看護計画の書き方とポイント【例文付き】|これでカンペキ!看護計画(1)

#便秘の看護計画 #褥瘡の看護計画 #統合失調症患者の看護計画 #転倒リスク状態の看護計画

 

看護学生や看護師を悩ませる「看護計画」。

この記事ではAさんの食欲不振に対する看護計画書を例に、看護計画書の書き方やそのポイントを解説します。

 

 

看護計画書の見本


立案日:〇月△日 評価日:〇月〇日

看護診断


#3 食欲不振
 

患者目標(outcome)

各食8割程度摂取できる
「○○が食べたい」「食欲が出てきた」など、食事に対する意欲的な発言がある

具体的な
看護計画

【観察計画(O-P)】
食事摂取量・食欲の観察(摂取量・内容、日内変動の有無〈例:リハビリ後の摂取量〉)
食事中の嚥下動作の観察(#1誤嚥のリスクの看護計画参照)
食生活に関する情報の確認(普段の食事量・食事を作る人、好み、偏食の有無、食事時間)
食欲に関連する消化器系症状の有無(嘔気・便秘の有無、便秘に伴う症状などは特に確認〈#4 便秘の看護計画参照〉)
食欲に影響を与える心理的要因と考えられる言動の有無とその内容の観察(嚥下食に対する不安、疾患に対する不安など)
脱水傾向の有無の観察(水分摂取量・排尿回数・水分出納の観察、口渇感の有無)
栄養状態・栄養状態悪化に伴う症状の観察(体重測定・BMI、血液検査〈TP、Alb、Hb、Ht、Na、K、Cl〉、倦怠感の有無)

【直接ケア計画(T-P)】
食事環境を整える~病室の環境調整(温度・照度、清潔感のある空間を作る、意向を確認しながらロビーでの食事)
食事前の身体的準備:整容・手洗い・含嗽・嚥下体操(#1 誤嚥のリスクの看護計画参照)
食事内容の調整:嚥下に影響を与えない範囲で粥に好みの物を混ぜる(何を混ぜるかは、患者・栄養士と相談中)、好みの物を献立に少しでも取り入れてもらえるよう栄養士と相談
食事時間の調整:家族と一緒に食べることが望ましい状況であれば食事時間を調整する
患者とのコミュニケーション:患者の思いの傾聴と支持的援助~少しでも食事摂取量が増えた時は一緒に喜ぶ。逆の場合は一緒に食事内容検討、今後のことについて一緒に話す
ベッド上、病棟内での活動量を増やす―ベッド上の運動の実施、午前・午後で病棟3周歩く(#2 ADL低下の看護計画参照)

【教育計画(E-P)】
食事・栄養を摂取する必要性を指導する(体力維持・感染予防・貧血予防・脱水予防)
食事を摂取できるようなきっかけや、きっかけ食を看護師とともに探していくことについて説明・その必要性について説明する
誤嚥防止のための嚥下体操など、訓練の必要性を説明する

評価

各食5~8割程度の摂取で、8割に満たないことも多く、摂取量の目標は達成できなかった。
しかし、「お寿司が食べたい」など、食事に対する意欲的な発言も時々みられるようになってきている。
摂取量も目標には届かなかったが増えてきており、発言等からも、今後増えていくことも予測され、引き続き、この計画は続行し、再度1週間後に評価する。

 

Aさんの事例(架空の設定)はこちら。
Aさんの事例:Aさん(82歳女性)は誤嚥性肺炎で入院。入院前のADLは自立していました。治療により、現在は発熱もおさまり、肺炎の所見はなく、現在入院10日目。4日前より退院に向け、筋力低下に対する歩行訓練などのリハビリテーションを受けています。呼吸困難感もなく、ADLもほぼ看護師の見守りで自立できていますが、食欲があまり出ないと言い、食事摂取量が少ないままでした。

 

執筆:坂下貴子(淑徳大学看護栄養学部看護学科・同大学院看護学研究科看護学専攻 教授)
監修:茂野香おる(淑徳大学看護栄養学部看護学科・同大学院看護学研究科看護学専攻 教授)

 

 

看護診断とは?

