特定行為の大枠がついに決定!ドレーンやカテーテル抜去、薬剤投与など38項目

医師の指示の下で、看護師がより高度な行為を行えるようにするための「特定行為」の具体的な内容の大枠が固まりました。ドレーン抜去、インスリンや降圧剤など薬剤の投与量調節、中心静脈カテーテル抜去など38項目が特定行為に位置付けられました。

 

特定行為の大枠がついに決定!ドレーンやカテーテル抜去、薬剤投与など38項目|看護師専用Webマガジン【ステキナース研究所】

 

特定行為とされたのは、21区分38項目です(図1)

38項目の中には、事前の調査で現場における実施率が1割未満の行為も多く、これらの行為を看護師が実施することについて、法律上の“お墨付き“を与えることになったのは、かなり踏み込んだ決定といえるでしょう。なお、呼吸器関連の経口・経気管挿管とチューブの抜去は、安全面から今回は見送りとなり、早い時期に再び検討するよう、委員から要望が出されました。

 

研修は315時間、3~5年の実務経験が必要

今後のスケジュールは、来年4月から指定医療機関の募集が開始され、10月から実際の研修がスタートする予定です。研修時間はトータル315時間で、既習事項は一部免除もあります。対象者は、「3~5年以上の実務経験を持った看護師」です。

 

指導者は、医師や歯科医師、薬剤師、知識及び経験を有する看護師。インターネット受講を含めた座学と実習で構成され、実技は模擬患者などを使ったシミュレーションテストであるOSCE(オスキー)も取り入れられるとのことです。

 

特定行為の目的―チーム医療と在宅医療

特定行為の大きな目的は、チーム医療における役割分担と同時に、2025年にむけて在宅医療を円滑に進めていくことです。看護師が単独で患者宅を訪問した際に、さまざまな判断をしなければならないシーンが今後、ますます増えていくことが予想されます。その際に、標準化された行為を行えるよう、研修体制をしっかり作っていくことが狙いです。

 

安心して在宅医療を受けたい患者、医師不足に悩む地域などにとって、特定行為の創設は福音ともいえます。一方で、法律で認めたことによって、特定行為を実施する看護師の責任が重くなることは避けられません。特定行為の研修を受ける人にとっても受けない人にとっても、看護師の役割拡大を法的に認めた今回の改革は、大きな意味を持つことになるでしょう。

 

特定行為区分・特定行為区分に含まれる行為-図1

 

■呼吸器関連(気道確保に係る行為)

  • 経口・経鼻気管挿管チューブの位置調節
  • 経口・経鼻気管挿管の実施(今回は見送り)
  • 経口・経鼻気管挿管チューブの抜管(今回は見送り)

 

■呼吸器関連(人工呼吸療法に係る行為)

  • 人工呼吸器モードの設定条件の変更
  • 人工呼吸管理下の鎮静管理
  • 人工呼吸器装着中の患者のウィーニングの実施
  • NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)モード設定条件の変更

 

■呼吸器関連(長期呼吸療法に係る行為)

 

■動脈血液ガス分析関連

 

■循環器関連

  • 「一時的ペースメーカー」の操作・管理
  • 「一時的ペースメーカーリード」の抜去
  • PCPS(経皮的心肺補助装置)等補助循環の操作・管理
  • 大動脈内バルーンパンピング離脱のための補助頻度の調整

 

■透析管理関連

  • 急性血液浄化に係る透析・透析濾過装置の操作・管理

 

■腹腔ドレーン管理関連

  • 腹腔ドレーン抜去(腹腔穿刺後の抜針含む)

 

■胸腔ドレーン管理関連

  • 胸腔ドレーン抜去
  • 胸腔ドレーン低圧持続吸引中の吸引圧の設定・変更

 

■心囊ドレーン管理関連

  • 心囊ドレーン抜去

 

■術後疼痛管理関連

  • 硬膜外チューブからの鎮痛剤の投与、投与量の調整

 

■創部ドレーン管理関連

  • 創部ドレーン抜去

 

■創傷管理関連

  • 褥瘡・慢性創傷における血流のない壊死組織の除去
  • 創傷の陰圧閉鎖療法の実施

 

■循環動態に係る薬剤投与関連

  • 持続点滴投与中薬剤(降圧剤)の病態に応じた調整
  • 持続点滴投与中薬剤(カテコラミン)の病態に応じた調整
  • 持続点滴投与中薬剤(利尿剤)の病態に応じた調整
  • 持続点滴投与中薬剤(K、Cl、Na)の病態に応じた調整
  • 持続点滴投与中薬剤(糖質輸液、電解質輸液)の病態に応じた調整

 

■血糖コントロールに係る薬剤投与関連

  • 病態に応じたインスリン投与量の調整

 

■栄養・水分管理に係る薬剤投与関連

  • 脱水の程度の判断と輸液による補正
  • 持続点滴投与中薬剤(高カロリー輸液)の病態に応じた調整

 

■栄養に係るカテーテル管理関連(中心静脈カテーテル関連)

  • 中心静脈カテーテルの抜去

 

■栄養に係るカテーテル管理関連(PICC 関連)

  • PICC(末梢静脈挿入式静脈カテーテル)挿入

 

■精神・神経症状に係る薬剤投与関連

  • 臨時薬剤(抗けいれん剤)の投与
  • 臨時薬剤(抗精神病薬)の投与
  • 臨時薬剤(抗不安薬)の投与

 

■感染に係る薬剤投与関連

  • 臨時薬剤(感染徴候時の薬剤)の投与

 

■皮膚損傷に係る薬剤投与関連

 

■ろう孔管理関連

  • ろう・腸ろうチューブ、胃ろうボタンの交換
  • 膀胱ろうカテーテルの交換

 

※経口・経鼻気管挿管の実施、経口・経鼻気管挿管チューブの抜管の2項目は今後も継続して検討

※記事中の記述は2014年12月28日時点のものです

 

(関連記事)
あなたのその行為、実は法律違反かも!?看護師の特定行為がスタートへ(2014年8月17日)

どうなる?特定行為スタートで看護師の法的責任はふえるのか(2014年12月8日)

 

(参考)

厚生労働省資料

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