最終更新日 2023/09/28

血尿

血尿とは・・・

血尿(けつにょう、hematuria)とは、血液中の赤血球が何らかの原因により尿に混入した状態である。

 

肉眼的に判別がつくものを肉眼的血尿といい、尿1Lに対して血液1mL以上が混入すると肉眼的に血尿と判別がつくとされている1)

 

また、顕微鏡検査で初めて赤血球が認識されるものを顕微鏡的血尿という。血尿診断ガイドライン1)では、尿沈渣検査で赤血球を5個/HPF以上を認めること、無遠心尿での測定では尿中赤血球 20個/µL 以上認めるものを血尿の条件としている。
HPF(high power field):400倍強拡大1視野

 

【症状】
肉眼的血尿はほとんどの場合、患者自身が自覚する。
一方、顕微鏡的血尿の多くは無症候性であり、健康診断で異常を指摘されて初めて気がつくことが多い。

 

【検査・診断】
健診では試験紙法による尿潜血反応が用いられる。
尿潜血が陽性の場合、スクリーニング検査として尿沈渣検査が用いられる。さらなる精査として、尿細胞診、腹部超音波検査、膀胱鏡検査、CT検査、MRI検査などがある。

 

尿沈渣検査で糸球体性血尿があった場合、腎炎のスクリーニングが必要になる。その他の所見(蛋白尿や腎機能障害など)次第では、診断のために腎生検を行う。

 

尿路上皮がん(腎盂、尿管、膀胱、尿道)の精査として、非侵襲検査である尿細胞診や腹部超音波検査が有用である。また尿路上皮がんの高リスク症例では、造影CT検査や膀胱鏡検査を行うことが推奨される。

 

【治療】
肉眼的血尿を認める患者では、原因検索とともに血圧低下や頻脈などバイタルサインの異常がないか確認することが重要である。バイタルサインの異常があれば、輸血や止血処置が必要になることがある。

 

【原因】
血尿が起こる原因としては尿路感染症尿路結石が多い。その他には尿路上皮がんや腎がん、前立腺がんなどの悪性腫瘍、前立腺肥大症、糸球体疾患、腎梗塞が血尿の原因として挙げられる。また、激しい運動、月経血の混入、外傷も血尿の原因になる。また原因不明な場合も多い。

 

【予防】
肉眼的血尿の約20%程度が尿路悪性腫瘍によるものであるという報告もあり、早期に医療機関を受診して、精査することが勧められる。

 

 

【引用・参考文献】
1)日本腎臓学会ほか.血尿診断ガイドライン2023.東京ライフサイエンス出版,2023,p80.
2)Khadra MH,et al. A prospective analysis of 1,930 patients with hematuria to evaluate current diagnostic practice. J Urol.163(2),2000, 527-7.

SNSシェア

用語辞典トップへ