ネフローゼ症候群に関するQ&A

『看護のための病気のなぜ?ガイドブック』より転載。

 

今回は「ネフローゼ症候群」に関するQ&Aです。

 

山田幸宏
昭和伊南総合病院健診センター長

 

〈目次〉

 

ネフローゼ症候群ってどんな病気?

ネフローゼ症候群とは糸球体の障害により、高度のタンパク尿、低タンパク(低アルブミン)血症、高脂血症、浮腫が見られる症候群です。

 

小児から成人まで発症しますが、全体の80%が6歳以下の小児で、とくに男児に多く発症します。寛解と再燃を繰り返しながら慢性的に経過することが多いです。

 

ネフローゼ症候群にはどんな種類があるの?

ネフローゼ症候群には腎臓自体の病変による原発性(一次性)のものと、他の疾患に伴って起こる続発性(二次性)のものがあります。全体の75%が原発性ネフローゼ症候群です。

 

原発性ネフローゼ症候群には、①微小変化型、②膜性腎症、③巣状糸球体硬化症、④膜性増殖性糸球体腎炎があります(図1)。それぞれの特徴は表1のとおりです。

 

図1原発性ネフローゼ症候群の糸球体毛細血管壁

 

表1ネフローゼ症候群の分類

 

続発性ネフローゼ症候群は、ループス腎炎、糖尿病紫斑病性腎炎などの全身性疾患、B型肝炎、C型肝炎などに伴って起こります。

 

原発性ネフローゼ症候群は何が原因なの?

糸球体が障害される原因は不明です。微小変化群、膜性腎症などによって糸球体の病変は異なりますが、いずれも糸球体毛細血管壁の基底膜の透過性が亢進し、本来なら通過できないタンパク質が通過し、尿中に大量に排泄されます。

 

メモ1糸球体の濾過

サイズバリア(分子の大きな物質は通過できない構造)と、チャージバリア(マイナスに荷電した物質は通過できない構造)により、タンパク質は濾過されない。

 

ネフローゼ症候群に特徴的な検査所見や症状は?

ネフローゼ症候群ではタンパク尿、低タンパク(低アルブミン)血症、高脂血症(高コレステロール血症)、浮腫が特徴です(図2)。

 

図2ネフローゼ症候群の症状

 

タンパク尿は3.5g/日が持続し、血清総タンパク質は6.0g/dL以下、血清アルブミンは3.0g/dL以下、血清総コレステロールは250mg/dL以上になります。

 

タンパク尿や低タンパク血症などはなぜ起こるの?

タンパク尿と低タンパク(低アルブミン)血症は、糸球体毛細血管の基底膜の透過性が亢進し、タンパク質(アルブミン)が尿中に排泄されるために起こります(図3)。

 

図3ネフローゼ症候群におけるタンパク尿の原因

 

高脂血症(高コレステロール血症)が起こるのは、低タンパク血症により、肝臓でのアルブミン合成とコレステロール合成が亢進するためです。

 

浮腫は、低タンパク血症(低アルブミン血症)のために膠質浸透圧が低下し、間質へ水分が漏出して起こります。また、腎血流量の減少に伴い、レニン―アンジオテンシン―アルドステロンの分泌が亢進し、ナトリウムと水の貯留を引き起こし、さらに浮腫が増強します。

 

メモ2膠質浸透圧

血漿中のアルブミンにより、組織内の水を毛細血管内に引き入れようとする圧。

 

ネフローゼ症候群ではどんな治療が行われるの?

ネフローゼ症候群では安静、食事療法、薬物療法が行われます。

 

安静は、腎血流量の保持が目的です。浮腫が著しい場合はベッド上での安静や臥床となります。病状の改善に伴って、活動範囲が徐々に拡大されます。

 

食事療法では、腎臓への負荷を軽減するために、タンパク質、塩分、カリウムが制限されます。以前は、高窒素血症がない限り、タンパク質を大量に摂取してもらっていましたが、高タンパク食は腎臓に負担がかかって、タンパク質の尿への漏出が進むため、現在は行われていません。

 

薬物療法は、症状の改善や進行の抑制を目的に行われます。使用される薬物は、病変や原因疾患によって異なります。たとえば、微少変化群ネフローゼ症候群には、おもに副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬などが使われます。また、浮腫に対しては利尿薬、高脂血症に対しては高脂血症治療薬が使われます。

 

ネフローゼ症候群の看護のポイントは?

ネフローゼ症候群は、経過が長く、再発することも多いため、運動制限、食事制限が長期に及ぶことがあります(表2)。

 

表2ネフローゼ症候群の生活指導基準と食事療法

 

成人でも運動制限や食事制限はつらいものですが、小児ではなおさらです。小児にも、運動制限と食事制限の必要性が理解できるように説明し、継続できるように援助しましょう。

 

また、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬で治療を行っている場合は、易感染性(感染しやすい状態)になるため、手洗いやうがいを励行し、感染予防に努めることが大切です。

 

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本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『看護のための病気のなぜ?ガイドブック』 (監修)山田 幸宏/2016年2月刊行/ サイオ出版

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