最終更新日 2023/10/31

肺がん

肺がんとは・・・

がん(はいがん、lung cancer)とは、気管支や肺胞の細胞ががん化したものである。
肺がんは、部位別で見ると、最も死亡率が高いがんである。
大部分が上皮性の腫瘍であり、そのほとんどが気道粘膜上皮より発生する。

 

分類

組織型は大きく小細胞がんと非小細胞がん(扁平上皮がん、腺がん、大細胞がん)に分けられ、腺がんが最多である。

 

症状

肺がんの初期には無症状であることが多い。
主な症状として体重減少、倦怠感、咳嗽、呼吸困難、喀血、胸痛などがある。腫瘍随伴症状(高カルシウム血症、クッシング症候群、凝固亢進障害、さまざまな神経症状)や局所浸潤症状(上大静脈症候群、パンコースト症候群)などが見られることもある。

 

検査・診断

画像診断(胸部X線、CT)、病理学的診断、血清学的診断(腫瘍マーカーなど)で診断し、確定診断がつけば病期診断を行う。
肺がんを疑う画像所見としては、以下のものが挙げられる
・辺縁の切痕形成
・辺縁の分葉化
・spicula(スピキュラ:原発病巣の辺縁に見られる細かい棘状の構造物)
・胸膜嵌入像
・血管・気管支の末梢性集束など

 

治療法

手術(細胞の種類および病期により異なる)、化学療法、放射線療法、免疫療法がある。

 

非小細胞がんの場合、初期治療は病期によって決まる。初期では、外科的切除が第一選択となる。時に化学放射線療法が同時に行われることもある。他の臓器に肺がんが転移しているような後期では、化学療法や放射線療法が選択される。
小細胞がんでは、ほとんどの患者で発覚時には転移が認められる。全身化学療法は感受性が高く、第一選択とされている。病変が片側胸郭に限定されているような限局型では、放射線化学療法が選択される。進行型の場合には、化学療法と通常は免疫療法が併用される。

 

原因

肺がんの危険因子には以下のものが挙げられる。
喫煙、受動喫煙
・職業的曝露(アスベストやヒ素などの有害物質)
・大気汚染
・COPD(慢性閉塞性肺疾患)や間質性肺炎などの慢性の炎症
・年齢
・遺伝
など

 

予防

肺がんの予防は禁煙です。禁煙を始めてから10年後には、禁煙しなかった場合と比べて肺がんのリスクを約半分に減らせる。

 

引用・参考文献

1)日本肺癌学会 編.肺癌診療ガイドラインー悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含むー 2022年版.金原出版,2022,p584.(2023年6月閲覧)
2)David S. Ettinger,et al.Non–Small Cell Lung Cancer, Version 3.2022, NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology.JNCCN.2022.(2023年6月閲覧)
3)Karl W Thomas,et al.Overview of the initial evaluation, diagnosis, and staging of patients with suspected lung cancer.UpToDate.(2023年6月閲覧)
4)David E Midthun,et al.Overview of the initial treatment and prognosis of lung cancer.UpToDate.(2023年6月閲覧)
5)Robert L. Keith.肺癌.MSDマニュアル プロフェッショナル版.(2023年6月閲覧)

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