最終更新日 2023/09/27

腫瘍マーカー

腫瘍マーカーとは・・・

腫瘍マーカー(しゅようまーかー、tumor marker)とは、主に悪性腫瘍(がん)が存在している時に血液の中に産生される物質である。

 

【検査の目的】
悪性腫瘍の診断の補助、病勢の評価、再発や転移のモニタリングなどに用いられる。

 

【検査の手順】
腫瘍マーカー検査は、採血、もしくは採尿で行われる。

 

【腫瘍マーカーの種類】
腫瘍マーカーには多くの種類があり、それぞれで推定される悪性腫瘍の種類と基準値が異なる。現在、腫瘍マーカーは50種類以上存在しており、腫瘍マーカーの具体例として、代表的なものとして、以下のものが挙げられる。
・CEA
甲状腺がん、消化器系(食道、大腸、胆道、膵臓)がん、非小細胞肺がん乳がん子宮頸がん卵巣がんなど
・SCC
扁平上皮がん(肺がん、膀胱がん、皮膚がん、頭頸部がん、食道がん、肛門がんなど)、子宮頸がん、膣・外陰部がん、卵巣がんなど
・CA19-9    
膵胆道系(すい臓、胆管、胆のう)がん、消化器系(胃、大腸、肝臓)がん、卵巣がんなど

 

例えば、CEAが上昇していると、消化器系の悪性腫瘍、乳がんなどが存在している可能性があるし、SCCが上昇していると、扁平上皮で形成される組織の悪性腫瘍が存在している可能性がある。

 

逆に、同じ肺に生じるがんでも、その種類によって上昇する腫瘍マーカーが異なる。CEAならどの種類でも上昇するが、扁平上皮がんならCYFRA・SCC、腺がんならSLX、小細胞がんならProGRP・NSE、といったように特異度が高い腫瘍マーカーが異なるのが特徴である。

 

【検査結果の注意点】
腫瘍マーカーの結果の解釈は注意が必要である。例えば、腫瘍マーカーが上昇しているからといって必ずしも悪性腫瘍が存在するわけではない。
腫瘍マーカーが上昇する要因として、高齢、腎機能障害、肝機能障害、自己免疫性疾患、糖尿病喫煙、飲酒、一部の薬剤などが挙げられる。

 

また、腫瘍マーカーの値が正常であっても、必ずしもがんが存在しないわけではない。そのため、腫瘍マーカーのみで診断は行わず、X線検査超音波検査、CT検査などの画像診断や、内視鏡・細胞診などの補助的診断に使われている

 

 

【引用参考文献】
1)日本分子腫瘍マーカー研究会.分子腫瘍マーカー診療ガイドライン.第2版.金原出版,2021,p252.

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