膀胱留置カテーテル(ラテックス製品)を挿入したら、呼吸困難が出現した!

『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、膀胱留置カテーテル(ラテックス製品)を挿入したら、呼吸困難が出現した場合について解説します。

金 姫静

河北総合病院看護部
救急看護認定看護師

 

 

 

患者に膀胱留置カテーテル(ラテックス製品)を挿入したら、呼吸困難が出現して焦っている看護師のイラスト

 

ピンチを切り抜ける鉄則

植物性食品のアレルギーのある患者さんは、医療現場で使用するラテックス製品により、ラテックスアレルギーを発症する可能性があります。
日頃から、アレルギー情報を確認する行動を習慣づけ、急なアレルギー反応が出現した際に慌てないように対応しましょう。

 

POINT
  • ラテックス製品によってアレルギー反応が起こることがあります。
    突然の呼吸困難や全身の症状の出現がラテックス製品によるアレルギー反応かどうかを判断し、すばやく対応できるかが重要です。

 

 

起こった状況

症例

60歳代、男性、脚立から転落し、左大腿骨骨折と診断され手術目的で入院となりました。
入院後、術前準備のため看護師が膀胱留置カテーテルを挿入すると、皮膚の掻痒感、と呼吸困難を訴えました。
急な症状に驚き、他の看護師に応援を要請しました。
問診票に“桃アレルギー”と記載されていましたが、入院時の申し送りはなく、確認していない状況でした。

 

 

どうしてそうなった?

ラテックス製品に接触してから数分以内に始まり、蕁麻疹喘息発作などさまざま症状が出現するラテックスアレルギーが生じていると考えられます。
また、皮膚症状、咳や息苦しさなどの呼吸器症状があり(図1)、複数の臓器に同時に、あるいは急激に出現しているアナフィラキシーの状態です。

 

図1皮膚症状、呼吸器症状

皮膚症状、呼吸器症状を表した図

 

血圧低下や意識障害を伴う場合はアナフィラキシーショックといい、迅速に治療しないと生命にかかわる危機的な状態になります。

 

 

どう切り抜ける?

1 アナフィラキシーを疑う症状を確認する

会話が困難、喘息や嗄声など気道の狭窄を疑う症状がある場合は、アナフィラキシーによる気道閉塞の可能性があるため、緊急度は高いと判断します。
救急カートや気道確保の準備をすすめ、必要に応じて一次救命処置を行います。

 

この患者さんは呼吸困難を訴えていますが、会話は可能で気道は確保できています。
チアノーゼはなく、喘息、嗄声やSpO2低下など気道の狭窄を疑う症状はありません。
徐々に元気がなくなる意識変化がある場合は、呼吸脈拍が遅くないか、皮膚の色が赤くないか確認します。
また、皮膚症状(全身に及ぶ発疹、痒みや紅潮)、粘膜症状(唇や舌などの腫れ)など全身状態の変化がないか観察します。

 

アナフィラキシーの重症度は“グレード2”(表1)の中等度ですが、皮膚の症状と急激な呼吸困難を自覚しており、血圧低下や意識障害などアナフィラキシーショックの出現や重症化しないか継続観察します。

 

表1アナフィラキシーの重症度分類

アナフィラキシーの重症度分類を表した表

*1 血圧軽度低下:1歳未満<80mmHg,1〜10歳<〔80+(2×年齢〕mmHg,11歳〜成人<100mmHg〕

*2 血圧低下:1歳未満<70mmHg,1〜10歳<〔70+(2×年齢〕mmHg,11歳〜成人<90mmHg〕

日本アレルギー学会:アナフィラキシーガイドライン2022:18.より引用

 

2 原因検索を行う

この患者さんのアレルギー情報を確認すると“桃アレルギー”であることがわかりました。
バナナ・アボカド・キウイ・栗・桃などの植物性食品(ラテックスと類似する蛋白質を有する食品)によるアレルギー反応を経験した患者さんは、ラテックスアレルギーを引き起こす可能性があり、注意が必要です。

 

3 アナフィラキシーの治療を行う

医師にラテックスアレルギーの可能性を報告し、ラテックス製品を代替品と交換または抜去します。
アナフィラキシーの治療は、各器官の重症度に応じて行われます。
蕁麻疹に対して抗アレルギー薬の投与、咳症状に対して気管支拡張薬の吸入などにより、ある程度は軽減させることが可能です。
呼吸器症状や血圧低下などのアナフィラキシーショックに対しては、アドレナリン投与も含めた初期対応が効果的です。
アドレナリンは、上気道の浮腫や気管支攣縮を軽減させ、低血圧に対する効果があります。
医師の指示の際は、アドレナリン0.3mgを大腿部に筋肉注射します。

 

アナフィラキシーは、一度治まった症状が数時間後に再発する場合があります。
ラテックスアレルギーの予防はアレルゲンとの接触を避けることです。
ラテックスアレルギーのハイリスク患者であることを医療チームで共有し、ラテックス製品(表2)を除去し、安全に治療や入院生活を送れるように環境調整します。

 

表2医療現場で使用するラテックス製品

医療現場で使用するラテックス製品を示した表

 

 

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参考文献 閉じる

1) 日本ラテックスアレルギー研究会編:ラテックスアレルギー安全対策ガイドライン2018.

2) 日本アレルギー学会:アナフィラキシーガイドライン2022.

 


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社

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