看護師の初任給いくら?1年目の手取り額、年収など新卒の給料を解説

2023年版 看護師の初任給の図表。給与総額は平均26万~27万円。うち手取り額は平均21万~22万円。給与総額には夜勤手当などを含む

看護師になって初めて手にした初任給、皆さんはいくらでしたか?

 

新卒看護師の初任給の平均額と手取り額、年収など、1年目の給料の最新データをまとめました。

 

 

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1)新卒看護師の初任給は平均26万~27万円

2023年版看護師の初任給の詳しい図表。専門卒は平均26万3711円、うち基本給は20万3276円。大卒は27万1730円、うち基本給は20万9616円

 

日本看護協会2022年病院看護・助産実態調査」によると、新卒看護師の初任給は平均26万~27万円となっています。

 

専門卒と大卒で看護師の初任給を比べると、大卒のほうがやや高く、基本給で6340円、給与総額で8019円の差があります。

 

12カ月分で単純計算すると、看護師1年目では大卒と専門卒で9.6万円ほどの年収差が生じるようです。

 

 

2)新卒看護師の手取り額は21万~22万円

看護師の初任給手取り額を説明した図表。額面の給与26万~27万円から所得税と社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料など)が控除され、手取り額平均は21万~22万円

 

初任給の平均額である26万~27万円というのは、いずれも所得税や社会保険料(健康保険料・厚生年金・雇用保険料など)が引かれる前の、いわゆる「額面」の給与額です。

 

実際に給与口座に振り込まれる「手取り」の給与額は、額面のおよそ8割。このため、新卒看護師の手取り額は平均21万~22万円ほどとなります。

 

 

注意1) 4月や夜勤スタート前の給料は低い

初めての給料日に振り込まれた金額があまりに少なくて、ガッカリしてしまう方も多いかもしれませんが、1年目の4月は満額の給料が支給されない場合があります

 

勤務先によって、給料の「締日(しめび)」があるためです。たとえば、毎月10日を締日とする職場の場合、4月1日に入職した新卒看護師は「4月10日までに勤務した日数分」の数万円しか振り込まれないことになります。

 

さらに、日本看護協会の初任給データには、夜勤手当が含まれていることにも注意です(3交代で8回分、2交代で4回分)。

 

夜勤が始まる前の「日勤のみ」で働く1年目ナースの給料は、額面で21万~23万円、手取り額で17万~18万円ほどになるでしょう。

4月の給料や夜勤手当が入らない月の給料は少ないイメージイラスト

 

 

注意2) 1年目は「住民税」が引かれない

1年目のうちは給料から「住民税」が引かれません。住民税は前年の収入に対して課税されるためです。逆に言えば、2年目からは「引かれる税金が増える」ということになります。

 

このため、「年次が上がって昇給したのに、2年目のほうが手取りが減った…」というケースもあり得ます。

 

 

3)看護師1年目のボーナスや年収は?

1年目の看護師が初めてもらう「入職直後の夏のボーナス」は5万~10万円ほどか、もらえない場合が多いでしょう。

 

ボーナスは「一定期間の実績に対する評価(査定)」として支給されるもの。そのため、まだ実績のない新人看護師の夏のボーナスは寸志程度で、残念ながらあまり期待できません。

 

一方、冬のボーナスは満額支給されるのが一般的。冬のボーナスの支給額を基本給の1.5カ月分とした場合、看護師1年目の冬のボーナスはおよそ30万円(手取りで約24万円前後)になると見込まれます

 

 

看護師1年目の年収がいくらになるかも試算してみました。

 

仮に入職直後の夏のボーナスを10万円として計算した場合、看護師1年目の年収は、約350万円~360万円になります

 

 

 

4)看護師の初任給にも地域差がある

看護師の給料には、それぞれの地域の給料相場などが反映されるため、多少の地域差があります。これは初任給でも同様です。

 

日本看護協会の調査から都道府県ごとの初任給平均額を見てみると、次のように幅があることがわかります。

 

看護師の初任給の地域差

 

  • 専門卒

給与総額 23.3万円~29.1万円

(うち基本給 19.0万円~21.0万円)

 

  • 大卒

給与総額 24.5万~29.7万円

(うち基本給 19.9万~21.7万円)

 

※給与総額には通勤手当・住宅手当・夜勤手当などを含む(時間外手当は除く)

 

特に、首都圏や愛知などの都市部は高く、四国・九州地方は低い傾向です。

 

なお、2022年度採用の初任給(給与総額)が高い都道府県は次の通りでした。

 

看護師の初任給(給与総額)平均額トップ5

都道府県 【専門卒】初任給の平均額
千葉 29.1万円
東京 28.9万円
静岡 28.2万円
埼玉 27.9万円
愛知 27.8万円

 

都道府県 【大卒】初任給の平均額
千葉 29.7万円
東京 29.6万円
静岡 28.9万円
埼玉 28.7万円
神奈川 28.6万円

出典:日本看護協会「2022年病院看護・助産実態調査」
※給与総額には通勤手当・住宅手当・夜勤手当などを含む(時間外手当は除く)

 

 

 

5)病院の規模が大きいほど初任給は高い

病院の規模別に見ると、規模が大きくなるほど、新卒看護師の平均初任給は高い傾向があります。

 

【99床以下】看護師の初任給

  給与総額
専門卒 260,559円
大卒 267,500円

 

【100~199床】看護師の初任給

  給与総額
専門卒 261,954円
大卒 269,253円

 

【200~299床】看護師の初任給

  給与総額
専門卒 263,585円
大卒 270,810円

 

【300~399床】看護師の初任給

  給与総額
専門卒 268,330円
大卒 278,238円

 

【400~499床】看護師の初任給

  給与総額
専門卒 270,566円
大卒 279,854円

 

【500床以上】看護師の初任給

  給与総額
専門卒 267,805円
大卒 278,167円

出典:日本看護協会「2022年病院看護・助産実態調査」
※給与総額には通勤手当・住宅手当・夜勤手当などを含む(時間外手当は除く)

 

 

6)夜勤が始まったら、給料はいくら増える?

