最終更新日 2018/05/31

側臥位

側臥位とは・・・

側臥位(そくがい、lateral position)とは横を向いて寝た状態を指す。
自分自身で体位変換が可能な患者においては問題とならないが、全身麻酔下の患者や集中治療室の患者、脳梗塞後で片麻痺がある患者などでは褥瘡や神経障害といった合併症を招く恐れがあるため注意を要する。

【手術室での側臥位】
■褥瘡
側臥位患者で褥瘡ができやすい部位は、介部、肩峰部、胸部側面、大転子部、膝の内側顆や外側顆などである。手術室の場合、手術台はクッション性が乏しいためこれらの部位にあらかじめフィルムドレッシングを貼付することや、接触面との間にリモイス®パッド、手術台の上にソフトナース®というクッション性に優れた素材のパッドを敷くことで褥瘡予防を行う。
■神経障害
側臥位患者で起こりやすい神経障害の部位は上腕神経叢、橈骨神経、尺骨神経、正中神経、腕神経叢、総腓骨神経である。
(1)上腕神経叢
手術台と身体との接触面に腋窩枕を挿入することで静脈叢のうっ血や神経障害を予防する。
(2)橈骨・尺骨・正中神経
前腕は回内・回外中間位として肘関節の過伸展や圧迫を避ける。
(3)腕神経叢
頭と脊柱が水平になるように枕の高さを調整し頚部の過伸展を防ぐ。肩関節外転の角度を90度以下とする。
(4)総腓骨神経
腓骨小頭への圧迫を避ける。
以上を踏まえながら体位をとる。

【病棟での側臥位】
病棟では褥瘡予防マット(体圧分散寝具)などが用いられるため、手術室ほど厳密な体位保持は必要ではない。ただし、脳卒中患者で側臥位になる場合は麻痺側を下にしないように注意する必要がある。
また、人工呼吸器管理下患者の場合、気道からの分泌物が下葉に垂れ込みやすいため排出しやすくするように側臥位をとることもある。重度の肺障害が認められる患者ではより前述の効果を期待し、うつ伏せに近い前傾側臥位をとることもある。

執筆: 江角 亮

三重大学医学部附属病院 救命救急センター医員

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