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2016年11月17日

リフィーディング症候群|“コレ何だっけ?”な医療コトバ

『エキスパートナース』2015年4月号より転載。
リフィーディング症候群について解説します。

リフィーディング症候群とは・・・

織田順
(東京医科大学病院救命救急センター長・准教授)

〈目次〉

 

リフィーディング症候群(refeeding syndrome)とは?

リフィーディング症候群とは、慢性的な栄養障害がある状態に対して、急激に栄養補給を行うと発症する、代謝性の合併症です。

飢餓状態が長く続いたあとに急に栄養補給されると、心不全呼吸不全腎不全肝機能障害ほか多彩な症状を呈することがあります。

リフィーディング症候群(refeeding syndrome)

 

リフィーディング症候群は、どんなとき起こる?

リフィーディング(refeeding)とは、re(再び)feeding(摂取)という言葉の意味からもわかる通り、急激な栄養補給による障害を広く指して使われます。

例えば絶食、るい瘻、低血糖の症例に対しては、適切なカロリーの投与を急ぎたくなりますが、飢餓状態では代謝に以下のような変化をきたしており、急速な栄養補給は危険です。

 

リフィーディング症候群は、なぜ起こる?(メカニズム)

飢餓に陥ると、エネルギー代謝の主体は、糖から、貯蔵された脂肪やタンパクを利用するように変わります。さらに飢餓が長期になると、脂肪が主役となります。主要なミネラルも枯渇します。

ここで急激に栄養補給されると、急な糖負荷によりインスリン分泌は増加し、グルカゴンは抑制されます。リン、マグネシウムなどのミネラルはグルコース利用(細胞内への移動)に伴って細胞内に移動し、血中濃度が低下します。

また、ビタミンBの利用が増加しますが、低栄養により枯れている状態なので、いよいよ完全な欠乏状態となってしまいます。

 

リフィーディング症候群ではどんな症状が出る?

リンは体のエネルギー・ATPの一部となり、また酸素運搬にも必須です。この欠乏により、心不全、不整脈、呼吸不全、意識障害、けいれん、四肢麻痺などの多彩な症状を生じます。

マグネシウムは、体内の反応の多くで補酵素としてはたらいているので、欠乏すると不整脈や神経筋の合併症をきたします。

また、ビタミンB1枯渇による、ウェルニッケ症候群(眼性異常、運動失調錯乱状態、低体温、昏睡)や、コルサコフ症候群(逆行性健忘、作話症)などを生じます。

 

リフィーディング症候群のポイント

栄養補給の方法に注意

長らく糖代謝によるエネルギー代謝を行っていないところに、急に糖負荷を行うと、急激にインスリン分泌をきたし、糖代謝に必要な物質が欠乏してしまうところがポイントです。なかでも最も気をつけるべきものがリン・マグネシウム欠乏で、不整脈から死に至ることがしばしばです。

したがって、長期間の飢餓に対しては、栄養補給のペースに最大限配慮するとともに、これらのミネラルや電解質のモニタリングが非常に重要です。

また、高リスク患者のアセスメントが大切です。英国のNICEガイドラインには、リフィーディング症候群の高リスク患者が示されています(表1(1)

表1リフィーディング症候群の高リスク患者

リフィーディング症候群の高リスク患者

文献1より引用)

 

リフィーディング症候群にどう対応する?

まずは上記に沿ったアセスメントを行い、状態把握を行いましょう。高リスク患者であれば、再栄養に最大限の注意を払わなければなりません(図1)。栄養は、静脈栄養より経腸栄養のほうが適しているともいわれています。

図1リフィーディング症候群を防ぐための投与フローチャート

リフィーディング症候群を防ぐための投与フローチャート

 

なお、再栄養開始から1~2週間までは、リフィーディング症候群の発症リスクが続きます。

 

コラム:「ダンピング症候群」とは?

切除後の栄養投与の際には、胃に食物をプールできなくなるため小腸に急速に流れ込みます。すると急速に血糖が上昇します。

引き続き反応して分泌されるインスリンにより、今度は血糖の急降下が起こります。

これら血糖の急な変化により、おおむね食後2~3時間あたりで「震え、冷汗、めまい、脱力」などを生じるのが、「ダンピング症候群」です。少しずつ摂取することが大切です。

 

 


[引用文献]

  • (1)National Institute for Health and Clinical Excellence:Guideline for the Management of Refeeding Syndrome(Adults)2nd edition.NHS Foundation Trust;2009.

[Profile]
織田順(おだじゅん)
東京医科大学病院救命救急センター長・准教授

*略歴は掲載時のものです。


本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。/著作権所有(C)2015照林社
[出典]エキスパートナース2015年4月号

エキスパートナース2015年4月号

P.32~「リフリーディング症候群」

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