 

看護診断


#3 食欲不振
 

 

看護診断とは、患者さんの情報をアセスメントし、看護で解決すべき問題(看護問題)を明らかにすることです。

 

看護診断の欄には、今回は「食欲不振」と書きましたが、看護学実習(臨地実習)では「食事摂取量が少ないままである」などのように学生自身の言葉で書くこともあります。

 

また、臨床現場ではNANDAーインターナショナルが提唱する「NANDA-I 看護診断」の診断名もよく用いられます。NANDA-Iの看護診断であれば、「栄養摂取バランス異常:必要量以下」1)という診断名になるでしょう。

 

どのように書くかは、学校や病院のルールに従いましょう。

 

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1 看護診断の考え方

看護診断はどのように決定されていくのでしょうか。Aさんの事例をもとに、アセスメントから看護診断の決定までの考え方について解説します。

 

アセスメントの際は、学校や病院で決められているアセスメントの枠組み(「ゴードンの機能的健康パターン」や「ヘンダーソンの14の基本的ニーズ」などに基づく枠組み)を使用して情報を収集しましょう。

 

ここではAさんのアセスメント項目の一つである【食事や栄養】のアセスメントを例に、看護診断を確定していくまでのプロセスを紹介します。

 

1)集めた情報から「現状の問題」を分析する

まず、診療録や検査結果、看護記録、患者さんとの直接のかかわりを通して得られたS情報(主観的情報)O情報(客観的情報)を集め、Aさんの【食事や栄養】の状況について分析します。

 

アセスメント(情報収集と情報の分析) 【情報収集】〈S情報〉「どうして肺炎なんかになっちゃったんだろうね。ちゃんと飲み込めていなかったと思うと心配でね」「食欲はあまり出ないわね。お食事はもう少ししっかりしたものが良いかしらね。味も薄いし、ずっとこれからそうなのかしら?」「便も出ていないからおなかがなんだか張った感じもあるし、食事が入っていかない感じになるわ」 〈O情報〉治療食:嚥下食1200kcal/日、食事摂取量:各食5~6割程度(600~700kcal/日程度)、食事摂取は自立している、ベッド上で日中の大半は過ごす、4日前から歩行などのリハビリテーションが開始される、電解質:Na 142mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 108mEq/L、栄養:TP 6.0g/dL、Alb 3.0g/dL、身長155cm、体重42kg、入院前の排便:1~2日に1回、現在の排便:入院してから2回、最終排便3日前  【情報の分析】食事摂取量が、600~700kcal/日程度と、Aさんの年齢の推定エネルギー必要量(1400kcal/日程度)を大幅に下回っているが、食欲がないためと考える。食欲不振の原因として、本人からの訴えにもあるとおり、嚥下食であることや味付けが本人の好みに合わないこと、またほとんどベッド上で過ごしていることから活動量が低下していること、便秘で腹部膨満感があること、さらには誤嚥に対する不安や入院という環境変化による心理的ストレスが考えられる。このまま食事摂取量が増えないと、栄養状態がさらに低下し、体力・筋力低下や倦怠感等につながり日常生活行動が低下したり、電解質異常や脱水、さらには易感染状態にも陥る可能性がある。

 

集めた情報をもとに、健康な状態からの逸脱がないかを確認していきます。

 

「食欲はあまり出ないわね」「食事摂取量が5~6割程度(600~700kcal/日程度)」という情報が、健康な状態から逸脱していると考えられます。

 

健康な場合は食欲があり、Aさんの年齢(82歳)では1400kcal/日程度のエネルギーを摂取しなければならないという知識があれば、Aさんのこの状況が健康な状態から逸脱していることに気づくことができます。

 

ここから「食事摂取量が600~700kcal/日で、活動量が低下している入院中ということを考慮しても、Aさんの健康な場合の推定エネルギー必要量1400kcal/日を大幅に下回っている」と分析できます。

 

つまり、集めた情報からAさんがどのような現状の問題があるかを分析します。

 

