高流量酸素療法中(ハイフローセラピー)の患者さんのSpO2が低下したため酸素流量を上げたが改善しない!
『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、高流量酸素療法中(ハイフローセラピー)の患者さんのSpO2が低下したため酸素流量を上げたが改善しない場合について解説します。
沖縄県立南部医療センター・こども医療センター看護部
クリティカルケア認定看護師

ピンチを切り抜ける鉄則
高流量酸素療法は適切な流量設定にすることでその効果が期待できます。
SpO2が上がらない場合は、まずは患者さんの状態を確認すると同時に、ハイフローセラピーの流量が患者さんに適しているのか、機器が適切に接続されているのかを確認することが重要です。
チェックリストを活用することもお勧めです。
起こった状況
症例
患者Aさん、男性。身長170cm、呼吸困難を主訴に来院し、X線検査で両肺野の浸潤影が認められたため、肺炎の診断で入院となりました。
高流量酸素療法(ハイフローセラピー)が開始され、流量は20L/分、酸素濃度は30%で設定されています。
ハイフローセラピー導入後もSpO2は90%前後と低く、酸素濃度を60%に上げましたが、SpO2は改善しませんでした。
どうしてそうなった?
Aさんの予測体重は66kgです。
Aさんが息を吸うとき、1秒で660mL吸うと仮定するとハイフローセラピーの流量は約40L/分必要となります。
現在の流量は20L/分ですので明らかに流量が足りていません。
不適切な設定のため、ハイフローセラピーの効果が得られていないと考えられます。
どう切り抜ける?
1 まずは患者さんの状態を確認する(低酸素血症の原因を考える)
Aさんは肺炎で入院しています。
低酸素血症の原因がシャントであった場合、酸素濃度を上げてもSpO2は改善しません(図1)。
図1低酸素血症の鑑別1

平岡栄治,則末泰博,藤谷茂樹:重症患者管理マニュアル. メディカル・サイエンス・インターナショナル,東京,2018:256.を参考に作成
また、ハイフローセラピーは患者さんの口が常に開いた状態だと、口が閉じた状態と比較してPEEP効果が下がります。
体位の調整やドレナージ、排痰促進を試み、それでも改善が見られない場合は、速やかに医師に報告し、人工呼吸器管理を検討する必要があります。
2 ハイフローセラピーの回路に異常がないか、適切な設定であるかを確認する
ハイフローセラピー(図2)は100%の酸素を最大で約60L/分まで供給することができ、主な利点は「設定した酸素濃度を正確に投与できる」「解剖学的死腔の洗い出し(ウォッシュアウト)」「PEEP効果」「加温加湿効果」です2。
図2ハイフローセラピーの構造

利点を生かすためには、患者さんが吸う空気の量よりも高い流量に設定する必要があります。
患者さんの身長から予測体重を計算し、概算の流量を求めることができます(図3)。
図3流量設定の考え方

ハイフローセラピーは電源と酸素配管(機種によっては空気配管も)が必要です。
これらが適切に接続されているのか、回路に破損がないか、患者さんのネーザルカニューラが外れていないのかを確認することも重要です。
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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社



