生理不順かも?と思ったら知っておくべき5つのこと|働くナースが知るべき病気【9】

婦人科医の清水なほみが、看護師のみなさんに知っておいてほしい病気についてお知らせします。

 

働くナースが知るべき病気【9】

生理不順かも?と思ったら知っておくべき5つのこと

 

月経の悩みで一番多いのが「月経不順」。

つまり、月経が規則正しく来ないというものです。

 

初潮からずっと月経不順という方もいれば、受験や就職などをきっかけに一時的に不規則になったり、更年期の症状の1つとして40代ごろから急に不規則になったりする方もいます。

 

 

【目次】

 

 

月経不順とは―2ヵ月以上不順なら受診しよう

月経周期は、「前の月経が始まった日から次の月経が始まる前日までの日数」で表します。

 

この日数が、25日~38日の間であれば正常な月経周期といえます。

 

逆に、月経周期が24日以下あるいは39日以上だった場合は、「月経不順」になります。

2~3カ月の間月経が不規則になっても、その後自然に正常な周期に戻れば心配はありません。

 

ただ、2カ月以上月経が来ない場合は放置しない方がいいでしょう。

 

卵巣の働きがかなり落ちている可能性もあるので、早めに婦人科の受診をお勧めします。

 

月経不順や無月経の原因は、かなり多岐に渡ります。

「月経が来ない」というときにまず確認しなければいけないのは「妊娠していないかどうか」です。

 

性交渉を全くしていないという人以外は、まず妊娠反応を調べましょう。

 

原因は女性ホルモンの不足

月経不順の原因としてよくあるのが、卵巣機能の低下による女性ホルモンの不足です。

 

卵巣機能が低下する要因には、ストレスや冷え・不規則な食事・卵巣のう腫などの病気、あるいは加齢などが挙げられます。

 

また、が卵巣にきちんと命令を出さないために女性ホルモンが充分に分泌されないという場合もあります。

 

脳にある「視床下部・下垂体」が卵巣にホルモン分泌の命令を出しますが、これはストレスに非常に弱い器官です。

 

なので、強いストレスを感じると充分な命令が出せなくなることがあります。

 

特に体重の減少によるストレスは脳に大きなダメージを与えます。

 

ダイエットで月経不順になる方がいますが、それは体重を大幅に落としたために脳がストレスを感じ、卵巣への命令をストップさせるためです。

 

月経不順の原因と見分ける方法

他にも、女性ホルモン以外のホルモンが脳の働きを邪魔して月経不順を引き起こすこともあります。

 

●プロラクチン

「プロラクチン」というホルモンはお乳を作るホルモンですが、授乳中でない時期にプロラクチンが増えすぎると月経不順になります。

ちなみに、プロラクチンが増える原因としては、脳腫瘍などの病気である場合や、薬の副作用などが考えられます。

 

●甲状腺ホルモン

また、甲状腺で作られる「甲状腺ホルモン」のバランスが崩れたときも、卵巣の働きを妨げてしまいます。

持病に甲状腺機能亢進症甲状腺機能低下症がある人は、きちんとホルモンをコントロールできているか確認した方がいいでしょう。

 

 

月経不順の原因を見分けるためには、まず血液検査で女性ホルモンや脳から出ているさまざまなホルモンの値を調べます。

また、超音波検査子宮や卵巣そのものに異常がないかを確認します。

 

さらに、最近環境が変わったりしていないか、急激に体重が減っていないかなどを詳しく伺うことによって、何が原因なのか見当をつけていきます。

 

主な治療は薬物療法

無月経や月経不順の治療は基本的に薬物治療が中心になります。

無月経の場合はとにかく1度出血させる必要があるので、ホルモン剤の飲用や筋肉注射で月経を起こすのが一般的です。

 

ただし、極端なダイエットにより月経が止まる「体重減少性無月経」の場合は、出血自体が体に負担となるので、体重がある程度増えるまではあえて月経を起こしません。

 

月経不順の原因が一時的なストレスや環境の変化である場合や、ホルモンバランスが保たれている場合は、薬で月経を起こしたら基礎体温をつけるだけにして、しばらく様子を見てもいいでしょう。

 

いったん出血を起こすと、その後は規則的に月経が来るようになるケースもあります。

逆に、月経不順から無月経になったという場合や、女性ホルモンが極端に少ないと判明した場合は、少なくとも3ヶ月間は投薬を続けて月経が規則的に来るようにした方がいいでしょう。

 

薬で月経を起こす方法としては、低用量ピルを使うことが増えてきました。

飲み方もカンタンで使いやすく月経も楽になるうえ、高い避妊効果も期待できます。

 

他にも、2種類のホルモン剤を組み合わせてホルモンを補う「カウフマン療法」という方法があります。

 

いずれにしても、本来卵巣から出るべき女性ホルモンを飲み薬で体の外から補うことによって、月経と同じ出血を起こすという治療になります。

 

月経不順でも妊娠を目指すには

月経不順で無排卵になっているけれど妊娠を目指したいという方には、初めから排卵誘発剤を使ってきちんと排卵するように治療を進めていきます。

 

月経は不規則だけれど2カ月空くほどではない方や、ホルモンが少なめだという方にはホルモン剤を使わず、体を温めたり血液の流れをよくする漢方薬を処方したりして様子を見ることもあります。

 

漢方薬を飲むだけでなく、生活習慣や食習慣の改善も意識すると、卵巣の働きが戻りやすくなります。

 

生活改善のポイントは、

 ・適切な体重を保つ

 ・体を温める食べ物を食べる

 ・湯船に毎晩30分以上つかる

 ・ストレスをためない

 ・禁煙する

 

などです。

 

月経不順は体からのSOSですから、「ちょっとぐらい平気」と思わずに、今の生活を見直すきっかけにしてみてくださいね。

 


【清水なほみ】

日本産婦人科学会専門医で、ポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長。産婦人科・女性医療統合医療を専門に、患者に最適な医療を提供。クリニックのほかに、NPO法人やAll aboutガイドなどでも情報提供や啓発活動を行っている。

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