:339.
  • (7)久保実:低血糖.小児科臨床2000;53:2217-2223.
  • (8)Lucas da Silva PS, de Carvalho WB. Unplanned extubation in pediatric critically ill patients: a systematic review and best practice recommendations. Pediatr Crit Care Med 2010; 11: 287-294.
  • (9)六車崇:人工呼吸器からのウィーニング.救急・集中治療2010;22:411-416.
  • (10)植田育也編:小児の呼吸管理Q&A.救急・集中治療2010;22:297-305.

 


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新人工呼吸ケアのすべてがわかる本』 (編集)道又元裕/2016年1月刊行/ 照林社

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