2)現状の問題の「原因」や「なりゆき」を分析する

続いて、現状の問題が起こっている「原因」、このままだと起きてしまう「なりゆき」を、できるだけ詳細に分析していきます。

 

健康な状態からの逸脱に気づき、その逸脱の「原因」や「なりゆき」をいかに詳細に考えられるかが、看護診断(看護問題の明確化)、さらには看護計画に影響を与えます。

 

3)看護診断を確定する

今回は【食事や栄養】についてのアセスメントのみ例として挙げましたが、他のすべての項目のアセスメントが終了し複数の候補が挙がったら、その中から看護として解決すべき問題はどれか、最終決定します(看護診断)。最終決定の際のポイントとしては以下の2点の視点が役立ちます。

 

患者さんが看護や治療によってどのような姿になるのが望ましいかを考えたとき、その望ましい姿を阻害するものが看護として解決すべき問題です。


●関連図を書いてみると、矢印がたくさん出入りする項目が看護として解決すべき問題となることが多くあります。

 

4)関連図に落とし込む

関連図はアセスメントの情報を図にしたものです。図にすることで、患者さんの全体像が見えてきます。

 

患者さんのさまざまな反応(状態)を短い単語で表し、互いのつながりを矢印で結びながら、患者さんの状態を表現していきます。

 

そうすると、矢印がたくさん集まる項目が出てきます。それが、看護で解決すべき問題、つまり看護診断として挙げられる可能性が高い項目です

 

なぜなら、関連する項目が多いため、そこに介入すれば高い効果が見込めるからです。

 

Aさんの場合で見てみましょう。

 

この記事では紙面の都合上、Aさん全体を表す関連図は掲載できませんが、実際にAさんの情報を関連図に落とし込んで見えてきたことは、矢印がたくさん集まっている箇所の1つは「食欲不振」だったことです。そのため、関連図の中の食欲不振にかかわる部分だけを取り出して紹介します。

 

Aさんの食事・栄養に関する関連図

 

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2 看護診断と優先順位

一人の患者さんに看護診断は一つとは限りません。一人の患者さんに複数の看護診断があることはよくあります

 

複数の看護診断がある場合は、看護診断ごとに看護計画を立てる必要があります。その際、看護計画書の看護診断の欄には、頭に「#(ナンバー)」と優先度の高い順に振る「数字」を書き足します。

 

たとえば、Aさんの場合、下記4つが看護診断として挙げられました。

 

#1 誤嚥のリスク
#2 ADL低下
#3 食欲不振

#4 便秘

 

「#3 食欲不振」とは、決定した看護診断のうち、優先順位が3番目のものが食欲不振であることを表しています。

 

複数の看護診断がある場合は、介入すべき・解決すべき優先順位を決定します。優先順位の高い問題は、集中して介入して早期解決を図ります。これは患者さんの苦痛を最小限にするとともに、他の問題を引き起こすことがないようにするためです。

 

優先順位を決めるには、次の3つに該当するか否かがポイントとなります。

 

①生命に影響を与える問題
②その時点で解決しなければ、多くの別の問題を引き起こしかねないという状況にある問題
③その問題を解決すると、波及して多くのことが解決していく問題

 

ポイント①の生命に影響を与える問題は、マズロー(Maslow, A.H.)の基本的欲求階層説が一つの指標となります。つまり、最も下層の生理的ニードに関する問題(呼吸や栄養に関連した問題など)の優先順位が高くなります。

 

実際に優先順位の決定について、Aさんで考えてみましょう。


まず、誤嚥性肺炎での入院や年齢を考慮すると嚥下機能は低下している状況であり、今後も誤嚥は起こり得ること、そして、誤嚥は再度の誤嚥性肺炎の罹患につながり、生命への影響も考えられることから、「誤嚥のリスク」を優先順位1番目としました。

 

