下肢の血圧測定の手順&コツ|いまさら聞けない!ナースの常識【30】

下肢の血圧測定の手順&コツ|いまさら聞けない!ナースの常識【30】

下肢の血圧測定は、

 

● 上肢に麻痺や外傷がある

● シャントが挿入されている/点滴をしている

 

…など、上肢での血圧測定が難しい場合に行います。

この記事では、主に電子血圧計での下肢の血圧測定の手順とコツ、注意点について解説します。

監修:中嶋ひとみ
(新東京病院 看護部、集中ケア認定看護師

 

下肢の血圧測定の手順&コツ

下肢の血圧測定の手順&コツ 1 血圧測定の準備をする 2 患者さんの体位を整える 3 測定部位を決める 4 マンシェットを巻く 5 測定する 6 測定を終了する

電子血圧計での下肢の血圧測定の手順を、1つずつ説明していきます。

 

測定するときのコツも一緒に見ていきましょう!

 

1 血圧測定の準備をする

電子血圧計・アルコール綿・バスタオルを用意。聴診法では聴診器も準備する

電子血圧計・アルコール綿・バスタオルを用意します。

 

血圧測定では、適切なマンシェットの幅を選ぶのが大切です。成人の大腿では幅18cm、足首では幅14cm(上腕用と同じ)が目安になります。

 

マンシェットの幅が狭いと血圧は高値になり、幅が広いと低値になる傾向があるため、患者さんの体重・体格も考慮しながら選びましょう。

 

 

2 患者さんの体位を整える

足首で測定する場合、患者さんに仰臥位になってもらいます。足が真っすぐのままだと、マンシェットが巻きにくく測りづらいため、少しだけガニ股を意識してもらうと良いでしょう

足首で測定する場合、患者さんに仰臥位になってもらいます。足が真っすぐのままだと、マンシェットが巻きにくく測りづらいため、少しだけガニ股を意識してもらうと良いでしょう。

 

大腿で測定する場合、仰臥位・腹臥位のどちらでもOKです。仰臥位のときは、足首で測定する場合と同じ体勢で、腹臥位の場合でも、足が真っすぐのままでは測定しづらいため、軽く足を開いてもらいましょう。

ただ、患者さんの中には、体位制限があったり、点滴などのルート類が挿入されたりしていて、大きく体位変更を伴う腹臥位になるのは難しいケースも多いです。

 

体位制限やルートなどがあっても、比較的測りやすい仰臥位(足首)で測定するのがオススメです。

 

また、高齢患者さんは体勢を変えるだけで痛みや不快感を感じることもあります。声をかけたり、クッションなどを活用したりして体位を調整してください。衣服がはだけることもあるので、患者さんの羞恥心に配慮してバスタオルをかけましょう。

 

ワンポイントアドバイス

血圧を正確に測るためには、心臓から下肢までが同じ高さになるように調整しましょう。
どうしても心臓と同じ高さにできないときは、ファウラー位で測定することも。

ファウラー位では、座位で下肢の血圧を測るのと同じく高めの値が出るため、注意が必要です。
側臥位では、正確に血圧を測定できないため(下方の値が高い/上方の値が低い)、避けましょう。

 

 

3 測定部位を決める

足首で測定する場合は、後脛骨動脈/足背動脈、大腿で測定する場合は、膝窩動脈を選定します。

足首で測定する場合は、後脛骨動脈/足背動脈、大腿で測定する場合は、膝窩動脈を選定します。示指・中指・薬指を揃え、寝かせた状態で軽く動脈に当て、動脈を触知しましょう。

 

測定部位を決めるときは「後脛骨動脈」から触知してみるのがオススメです。動脈が触知しやすく、足首にマンシェットを巻きやすい位置だからです。

 

浮腫で触知しにくい場合は、足背~足首のあたりをギュギュッとマッサージすると、血管が触知しやすくなることもあります。

 

ワンポイントアドバイス

膝窩動脈は、患者さんによっては脂肪や筋肉で埋もれてしまい触知しづらく、血圧を測りづらいことがあります。また、腹臥位で測定する場合だと患者さんの負担が大きくなってしまいます。足首で測れない場合に、膝窩動脈を選択するようにしましょう。

 

▼聴診法で測るときは?

