最終更新日 2018/03/13

肉芽腫

肉芽腫とは・・・

肉芽腫(にくげしゅ、granuloma)とは、刺激物質に対してマクロファージ系細胞が反応して形成される慢性炎症反応である。「腫」と付いているが、腫瘍性病変ではなく、免疫学的炎症反応の一過程である。

「にくがしゅ」と呼ばれるが、医学では習慣的に「にくげしゅ」と呼ぶことが多い。肉芽腫はマクロファージ、リンパ球好酸球、形質細胞などから構成される。しばしば大型化したマクロファージである類上皮細胞や多核巨細胞の出現を伴う。肉芽腫の形成とその維持には腫瘍壊死因子α、インターフェロンγ、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、インターロイキン1などのサイトカインや増殖因子の作用が重要である。

【病理組織学的分類】
肉芽腫は病理組織学的にサルコイド型、異物型、類結核型、柵状、化膿性の5つに分類される。
類上皮細胞およびラングハンス巨細胞からなるサルコイド型肉芽腫は、サルコイドーシスなどがこれにあたる。肉芽腫内に異物を伴う異物型肉芽腫は、異物に対する肉芽腫である。乾酪性壊死を伴う類結核型肉芽腫は、結核、ハンセン病などにみられる。中心部に変性した線維成分が見られる柵状肉芽腫はリウマチ結節などが代表疾患である。肉芽腫内に好中球浸潤が見られる化膿性肉芽腫は、深在性真菌症や非結核性抗酸菌症でみられる。

【誘引物質による分類】
誘因物質による分類は感染性肉芽腫と非感染性肉芽腫に分けられる。
感染性肉芽腫はその感染した微生物によって細分化される。非感染性肉芽腫は特発性・代謝性疾患に伴うもの、変性した線維成分に対するもの、多発血管炎性肉芽腫症好酸球性多発血管炎性肉芽腫症などの自己免疫性疾患に伴うもの、異物に対するものに細分化される。

【診断】
肉芽腫の診断は、病変部位の生検による病理診断による。組織学的分類を行い、感染性か非感染性かを判断し、感染性であれば各感染症に対する治療を行う。非感染性の場合にはサルコイドーシス、血管炎であるか、それ以外かを判断し、サルコイドーシス、血管炎であれば他臓器病変がないか全身検索を行う。サルコイドーシス、血管炎以外であれば各疾患に関与が推測されている原因の精査を行う。

執筆: 金子開知

Hospital for special surgery Postdoctoral fellow

執筆: 南木敏宏

東邦大学医療センター大森病院 膠原病科教授/診療部長

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