次に、もともとAさんの入院前のADLは自立していたことや、現在リハビリが開始されたことを考え、できれば退院前に入院前と同じADLに戻ることが、退院後のAさんの生活の質の維持につながると考えました。また、ADLが向上することは、食欲低下や便秘、さらには睡眠や自尊心の維持などにも良い影響を与えるでしょう。ADLが向上しなければさらなる問題を引き起こすということにもなりますので、優先順位2番目を「ADL低下」としました。

 

そして、優先順位3番目は「食欲低下」としました。ポイント①の生命に影響を与える問題から考えると優先順位が高いのですが、Aさんが現在リハビリをして退院を目指す時期となっていることや、先に述べたように「ADL低下」を解決することで高齢ではありますが、退院後の生活の質を維持できると考え、「食欲低下」の優先順位は3番目としました。

 

このように優先順位を決めていく際には、上記3つのポイントを軸としながら、その人の病期や、場合によってはその人の将来・未来を考慮し、決めていくとよいでしょう。そして、患者さんの状況が日々変化していく中で、優先順位を適宜見直すことも大切です。

 

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3 看護診断の確定時に確認すべきこと

看護診断を確定する時に、確認しておきたいことが3つあります。

 

看護診断の確定時に確認すべきこと 問題の症状を示す症状・徴候、問題の原因となる関連因子・危険因子、問題をそのままにすると起きるなりゆき

 

たとえば「食欲不振」を看護診断として考えている場合は、下記のように確認します。

 

①「食欲不振」を表している証拠(症状や徴候)は何であるか
②「食欲不振」の原因(関連因子)は何であるか
③「食欲不振」をそのままにしておいたら、どのようなことが起きるか(なりゆき)

 

上記に従ってAさんの看護診断「食欲不振」について確認すると、次のようになります。

 

●症状・徴候
・食事摂取量半量程度


●関連因子
・身体活動量低下
・便秘
・環境の変化
・誤嚥に対する不安
・治療食が嗜好に合わない


●なりゆき
・栄養状態の悪化
・体力・筋力低下や倦怠感等
・ADLのさらなる低下
・電解質異常
・脱水
・易感染状態

 

なぜ、「症状・徴候」「関連因子・危険因子」「なりゆき」の3つを最後に確認する必要があるかは、個別性のある看護計画の書き方の項目で解説します。

 

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4 看護診断の種類

看護診断には下記3つの種類があります。

 

①いま目の前に存在している「実在型の看護診断」
②これから起こる可能性がある「リスク型の看護診断」
③さらに促進していくべき好ましい状態を示す「ヘルスプロモーション型の看護診断」

 

1)実在型の看護診断(看護問題)

「実在型の看護診断」とは、すでに生じている問題についての看護診断です。NANDA-Iでは「問題焦点型看護診断」と言います。

 

この看護診断には、確認できる「症状・徴候」があり、これはNANDA-Iでは「診断指標」として表されています。

 

また、実在型の看護診断にはその問題を引き起こしている原因「関連因子」が存在します(時に、原因がわからないこともあります)。

 

2)リスク型の看護診断(看護問題)

「リスク型の看護診断」とは、現在はまだ問題が起きていませんが、このままの状態であれば今後起こり得る可能性が高いものについての看護診断です。

 

まだ問題は起こっていないため、「実在型の看護診断」と違い、「症状・徴候」は見られませんが、問題を引き起こす原因「危険因子」が存在していることが確認できます。

 

3)ヘルスプロモーション型の看護診断(看護問題)

「ヘルスプロモーション型の看護診断」は、現在の状態を促進すれば、現在の良い状態よりもさらに好ましい状態につながる場合に用いられる看護診断です。

 

確認できる「症状・徴候」が認められます。

 

問題や診断という言葉は、患者さんから取り除くもの、避けるべきものとして考えやすいですが、ヘルスプロモーション型の看護診断のように、患者さんの良い状態をさらに促進するということも看護として関わるべきことです。

 

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患者目標とは

患者目標
(outcome)


各食8割程度摂取できる
「○○が食べたい」「食欲が出てきた」など、食事に対する意欲的な発言がある
 

 

