HbA1cとは・・・
HbA1c(へもぐろびんえーわんしー、Hemoglobin A1c)とは、直近1~2か月の血糖値が反映された値で、糖尿病の診断や血糖コントロールの指標として用いられる。
赤血球の成分であるヘモグロビンがブドウ糖と結合している状態を糖化ヘモグロビンと呼ぶ。HbA1cは、この糖化ヘモグロビンが赤血球中のヘモグロビン量のうち、どのくらいの割合で存在しているかを表している。
【基準値】
基準値は4.6〜6.2%である。
【検査値の注意点】
HbA1cの検査結果について、それぞれ以下のような状態がある。
・HbA1cが高く出やすい状態
糖尿病が急速に改善した場合
鉄欠乏性貧血 など
・HbA1cが低く出やすい状態
糖尿病が急激に発症・増悪した場合
肝硬変
溶血性貧血
鉄欠乏性貧血の回復期 など
【血糖コントロールの指標としてのHbA1c】
HbA1cは血糖コントロールの指標として重視されている。血糖コントロールの目標値としては、日本糖尿病学会により以下のように定められている1)。
・血糖正常化 6.0未満
・合併症予防 7.0未満
・治療強化が困難 8.0未満
ただし、血糖コントロール目標の設定については「患者の特徴や健康状態:年齢、認知機能、身体機能(基本的ADLや手段的ADL)、併存疾患、重症低血糖のリスク、余命などを考慮して個別に設定すること」としている1)。
なお、HbA1cの数値が高いと、さまざまな合併症を引き起こしたり、心血管障害・脳梗塞のリスクとなったりするため、HbA1cの数値を下げる治療が重要である。
その治療には、当然食事療法、運動療法なども含まれるため、日常生活の指導も重要な治療となってくる。
【引用参考文献】
1)日本糖尿病学会編著.糖尿病ガイド2022-2023,文光堂,2022,156p.