最終更新日 2018/05/15

生物学的製剤

生物学的製剤とは・・・

生物学的製剤(せいぶつがくてきせいざい、Biological products)とは、化学的に合成された物質ではなく生物由来のタンパク質などを利用して生成された薬剤である。
広義には予防接種に使用されるワクチン、インスリンなどのホルモン製剤、凝固因子製剤や免疫グロブリンなども含まれる。膠原病領域においては、主にサイトカインを対象にしたモノクローナル抗体が用いられている。

【特徴】
関節リウマチに対する生物学的製剤は既存の抗リウマチ薬より薬価は高いものの、その有効性が期待されており、特に関節破壊抑制効果が高いといわれている。また、寛解が維持できる場合もある。現在はメトトレキサート等で病勢のコントロールができない場合には、早期に生物学的製剤を導入して関節破壊を防ぐ治療方針が国際的にも推奨されている。

【種類】
本邦で使用できる生物学的製剤の種類は増えており、主に大きく分けてTNF-α阻害薬、抗IL-6受容体抗体、CTLA4抗体の3つに分類される。作用機序以外にも、マウス蛋白を用いたキメラ型モノクローナル抗体やヒト蛋白のみを用いたものなど製造方法の違いや、投与経路や投与間隔、メトトレキサートの併用の必要性などそれぞれ製剤ごとに特徴がある。

【副作用】
副作用として最も問題となるのは感染症である。ニューモシスティス肺炎結核、B型肝炎が問題となることがあり、結核の再活性化やB型肝炎の再活性化などが問題となる場合は予防投薬を要することもある。

執筆: 井上 彰

明石医療センター 救急科医長

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