ツアーナースをする前に最低限知っておくべきこと5つ|ツアーナースのつれづれ日誌【最終回】

最終回の今回は、「ツアーナースをする前に最低限知っておくべきこと」を5つピックアップしてお伝えします。

(ツアーナースの仕事内容【まとめ】は▶こちら

 

ツアーナースのつれづれ日誌【最終回】

ツアーナースをする前に最低限知っておくべきこと5つ

 

 

 

【1】医療の専門家は自分1人

 

病院などの施設で働いていると、医療機器や、医師・看護師ら医療スタッフが揃った状況に慣れていると思います。

 

そのような状況と違い、ツアーナースの場合は「医療者が自分1人」という現場で対応しなければなりません。

医療機器が少ない中で、自身が中心となって学校教諭らと相談したり指示をしながら対応することを知ってほしいと思います。

 

ツアーナースの応募要件に「臨床経験3年以上」と記載されていても、実際にはこれまで経験したことのない対応や判断を行う場面があります。


病院とは違ったスキルが試される場所と捉えておきましょう。

 

 

【2】自分の判断では投薬や病院受診を決められない

一方で、「自分1人の判断では投薬や病院受診を決められない」ことも忘れないでください。 


ツアーナースであっても、もちろん「保健師助産師看護師法」の下に業務を行います。

 
保護者・ツアーの責任者(校長先生など)に適切な情報を提供・相談をし、最終的に責任者が判断するという流れになります。

 

 

 

【3】アセスメント能力が問われる

投薬や病院受診について、保護者や学校教諭に適切な情報を提供する際には、看護師としてのアセスメント能力が問われます。

 

アセスメントをせずに、解熱鎮痛薬などを手渡すのは、看護師としてしてはならないことです。

 

たとえば、生徒が頭痛を訴えてきた場合のアセスメントとして、まずは緊急性の有無を判断します。

緊急の対応が必要となるのは、疾患や髄膜炎など、重篤な状態へ進行する可能性がある症状です。

 

それらの可能性を排除するために、体温、可能であれば血圧呼吸数・脈拍などを測定し、異常がないかを確認します。

 

次に、顔色や手先のしびれや麻痺めまい吐き気の有無、受け答えがしっかりしているか等を確認します。

 

そして、次のような情報を聴取します。

 

・症状がいつから出始めたか

・痛みの度合い(持続的か一時的か)

・痛みの部位

既往歴

・今までにも同様の症状があったか

・生活状況(食事や睡眠など)

 

これらを総合的にアセスメントし、今後予想される状態を含め、学校教諭らと相談して対応を決定していきます。

 

 

【4】常に自分のスキルをアップデートすることが必要

同行中に何かあれば、ツアーナースは一番に現場に駆けつけ、適切な対応をし、必要なときには的確に救急搬送する必要があります。

 

緊急時の対応については日ごろから常に身につけ、アップデートすることが大切です。

 

たとえば、初期対応に関する講習会(BLSプロバイダーPEARSプロバイダー等)の受講も1つの方法です。

 

また、看護関連の情報だけでなく、養護教諭向けの書籍や雑誌で勉強することも役立ちます。

 

 

【5】経験者に学ぶことが大切

ツアーナースは臨機応変な対応が求められます。

前述したように、自身で学ぶことも必要ですが、それだけではすべて網羅することはできません。

 

私は、ツアーナースでペアで添乗する先輩看護師や養護教諭の先生、学校教諭らとのつながりを増やして、今まで起きたトラブルや、対応に苦慮した場面などの情報を共有しています。

 

病院でインシデントを共有するように、ツアーナースに関わる者同士でも、このような情報共有が大切だと感じています。

 

 

おわりに

ツアーナースの場合、病院などの施設勤務のようにマニュアルやルールが決められていないことも多く、知らないうちに自己流で対応してしまいがちです。

 

そして、自分で知識やスキルをアップデートしようとする姿勢がないと、古い情報のまま対応し、取り返しのつかない誤りに発展することもあります。

 

ツアーナースは簡単にできる「旅行気分の仕事」ではなく、「プロフェッショナルの仕事」としての認識が広まることを望みます。

 

私もまだまだ失敗や経験から学ぶことはたくさんあります。

これからも学び続けていきたいです。

 

プロとしての仕事だからこそ、ツアーナースの喜びがあることを知っていただけたらうれしいです。

これまでありがとうございました。

 


白石 弓夏(しらいし ゆみか)】

2008年より看護師として総合病院勤務。

小児科、整形外科・泌尿器科・内科の混合病棟、スポーツ整形外科を経験。

その後、派遣でクリニックや検診、ツアーナース、保健室業務、保育園、看護学校臨時教員などさまざまな働き方をし、現在フリーランスナースとして臨床にあたっている。

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