足背はアーチ状になっているため、聴診法では聴診器を当てづらく、音が聞こえにくいことがあります。

聴診器がグラグラする・うまく音が聞こえないときは、足背動脈ではなく後脛骨動脈でトライしてみましょう。

 

 

4 マンシェットを巻く

マンシェットは、 ・関節から2~3cm上 ・マンシェットのゴム嚢が動脈の真上 ・マンシェットと下肢の間に指が2本入るくらいの強さ になるように巻きます。

マンシェットは、

 

● 関節から2~3cm上
● マンシェットのゴム嚢が動脈の真上
● マンシェットと下肢の間に指が2本入るくらいの強さ

 

になるように巻きます。

 

マンシェットが関節にかぶっていると、うまくゴム嚢が血管に当たらなくなるので注意しましょう。

 

ワンポイントアドバイス

患者さんによっては、浮腫によって皮膚が傷つきやすい・疾患によって内出血しやすい特徴があることも。摩擦で皮膚を傷つけたり、強く巻きすぎて内出血させたりしないように、丁寧にマンシェットを巻きましょう。

 

 

5 測定する

動脈を触知しながら加圧し、脈拍が触れなくなったら、さらに30mmHgほどプラスで加圧します。

動脈を触知しながら加圧し、脈拍が触れなくなったら、さらに30mmHgほどプラスで加圧します。加圧で痛みや不快感を感じる患者さんもいるので、「足をギュッと締めていきますね」など、圧をかける前に声をかけましょう。

 

加圧できたら、動脈を触知したまま減圧し、収縮期血圧(拍動が触れ始めたときの圧)・拡張期血圧(拍動が弱くなり始めたときの圧)を確認します。

 

触知した値と電子血圧計での値に差異があるときは、聴診法でも改めて確認しましょう。

 

ワンポイントアドバイス

加圧したときに過度に痛みを感じる場合は、血管狭窄を起こしている可能性があります。下肢の見た目の色・冷感・痛みやしびれ・阻血要因がないかを確認しましょう。

 

▼聴診法で測るときは?

聴診法の場合、脈拍1拍につき1目盛りの速度を目安に減圧しましょう。

聴診法では、最初にコロトコフ音が聞こえたところ=収縮期血圧、コロトコフ音が聞こえなくなったところ=拡張期血圧となります。減圧のスピードが早すぎると、どの目盛りでコロトコフ音が聞こえ始めたのかわからなくなってしまいます

聴診法の場合、脈拍1拍につき1目盛りの速度を目安に減圧しましょう。

また、聴診器を強く当てすぎたり浮いていたりすると、うまくコロトコフ音を聞き取れないので注意しましょう。

 

 

6 測定を終了する

マンシェットを外し、測定値を患者さんに伝えます。使用後の血圧計は、アルコール綿で拭きましょう。
 

マンシェットを外し、測定値を患者さんに伝えます。使用後の血圧計は、アルコール綿で拭きましょう。

 

衣服・体位・布団を整え、「不快なところはないですか?」など確認し、退室します。

 

【下肢の血圧測定】あるあるQ&A

下肢で血圧測定をする際、よくある疑問と解決法・注意点を紹介します。

 

1 下肢の血圧測定での値の見方って?アセスメントの仕方って?

下肢で血圧測定をする場合、まず覚えておきたいのは「下肢の血圧は、上肢よりも10%ほど高い値が出る」こと。上肢よりも心臓との距離が遠いため、血液を押し戻すための力が強くなるためです。    下肢の血圧が高めに出ることを考慮しても、普段の下肢の血圧と比べて「血圧が高いかも?」「逆に低いような気がする」というときは、体位・測定のタイミング(運動後すぐでないかなど)・マンシェットの幅や巻き方が正しいかなどをチェックし、再測定してみましょう。

「下肢で血圧測定したものの、どうアセスメントすれば…」と思うこと、ありますよね。

 

下肢で血圧測定をする場合、まず覚えておきたいのは「下肢の血圧は、上肢よりも10%ほど高い値が出る」こと。上肢よりも心臓との距離が遠く、血液を押し戻すための力が強くなるためです。

 

