最終更新日 2018/01/16

ハンセン病

ハンセン病とは・・・

ハンセン病(はんせんびょう、Hansen's disease)とは、抗酸菌の一種であるらい菌による慢性感染症のことである。皮膚と末梢神経を主な病変とする。

日本での発症は、毎年数名程度で大部分は東南アジアなどからの在日外国人である。保菌している未治療患者からの飛沫感染が多いと言われているが、感染力は非常に弱く、らい菌と接触しても95%は自然免疫で感染・発症を防ぐことができる。また、潜伏期間も非常に長く、数年から数十年と言われている。

【分類】
ハンセン病は、大きく4つの病型に分類される(リドレー・ジョプリング〈Ridley-Jopling〉分類)。
・特異的症状に乏しい発症初期のI群
・らい菌に対する免疫能が本来あるが、何らかの理由で免疫能が低下し感染が成立するTT型
・免疫能を持たない人が発症するLL型
・免疫応答がTT型、LL型の中間であるB群

【症状】
症状は、皮膚症状と神経症状が重要である。
皮膚症状は、痛みや痒みなどの自覚症状がない皮疹であり、白斑や紅斑、結節などのさまざまな形を呈する。皮膚症状だけで診断は難しく、病理組織学的所見から本症を疑う。末梢神経障害(特に大神経と尺骨神経)としては、知覚障害を認めることが多い。
また、二次症状として、眼症状や神経因性疼痛、脱毛や難治性潰瘍などを認める。

【治療】
治療は、ジアフェニルスルフォン(DDS)、クロファジミン(CLF)、リファンピシン(RFP)の3種を併用する多剤併用療法が主体となる。神経炎ではステロイドを適宜内服する。治療過程や精神的ストレスを契機として皮疹の増悪や発熱、急速な末梢神経障害の増悪が見られることがあり、らい反応(leprous reaction)と呼ばれる。

執筆: 水 大介

神戸市立医療センター中央市民病院  救命救急センター医長

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