夜勤をしている看護師のイメージイラスト

入職からしばらく経ち、1年目ナースも夜勤をこなすようになると、給料もぐっと増えます。

 

日本看護協会の調査によると、夜勤手当の平均額と月平均回数は次の通りです。

 

看護師の夜勤手当額と夜勤回数(平均)

  2交代 3交代
    準夜勤 深夜勤
平均手当額 11,286円 4,154円 5,122円
平均回数 4.7回 7.7回
平均手当額×回数 53,044円 35,713円

出典:日本看護協会「2020年病院看護実態調査」

※3交代の平均夜勤回数(7.7回)は準夜勤と深夜勤で均等に除した

 

2交代の場合は平均5.3万円ほど3交代の場合は平均3.6万円ほどが、夜勤手当として毎月の給料に加わる計算になります。「看護師は夜勤で稼ぐ」と言われるように、夜勤手当は看護師の収入で大きなウエイトを占めています

 

 

7)10年目で給料はどのくらいアップする?

さて、働き始めて10年したら、看護師の給料はどのくらい上がるのでしょうか?

 

日本看護協会の調査から、10年目の中堅ナース(31~32歳、非管理職)の給料を見てみましょう。

 

中堅看護師の給料の図表。給与総額は平均32万4446円、うち基本給24万6770円。

 

1年目の給料と比べると、勤続10年で基本給が4万円前後、給与総額が5万~6万円前後アップするイメージです。 

 

厚生労働省のデータから、年代別にさらに詳しく見てみましょう。

 

看護師の年齢別月収と年収の棒グラフ。20-24歳は月収29.5万円、年収400.4万円。25-29歳は月収33.4万円、年収477.0万円。30-34歳は月収33.4万円、年収478.9万円。35-39歳は月収34.6万円、年収505.8万円。40-44歳は月収36.1万円、年収529.7万円。45-49歳は月収38.5万円、年収565.4万円。50-54歳は月収38.4万円、年収566.4万円。55-59歳は月収39.1万円、年収578.5万円。60-64歳は月収34.4万円、年収483.1万円。65-69歳は月収29.1万円、年収393.9万円

 

看護師の年収・給料は「20代の年収は他職種と比べて高いが、その後は伸び悩む」という特徴があります。看護師は女性が多く、結婚や出産・育児などでキャリアが中断しやすいことなども影響しているでしょう。そのため、男性の割合が高いほかの職種と比べると、昇給率は高くありません。

 

 

 

8)新卒看護師の基本給は5年前より3000円前後アップ

最後に、新卒看護師の基本給がこの5年間でどのくらい変化したのか見てみましょう。

 

新卒看護師の「基本給」は、2022年度は前年度をわずかに下回りました。ただ、5年前(2018年度)と比べると、専門卒は3200円ほど、大卒は2600円ほど基本給がアップしています

 

2023年版看護師の初任給の5年間の推移(2018~2022年度採用)図表。5年前の2018年度採用と比べて2022年度採用の専門卒は総額で2330円マイナス、基本給は3162円増。大卒は総額で1345円プラス、基本給は2603円増

編注:2018・2019年度は前年時点の予定額、2020年度~は当年度実績額

 

一方、夜勤手当や通勤手当などの各種手当(時間外手当は除く)を合わせた給与総額は、この5年間でみるとむしろやや減少傾向です。その理由について、日本看護協会は「夜勤手当の金額が下がっている可能性がある」と見ています。

 

このため、「新卒看護師の給料が良くなっている」といった実感は持ちにくい状況です。

 

 

9)まとめ

看護師の初任給は、全職種の平均額に比べるとやや高めの水準です。

 

ただし、それは月3万~5万円の夜勤手当を含んでの話。実際には夜勤手当が付かない時期もあり、基本給だけで比較すると必ずしも高給とは言い切れません。また、昇給が緩やかなので、年次を重ねるごとに業務の負担感を感じやすいという側面もあります。

 

看護師は人手不足が続いていますが、若手ナースが看護師として生き生きと働き続けられるような環境づくりに期待したいですね。

 

 

【看護roo!編集部】

 

【注】

・1年目看護師の年収の計算式=初任給×12+10万円+20歳~24歳の年間賞与の平均×1/2

・この記事は2023年5月12日、最新データに基づき更新しました(前回更新:2023年4月3日/初出:2018年5月9日)。

 

 

(参考)

2022年病院看護・助産実態調査(日本看護協会)

2021年病院看護・外来看護実態調査(同)

2020年病院看護実態調査(同)

2019年病院看護実態調査(同)

2018年病院看護実態調査(同)

賃金構造基本統計調査(厚生労働省)

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