最終更新日 2019/11/21

サルコイドーシス

サルコイドーシスとは・・・

サルコイドーシス(さるこいどーしす、sarcoidosis)は、皮膚リンパ節、肺、眼、心臓などの多臓器にわたり非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が出現する原因不明の多臓器疾患である。指定難病の一つ。

 

サルコイドーシスは20歳代と50歳代以降に2峰性に多く発症し、とくに男性は20歳代、女性は50歳代以降に多くみられる。両側の肺門リンパ節、肺、皮膚の罹患頻度が高い。ただし、肝臓脾臓、リンパ節、心臓、神経とさまざまな臓器に罹患することもある。

 

症状

サルコイドーシス発見時の1/3は無症状といわれる¹⁾。視力低下、霧視(かすみがかったようにみえること)や飛蚊症(虫が飛んでいるように小さい点が動いて見えること)、羞明(まぶしく感じること)などの眼症状で発見される場合が多い。皮疹、咳嗽、呼吸困難感、倦怠感、発熱、関節痛などがある。

 

検査・診断

検査としては、胸部単純写真、CT、ガリウムシンチなどの画像検査を行う。
また、サルコイドーシスの診断基準が存在し、組織診断群と臨床診断群に分けられる。組織診断群では病変の組織を採取し、肉芽腫を証明することが診断に重要となる。臨床診断群では呼吸器、眼、心臓の3臓器中の2臓器以上においてサルコイドーシスを強く疑う臨床所見を認め、特徴的所見の5項目中2項目以上が陽性のものが診断される。

 

例えば、検査所見として以下のようなものが挙げられる。

 

・血中アンギオテンシン変換酵素(ACE)やリゾチームの上昇
・ガンマグロブリン血症や高カルシウム血症
・尿中カルシウムの高値
・ツベルクリン反応陰性化

 

その他、気管支内視鏡検査や眼科、循環器科と多くの科の診察を行い、総合的に見た上で診断する。その理由としては、サルコイドーシスによく似た病変を呈するリンパ増殖性疾患、ベーチェット病シェーグレン症候群などを除外するためである。

 

治療

日本では患者の約6~7割は自然寛解すると報告されている。そのため、症状の軽い例では自然改善を期待して経過を見ることが多い。ただし、自覚症状が強い場合や、病状が進行してきた場合、肺、心、神経、眼などの臓器障害を来すため、副腎皮質ステロイドホルモン剤や免疫抑制剤が使用される。


引用参考文献
1)” Ι. 概要”.日本サルコイドーシス/肉芽腫製疾患学会.

執筆: 上村恵理

長崎大学病院 高度救命救急センター助教

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