最終更新日 2023/11/28

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群とは・・・

ネフローゼ症候群(ねふろーぜしょうこうぐん、nephrotic syndrome)とは、尿中に多量のタンパク質が漏れることで血液中のタンパク質(アルブミン)が減り、低タンパク血症などが引き起こされる症候群である。

 

【症状】
主な症状は、体重の増加、足のむくみ(浮腫)、尿の泡立ち(蛋白尿)である。
ほかに、高血圧血尿、胸水・腹水の貯留や、高度低アルブミン血症がある場合には尿量減少を引き起こすこともある。

 

【原因】
腎疾患が原因となる一次性ネフローゼ症候群と、そのほかの全身性疾患による二次性ネフローゼ症候群とに分類される。

(1)一次性ネフローゼ症候群
一次性ネフローゼ症候群の原因となる主な疾患に微小変化型ネフローゼ症候群、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎がある。

 

(2)二次性ネフローゼ症候群
二次性ネフローゼ症候群は、代謝性疾患(糖尿病など)や自己免疫疾患膠原病)、感染症(ウイルス性慢性肝炎)、腫瘍、遺伝性疾患などが原因となり起こる。

 

【検査・診断】
ネフローゼ症候群の診断基準1)は以下の通りで、一次性ネフローゼ症候群の確定診断は腎生検での病理検体で行う。

 

1)タンパク尿:1日3.5g以上が持続
2)低アルブミン血症:血清アルブミン値3.0g/dL以下
3)浮腫
4)脂質異常症(高LDLコレステロール血症)

※「浮腫」と「脂質異常症」は必須基準ではない。

 

原因を確定するために、胸部X線写真や超音波検査なども行われる。場合によっては遺伝子検査が行われることもある。

 

【治療法】
原因疾患が判明している場合は、その治療を行う。その他の症状には、浮腫に対する治療とタンパク尿に対する治療といった、対症療法を行う。

(1)浮腫
浮腫を軽減するための塩分制限と利尿薬の投与を行う。


(2)タンパク尿
副腎皮質ステロイドの投与を行う。副腎皮質ステロイドで改善されない場合は、免疫抑制剤を投与する場合もある。


(3)そのほか
腎保護を目的としたACE阻害薬・アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬の使用、高LDLコレステロール血症に対してスタチンを使用することがある。

 

なお、末期腎不全となれば腎移植が考慮される。

 

 

【引用・参考文献】
1)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)「難治性腎障害に関する調査研究」班 編.成田一衛 監.エビデンスに基づくネフローゼ症候群診療ガイドライン2020.東京医学社,2020,p82.
2)難治性腎障害に関する調査研究班.一次性ネフローゼ症候群(指定難病222).難病情報センター.

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