最終更新日 2017/08/07

食道

食道とは・・・

食道(しょくどう)とは、咽頭をつなぐ内径約2cm、長さ約25cmの管で、食物の通り道である。普段は前後に潰れており、食物が通過する際に大きく広がる。口腔から摂取した食物を食道壁の筋肉の蠕動運動で胃に送り込む働きがあり、食道自体に消化機能はない。

下咽頭下端の輪状軟骨直下から始まり、胃の入り口が最終部分である。食道が通っている場所は上から気管と脊柱の間、縦隔(じゅうかく:左右の肺の真ん中・脊柱の前にある隙間)、心臓の後ろで、横隔膜を抜けて腹部に入ったところで胃につながる。

■構造
<食道両端部分>
上部食道括約筋という輪状の筋肉があり、食物を感知して蠕動運動を起こす働きがある。食道の最終部分、胃と食道の境目には下部食道括約筋があり食物を胃に送り込むと同時に胃の内容物の逆流を防いでいる。

<食道>
上から頸部食道、胸部食道、腹部食道の3つの部位に分かれ、胸部食道がもっとも長く、腹部食道は胃とつながるわずかな長さの部分をさす。食道の働きである食物を胃に送り込む作業は食道を覆う筋肉が担っている。頸部食道は横紋筋、下がるにしたがって平滑筋が増え、胸部食道と腹部食道は平滑筋が主になる。

<食道壁>
粘膜上皮、粘膜固有層、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、外膜で構成され、漿膜を欠く。
粘膜上皮は扁平上皮(へんぺいじょうひ)という平たい細胞が何重にも重なってできている。粘膜固有層は様々な機能をもつ細胞が存在する緩い結合組織である。粘膜筋板は消化管を覆う柔軟で強い筋肉の膜である。固有筋層は筋肉の膜である。外膜は内臓の1番外側を囲む膜で粘膜下部にある筋肉層を囲む。食道には多くの内臓に存在する漿膜(しょうまく)が存在せず、食道にがんができると外に進展しやすい。

<生理的狭窄部(せいりてききょうさくぶ)>
食道には以下の3つの生理的に狭くなっている部分がある。これを生理的狭窄部という。この狭窄部分は病気でなくとも食物が飲み込みにくいと感じる場合がある。
第1狭窄部:食道入口部
第2狭窄部:大動脈弓・気管分岐部
第3狭窄部:食道裂孔部

■食道の蠕動運動の働き
咀嚼された食物が飲み込まれ食道の粘膜に触れると上部食道括約筋が収縮する。この動きが順々に下の筋肉に伝わり蠕動運動を生み出す。蠕動運動が下部食道括約筋に届くと下部食道括約筋が緩み胃に食物を送り込む。

■食道の不調によって起こる主な疾患
・食道がん
食道に悪性の腫瘍ができる疾患である。
・バレット食道
食道の扁平上皮状の粘膜が胃の粘膜に似た円柱上皮になる疾患である。
・食道炎
何らかの化学的・物理的な刺激によって食道に炎症が起きる疾患である。
・食道アカラシア
食道と胃が接合する部分の筋肉の弛緩不全により、食物の通過障害が起きる疾患である。
・食道カンジダ症
真菌であるカンジダが食道内で増殖し、嚥下痛や嚥下障害などを引き起こす疾患である。
・Mallory-Weiss症候群
嘔吐を繰り返すことで、食道と胃の接合部近くに裂傷を生じ、大量出血を起こす疾患である。
・特発性食道破裂
食道内圧が急速に上昇し、食道が破裂する原因不明の疾患である。
・食道静脈瘤
肝臓疾患などが原因で門脈圧が亢進し、肝内血流に異常をきたし、その結果、食道静脈に大量に血液が送り込まれて瘤(こぶ)ができ、そのこぶが拡大し、血流が滞る疾患である。

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