罨法(あんぽう) |いまさら聞けない!ナースの常識【27】

毎日の業務の中で触れているけど、『いまさら聞けない』ことってありませんか?

知っているつもりで実は説明できない基礎知識や、ちょっと気になるけど調べるほどでもないな、なんてこと。

そんな看護師の素朴な疑問を、元看護師ライターがこっそり教えます。

 

Vol.27 罨法(あんぽう)

 

罨法(あんぽう)とは、看護師独自の判断で計画・実施ができる看護技術だ。症状を軽減させるために患部を温めたり冷やしたりする療法で、患者の状態に合わせて、温罨法と冷罨法を選ぶ。今回はこの罨法について、看護師ならではの判断や計画、実施について考えてみる。

 

そもそも罨法とは何か

罨法とは、身体の一部を覆って温熱や寒冷刺激を与えることで、鎮痛や消炎の効果を得て、安静・安楽をはかることを目的とする技術。

看護師たるもの、これらの温度刺激が患者の身体にどのような影響をあたえ、期待する効果が現れるのかを理解している必要がある。

また、実施して終わりではなく、実施後にどんな効果が得られたか、副作用はなかったかなど、観察と判断を行う必要がある。

 

罨法は基本的に、疼痛や炎症を起こしている部位に対して行うが、身体よりも高いあるいは低い温度の物体を、ある程度の時間貼布するため、低温熱傷や凍傷を起こす可能性があることを忘れてはいけない。

皮膚組織の損傷を起こしやすい状況についても事前に検討する必要がある。例えば、浮腫・知覚鈍麻・意識障害があれば、患者自身が異変に気付くのが遅れる。さらに栄養状態が不良な場合や、小児・高齢者ではこれらのリスクが高くなることも考慮し、罨法を実施している部位の観察を頻回に行う、あるいは罨法実施時間を短くすることも必要となる。

また、温度刺激を「心地よい」と感じる温度は個人差があるし、貼布部位やその時の条件によっても変わることを念頭においておこう。

 

 

温罨法のポイントをおさらい

●目的

知覚神経への作用として筋肉の緊張や拘縮を和らげること、局所への血管拡張を促して血液・リンパ液の循環促進から細胞の新陳代謝を促進など

 

●効果

疼痛の緩和、排尿や排便の促進、鎮静・リラクゼーション・入眠促進、血腫や薬液の吸収促進など

 

●実施中から実施後の観察項目

患者はリラックスできているか、実施中から実施後にかけて皮膚の発赤などの異常がないか、目的とした効果が得られたか

 

●注意点

出血傾向がある場合、消化管穿孔や閉塞がある場合、血圧などバイタルサインの変動が著名なときや全身の衰弱がみられるとき

 

蒸しタオルなどを使用する場合、麻痺や知覚障害がある部位への貼布、または意識障害などがあれば、タオル温度は通常よりも低めにし、貼布時間も通常(通常は10分程度)よりも短時間とする方が、低温熱傷などのリスクが少ない。

 

冷罨法のポイントをおさらい

●目的

知覚神経への作用として局所の疼痛を和らげること、血管収縮や血液・リンパ液の循環抑制から組織代謝の低下・炎症の抑制など

 

●効果

頭痛・体熱感の緩和による安楽や入眠促進、動脈血を冷却することによる体温下降、鎮静・鎮痛、受傷部位の冷却による炎症抑制、薬液の吸収抑制、化学療法時の脱毛予防など

 

●実施中から実施後の観察項目

患者はリラックスできているか、実施中から実施後にかけて皮膚の発赤や極度の冷感などの異常がないか、目的とした効果が得られたか、氷など融解や貼布位置のズレによる無駄な圧迫はないか

 

●注意点

乳幼児の場合は急激な体温低下によるショックを起こす可能性がある、体温の解熱効果を得たい場合は頸動脈・腋窩動脈・大腿動脈などの太い表在動脈を冷却する

 

もし悪寒の訴えや末梢皮膚温の冷感がある場合は、体温上昇期と考え、電気毛布や湯たんぽなどで保温を行い、体温が上昇しきったところで冷罨法を実施する。体温低下を目的とする場合、頭部や前額部への冷罨法では効果が得られないため、大体動脈・腋窩動脈・頸動脈などの太い表在動脈への冷罨法を行う。

 

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罨法というケアは、例えば子供が熱を出した場合に母親が頭を冷やす、捻挫や打撲の時に湿布を貼る、腰痛がある時に腰を温めるなど、看護師でなくても行うことはできる。

 

しかし看護師が行う場合、そのケアによってどのような効果が得られるかを考え、実施中から実施後にかけての適切な観察を行うことで看護技術とよべるケアとなる。

 

また、罨法による事故もゼロではない。例えば温罨法によって低温熱傷をおこしたり水泡ができることもあるし、冷罨法による局所の発赤や凍傷などもあり得る。一見、誰にでも出来るように見えるが、看護師が行うケアには、きちんとした根拠があることを念頭におき、ちょっとした油断やミスによる事故を起こさないよう、留意して実施したい。

 

【岡部美由紀】

 

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