患者目標とは、看護診断に対して「看護の介入によってどのような状態になることを期待するか」を表現するものです。

 

たとえば、Aさんの場合、食欲不振の徴候である「食事摂取量半量程度」がどうなってほしいかを考えると、「各食8割程度摂取できる」という患者目標が考えられます。

 

また、Aさんから「食欲はあまり出ないわね」という発言がみられたので、「○○が食べたい」「食欲が出てきた」など、食事に対する意欲的な発言がみられるようになることも患者目標になるでしょう。

 

1 患者目標の書き方

患者目標を考えるうえで大切なのは、達成できたかどうかを後から評価できるようにしておくことです。

 

そのため、「なにが」「いつまでに」「どのような状態になっていたらよいのか」を具体的に考える必要があります。

 

また、患者目標を書く際は、次のような点に注意しましょう。

 

患者目標の書き方 1:患者を主語にする ◯「食事摂取に意欲的な発言をする」→「患者は」と書く必要はないが、患者が主語 ✕「食事摂取の必要性を説明する」→看護者が主語になっている 2:患者にとって現実的で、達成可能な内容にする ◯「各食、8割程度摂取できる」 ✕「毎日、各食、全量摂取ができる」→Aさんの現状から考えると、やや高い目標 3:看護者が測定できる・観察できる内容にする ◯「食事摂取量を増やす必要性について発言する」→Aさんを観察することで評価できる ✕「食事摂取の必要性について理解できる」→Aさんが理解できたかを評価するのは難しい 4:1つの文章に1つの成果を記載する ◯「食事摂取量が8割を超える。『食欲が出てきた』と発言する」 ✕「食事摂取量が8割を超え、『食欲が出てきた』と発言する」→2つの成果が記載されていると、1つだけ達成した場合の評価に困る

 

2 評価日の決め方

 


立案日:〇月△日 評価日:〇月〇日
 

 

評価日は、立てた患者目標をいつまでに達成してもらいたいかを考えて決めましょう。

 

たとえば、Aさんの場合、リハビリも始まっていますし、もともと自立した生活を送っていたため、退院を目指すことになります。

 

そのため、できるだけ早期に食欲が回復してほしいですよね。Aさんの場合は、まずは1週間後に評価してみるくらいがよいと思います。

 

患者目標によっては、たとえば手術後の離床において「術後2日までに離床して室内を歩行できる」というように、数日の短期間で評価した方がよい場合もあります。

 

評価日の設定に迷ったときは、学校の先生や先輩に相談してみましょう。

 

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看護計画とは

さて、いよいよ具体的な看護計画についてです。

 

看護計画とは、看護診断として挙げた問題を解決し、患者目標を達成するために、介入する具体的な計画のことです。

 

看護計画の欄に記入する際、下記3つに分けて書きましょう。

 

●観察計画
●直接ケア計画
●教育計画

 

1 観察計画(Observational Plan;O-P)

観察計画は、患者目標を達成するために、目で見て確認できる看護の介入について書きます。

 

たとえば、次のような項目が観察計画に当たります。

 

  • バイタルサインの観察
  • 呼吸音の観察
  • 水分出納管理
  • 創傷の観察
  • 夜間の睡眠状態の観察
  • 検査結果の把握
  • 言動の観察

 

Aさんの場合、「食事摂取量・食欲の観察」をはじめ、「食事摂取中の嚥下動作の観察」や「食生活に関する情報の確認」などを、観察計画としました。
 

具体的な看護計画

【観察計画(O-P)】
食事摂取量・食欲の観察(摂取量・内容、日内変動の有無〈例:リハビリ後の摂取量〉)
食事中の嚥下動作の観察(#1誤嚥のリスクの看護計画参照)
食生活に関する情報の確認(普段の食事量・食事を作る人、好み、偏食の有無、食事時間)
食欲に関連する消化器系症状の有無(嘔気・便秘の有無、便秘に伴う症状などは特に確認〈#4 便秘の看護計画参照〉)
食欲に影響を与える心理的要因と考えられる言動の有無とその内容の観察(嚥下食に対する不安、疾患に対する不安など)
脱水傾向の有無の観察(水分摂取量・排尿回数・水分出納の観察、口渇感の有無)
栄養状態・栄養状態悪化に伴う症状の観察(体重測定・BMI、血液検査〈TP、Alb、Hb、Ht、Na、K、Cl〉、倦怠感の有無)

