3年ぶり改訂の「喘息予防・管理ガイドライン2018」|より軽症時から抗コリン薬の使用を追加

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増谷彩=日経メディカル

 

今年6月、「喘息予防・管理ガイドライン2018が発売される。喘息治療ステップでは、治療ステップ2に抗コリン薬(LAMA)が加わり、治療ステップ4に抗IL-5抗体、抗IL-5Rα抗体、気管支熱形成術が加わるなどの変更がなされている。

 

日本アレルギー学会理事長で同学会ガイドライン委員会委員長の東田有智氏(近畿大学附属病院病院長)に、新ガイドラインのポイントを聞いた。

 

喘息予防・管理ガイドライン2018の表紙の画像


「喘息予防・管理ガイドライン」の改訂は3年ぶりとなる。全体的に図表の点数を増やす一方で参考文献の数を減らしており、見て分かるガイドラインにしたのが特徴だ。

 

「喘息予防・管理ガイドライン」の主な改訂ポイント(東田氏による)


第1章 総論

・喘息の病態図がアップデートされ、病態の多様性が強調された

・喘息の管理目標が気道炎症と症状のコントロールならびに将来のリスク回避に分類、整理された

・喘息の問診、聴診と身体所見の項目が追加された

・診断の目安の項目のうち、気道炎症の評価基準(喀痰好酸球比率3%、FeNO35ppb)が追記された(比率よりも絶対数を推奨、生物学的製剤選択目安として有用)

・喘息の自然史と予後の項目(肺の低成長・呼吸機能低下の加速)が追加された

 

第3章 喘息の危険因子と予防

・喘息の危険因子の章と予防の章が一つにまとめられた

 

第6章 治療

・治療ステップ2にLAMA、治療ステップ4に抗IL-5抗体製剤、抗IL-5受容体α鎖抗体製剤と気管支熱形成術が追記された

・難治性喘息への対応のためのフローチャートが追加された

・吸入指導の項目が追加され、吸入指導の手順が示された

アレルギー疾患対策基本法を受けての医療連携の項目が追加された

 

第7章 種々の側面

ステロイド抵抗性喘息の項目が追加された

 

喘息の問診は、今まで以上に時間をかけてきっちりと問診をすれば、ある程度そこで診断がつくのではないかということから、問診の項目に「聴診」と「身体所見」を追加した。喘息の際に典型的に認められる症状について列挙したので、問診でこうした症状の有無について聞いてほしい。

 

例えば、「喘鳴息切れ、胸部絞扼感の複数の組み合わせが変動を持って出現する」「夜間や早朝に増悪する傾向がある」といった事柄だ。

 

喘息を疑った場合の追加問診についても、喫煙や常用薬剤の使用の有無などについて挙げた。例えば、ACE阻害薬を使っていないかどうか、といったことを聞いてほしい。

 

喘息以外の疾患を疑わせる所見についても「慢性の咳・痰にもかかわらず喘鳴や呼吸困難を伴わない」や「症状は持続しているが聴診所見が一貫して正常である」といった具体的な内容を列挙している。喘息の診断の目安に「気道炎症の存在」を追加した。

 

喘息管理のために有用な検査としては、新たに「末梢血好酸球数」を追加した(図1)。

 

簡便で安価だが、あまり行われていない検査だ。高値の場合は、好酸球性気道炎症の存在を示唆する。

 

重症例で高値の場合は、IgEやIL-5を標的とした生物学的製剤が効果を示すことが期待されるので、せめてこうした薬剤を投与する前には実施してほしい。

 

喘息管理のために有用な検査とそれぞれの概要の一覧表

図1 喘息管理のために有用な検査

(出典:『喘息予防・管理ガイドライン2018』、太字は編集部による)

 

ガイドラインで最も使われるのは治療ステップだろう。ここの変更点は、ステップ2にLAMAを加えたこと、ステップ4に抗IL-5抗体製剤、抗IL-5受容体α鎖抗体製剤、気管支熱形成術を加えたことだ(図2)

 

喘息の治療ステップ1~4を示した表

図2 喘息の治療ステップ

(出典:『喘息予防・管理ガイドライン2018』、太字は編集部による)

 

日本アレルギー学会理事長で同学会ガイドライン委員会委員長の東田有智氏の写真

 

難治性喘息への対応については新たにフローチャートを作成している。

 

アトピー型喘息なら抗IgE抗体製剤(商品名オマリズマブ)を、好酸球性気道炎症なら抗IL-5抗体製剤(メポリズマブ)か抗IL-5受容体α鎖抗体製剤(ベンラリズマブ)を、好中球性気道炎症であればまだコントラバーシャルなところではあるがマクロライド系抗菌薬を、気管支熱形成術はいずれも効果が得られなかった場合に検討するとした。

 

アレルゲン特異的免疫療法については、喘息では舌下免疫療法がうまくいかず、保険適用を得られなかったため、治療ステップに加えられなかった。しかし将来的には追加することになるだろう。

 

気管支熱形成術は、発売から3年ほどがたち、実施数が500例を超えた。ガイドラインのデータとしては欧米のデータを使用しており、日本人との体格差は気になるが、今後日本でもデータを出せるようになっていくと期待している。

 

吸入指導では、「高齢者喘息における吸入療法の問題点とデバイス選択」の表を新設した。最大呼気流量が低下している場合はデバイスを加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)とし、場合によってはpMDIにスペーサーを装着するのも手だ。

 

噴霧と吸気の同調不良となった場合も、pMDIにスペーサーを付けて使うか、ドライパウダー定量吸入器(DPI)やネブライザーを使う。手指筋力の低下なら、pMDIに噴霧補助器具を装着して使う。

 

高齢者における薬物療法の注意点と対策も表にまとめた。吸入ステロイド薬は、高用量の長期使用で骨粗鬆症の進行などがあり得るため、特に女性では骨塩量の測定をする、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)は排尿困難などに注意する――といったように、常にメリットとデメリットを天秤にかけて考えてほしい。

 

抗体製剤については今のところ注意点は特になしとしたが、今後注意点が判明する可能性はあるだろう。

 

<掲載元>

日経メディカルAナーシング

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