下肢の血圧が高めに出ることを考慮しても、普段の下肢の血圧と比べて「血圧が高いかも?」「逆に低いような気がする」というときは、体位・測定のタイミング(運動後すぐでないかなど)・マンシェットの幅や巻き方が正しいかなどをチェックし、再測定してみましょう。
 

ワンポイントアドバイス

電子血圧計で測定するときに「方法は正しいのに測定値がうまく出ない」「加圧し続けてエラー表示が出る」などの場合は、下記の可能性が考えられます。


● 脈拍が不安定、不整脈が出ている
● 血圧が低すぎる

 

どちらも脈拍や血圧を正常に感知できていないことが原因です。全身状態を確認し、急な状態変化や血圧変動が疑われる場合は、速やかに対応・報告しましょう。

 

 

2 聴診法で測定したいけど、うまく音が聞こえない!

聴診法で下肢の血圧を測定する際、よくあるのが「うまくコロトコフ音が聞こえなくて、血圧が測れない…」というお悩み。

コロトコフ音が聞こえない場合は、2つの理由が考えられます。

 

聴診法で音が聞こえない理由

① 脈拍触知のとき、拍動をしっかり確認できていないまま聴診器を当てている
② 聴診器が正しく動脈に当てられていない

 

①脈拍触知のとき、拍動をしっかり確認できていないまま聴診器を当てている場合は、触知したい動脈の走行を解剖生理の参考書などで確認しながら触れてみましょう。

血管の走行には個人差がありますが、参考書の走行に沿って徐々に触知する範囲を広げていくことで、拍動をしっかりと感じられる場所がわかるようになっていきます。

 

②聴診器が正しく動脈に当てられていない場合は、身体に押し付けすぎている/浮いている/マンシェットにこすれている…などが考えられます。

聴診器は、指2本で聴診器を挟み、身体に対して「面」で当てるようにすると、コロトコフ音がクリアに聞こえるようになります。


聴診器は、指2本で聴診器を挟み、身体に対して「面」で当てるようにすると、コロトコフ音がクリアに聞こえるようになります。

 

 

3 脈拍に左右差があるような気がする…どう対応したらいい?

「左右を比べると、脈拍に差があるかも…」と感じたときは、注意が必要です。

 

文献によっても違いがありますが、脈拍が微弱・触れないときや、左右の血圧の値に15~20mmHg以上の差があるときは、血管狭窄を起こしている可能性があります。


 

左右差がある場合は、下肢の見た目の色・冷感・痛みやしびれ・阻血要因がないかを確認したうえで、先輩看護師や医師に報告してください。

 

このとき考えられる疾患は、閉塞性動脈硬化症や大動脈解離です。閉塞性動脈硬化症の場合は動脈硬化による血流が低下して低血圧が、大動脈解離では多くの場合で高血圧がみられます。

 

患者さんの既往歴や全身状態、治療による影響なども考えられるため、よく確認しましょう。
左右差がある場合は、下肢の見た目の色・冷感・痛みやしびれ・阻血要因がないかを確認し、先輩看護師や医師に報告

編集:看護roo!編集部 小園知恵(看護師)

 

監修

新東京病院看護部、集中ケア認定看護師。日本クリティカルケア看護学会、日本集中治療医学会所属。看護関連書籍の執筆をはじめ、急性期看護ケア、せん妄ケア、集中治療後症候群(PICS)予防に特に注力している。

※編集部注※

・当記事は、2014年7月15日に公開した『血圧測定Q&A |いまさら聞けない!ナースの常識【30】』という記事を、2023年4月27日に修正・加筆したものです。

・当記事は、2023年4月27日に公開した時点で、一部、不適切な表現があり、 2023年10月19日に当該部分を削除し、正しい情報に修正いたしました。訂正してお詫び申し上げます。

 

参考文献

  • 医療情報科学研究所編.看護がみえるvol.3 フィジカルアセスメント,株式会社メディックメディア.2021,p60-75
  • 古谷伸之編.診察と手技がみえる vol.1,株式会社メディックメディア.2017,p32-41
  • 日野原重明編.フィジカルアセスメント  ナースに必要な診断の知識と技術 第4版[聴診音 CD-ROM付],医学書院.2019,p30-33
  • 福井次矢,井部俊子, 山内豊明編.ベイツ診察法 第2版,メディカル・サイエンス・インターナショナル.2008,125p

 

 

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