 

2 直接ケア計画(Treatment Plan;T-P)

直接ケア計画は、患者目標を達成するために、患者さんに直接行う日常生活援助や診療の補助行為に関することを書きます。

 

たとえば、次のようなものが直接ケア計画に当たります。

 

  • 清拭
  • 排泄介助
  • 車いすへの移乗
  • 食事介助
  • 術前の患者の不安な気持ちを聴く

 

Aさんの場合、「食事環境や病室の環境調整」「食事前の身体的準備」「食事内容の調整」などを直接ケア計画としました。

 

具体的な看護計画

【直接ケア計画(T-P)】
食事環境を整える~病室の環境調整(温度・照度、清潔感のある空間を作る、意向を確認しながらロビーでの食事)
食事前の身体的準備:整容・手洗い・含嗽・嚥下体操(#1 誤嚥のリスクの看護計画参照)
食事内容の調整:嚥下に影響を与えない範囲で粥に好みの物を混ぜる(何を混ぜるかは、患者・栄養士と相談中)、好みの物を献立に少しでも取り入れてもらえるよう栄養士と相談
食事時間の調整:家族と一緒に食べることが望ましい状況であれば食事時間を調整する
患者とのコミュニケーション:患者の思いの傾聴と支持的援助~少しでも食事摂取量が増えた時は一緒に喜ぶ。逆の場合は一緒に食事内容検討、今後のことについて一緒に話す
ベッド上、病棟内での活動量を増やす―ベッド上の運動の実施、午前・午後で病棟3周歩く(#2 ADL低下の看護計画参照)

 

3 教育計画(Education Plan;E-P)

教育計画は、患者目標を達成するために、患者さんが自分の健康状態について認識できるように行う指導や教育に関することを書きます。

 

たとえば、次のようなものが教育計画に当たります。

 

  • 退院後の生活に関する指導
  • インスリン自己注射の必要性の説明

 

Aさんの場合、「食事・栄養を摂取する必要性の指導」「誤嚥防止のための訓練の必要性の説明」などを教育計画として考えました。

 

具体的な看護計画

【教育計画(E-P)】
食事・栄養を摂取する必要性を指導する(体力維持・感染予防・貧血予防・脱水予防)
食事を摂取できるようなきっかけや、きっかけ食を看護師とともに探していくことについて説明・その必要性について説明する
誤嚥防止のための嚥下体操など、訓練の必要性を説明する

 

4 個別性のある看護計画の書き方

看護計画を書くうえで大切なのは、できるだけ具体的な介入方法を考えることです。

 

次の2つを意識して看護計画を立案することで、その患者さんにとって個別性のある看護計画となっていきます。

 

1)3つのポイントごとに介入方法を考える

まず、看護診断を考えるうえで着目した「症状・徴候」「関連因子・危険因子」「なりゆき」の3つのポイントが改めて重要になってきます。

 

それぞれどうなるべきかを考え、それらに対する介入方法を検討し、看護計画を立てます

 

Aさんの問題点は下記のように整理されました。

 

●症状・徴候
・食事摂取量半量程度


●関連因子
・身体活動量低下
・便秘
・環境の変化
・誤嚥に対する不安
・嚥下食の味付けが好みに合わない


●なりゆき
・栄養状態の悪化
・体力・筋力低下や倦怠感等
・ADLのさらなる低下
・電解質異常
・脱水
・易感染状態

 

たとえば、症状・徴候である「食事摂取量半量程度」に対しては、摂取量が増えることを期待したいので、摂取量を把握する必要があり、次のようなO-P(観察計画)が考えられます。

 


食事摂取量・食欲の観察(摂取量・内容、日内変動の有無〈例:リハビリ後の摂取量〉)
 

