最終更新日 2023/09/28

血便

血便とは・・・

血便(けつべん、hematochezia)とは、形状のある便の周囲に血液が付着しているものを指す。成分または出血部位により血便か下血かに区別される。

 

狭義には、血便は下部消化管出血を示唆する鮮血便や赤色便を指し、下血は上部消化管出血を示唆する黒色便やタール便を指す。ここでは、下部消化管出血で見られる血便について解説する。

 

【症状】
血便が見られる患者では、下痢腹痛などの腹部症状以外にも、消化管出血による貧血症状(ふらつき、息切れめまい動悸など)を訴えることもある。また血便の原因によっては腹痛の症状がないこともある。

 

【原因】
ここでは血便(狭義の下部消化管出血)の原因を記載する。

(1)下部消化管疾患
最も多いのが大腸憩室出血で、それ以外には虚血性大腸炎や痔も頻度が多いとされる。
また、感染性腸炎、炎症性腸疾患、大腸がん直腸潰瘍などが原因の場合もある。

 

(2)検査
ポリペクトミー生検後に血便を認めることもある。

 

(3)薬剤
リスクになる薬剤として抗血小板薬、抗凝固薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などが挙げられる。NSAIDsは上部消化管出血だけでなく、大腸憩室出血や小腸出血など下部消化管出血のリスク因子にもなる。

 

【検査・診断】
血液検査ヘモグロビンや血小板、凝固能などの評価を行い、貧血や感染、炎症の有無を評価する。
直腸診や肛門鏡:便の性状の評価や痔核、潰瘍の有無を調べる。
腹部造影CT検査:活動性出血を疑う場合は考慮する。
大腸内視鏡検査:出血源の同定や治療介入のために行う。

 

【治療法】
ここでは下部消化管出血の治療について記載する。
貧血や出血性ショックの状態ならば輸血が必要になる。
活動性出血は否定的でバイタルサインなど全身状態が安定していれば、後日大腸内視鏡検査を予定する。活動性出血が疑われる場合は緊急大腸内視鏡検査を行い、出血源があれば止血処置を行う。大腸内視鏡検査で止血が困難な場合は、血管造影での塞栓術や外科的な手術が選択肢になる。

 

 

【引用・参考文献】
1)Srygley FD,et al.Does this patient have a severe upper gastrointestinal bleed?.JAMA.307(10),2012,1072-9.
2)日本消化管学会ガイドライン委員会.大腸憩室症(憩室出血・憩室炎)ガイドライン.日本消化管学会雑誌.1,2017,p54.

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