 

なりゆきとして考えられる「栄養状態の悪化」に対しては、栄養状態が悪化しないことが望ましいので、栄養状態を把握する必要があり、次のようなO-P(観察計画)が考えられるでしょう。

 


栄養状態・栄養状態悪化に伴う症状の観察(体重測定・BMI、血液検査〈TP、Alb、Hb、Ht、Na、K、Cl〉、倦怠感の有無)
 

 

 

また、関連因子である「身体活動量低下」に対しては、身体活動の低下を少しでも防ぎたいので、次のようなT-P(直接ケア計画)が考えられます。

 


ベッド上、病棟内での活動量を増やす―ベッド上の運動の実施、午前・午後で病棟3周歩く(#2 ADL低下の看護計画参照)
 

 

活動量の度合いは、医師からの安静度制限の有無や、どのようなリハビリを行っているかなどを確認したうえで考えましょう。

 

Aさんのように、「食欲不振」を看護診断として挙げる患者さんは多くいます。ただ、その原因(関連因子)やなりゆきは患者さん個々によって違ってきます。ですから、その患者さんの原因(関連因子)やなりゆきに対し看護計画を立てることで、個別性のある看護計画になっていくのです。

 

2)誰もが同じように介入できるよう具体的に書く

もう一つ看護計画の書き方で重要なポイントがあります。

 

誰でも同じように観察やケアが行えるように、できるだけ具体的に書くことです。

 

たとえば、Aさんの場合、少しでも食事摂取量が増えるように、「食事環境を整える」という介入を考えたとして、どのような方法を思い浮かべますか?

 

人によって違うことを思い浮かべるかもしれません。それはそれで、いろいろな対応があって良いかもしれませんが、それでは対応にばらつきが出てしまいます。

 

Aさんは入院前のADLは自立していて、掃除なども自分でしていました。きれい好き、そして人と話すことも好きという情報があったとします。

 

その場合は、次のようなT-P(直接ケア計画)はいかがでしょうか?

 

食事をするときの環境調整:テーブルの上の片付けや清拭を患者さんと一緒に行う(環境整備)、手を洗いに洗面台まで看護師の見守りのもと行く(歩行練習にもなる)、できれば窓側に向かい、ベッド端座位をとる(視界が変わり気分転換になるとともにリハビリにもなる)

 

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評価とは

評価とは、患者目標が達成できたのか・できなかったのかを評価することです。

 

目標を達成できたら看護問題は解決となり、計画された看護介入も必要がなくなります。

 

もし達成できなかったら看護問題は解決できていないため、看護介入を継続します。

 

看護介入を継続する場合には、到達できなかった原因は何か、目標は高すぎたのか、看護計画が不十分だったのか、あるいは計画した内容の実施が不十分だったのかなど、丁寧に考え、その原因に合わせて、目標を変更したり、計画を追加したり、計画の実施が十分に行われるように周知したりなど、対応しましょう。

 

Aさんの場合、「各食8割程度摂取できる」「『○○が食べたい』『食欲が出てきた』など、食事に対する意欲的な発言がある」という2つの患者目標を立てていました。

 

次のように、それぞれの患者目標に対し、どうなったのかをできるだけ具体的に書きます。

 

評価

各食5~8割程度の摂取で、8割に満たないことも多く、摂取量の目標は達成できなかった。
しかし、「お寿司が食べたい」など、食事に対する意欲的な発言も時々みられるようになってきている。
摂取量も目標には届かなかったが増えてきており、発言等からも、今後増えていくことも予測され、引き続き、この計画は続行し、再度1週間後に評価する。

 

***

 

この連載では、次回から疾患や症状別の看護計画の書き方やポイントを紹介していきます。

 

次の第2回は「便秘の看護計画」です。

 

編集:看護roo!編集部 坂本朝子(@st_kangoroo

 

 

参考文献

  • 1)T.ヘザー・ハードマンほか編.上鶴重美訳. NANDA-I 看護診断 定義と分類 2021-2023.医学書院,181,2021.

 

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