最終更新日 2023/10/31

乳がん

乳がんとは・・・

がん(にゅうがん、breast cancer)とは、乳房内の乳管や小葉上皮から生じる悪性腫瘍である。女性のがんとして国内罹患数は第1位、死亡数は第4位である(2021年時点)1)。一方、全乳がんの約1%は男性に発生し、女性と比べ予後不良傾向にある。

 

間質浸潤の有無により、非浸潤がんと浸潤がんに分類され、乳頭内乳管上皮由来のものはPaget病と呼ばれる。

 

【症状】
腫瘍による無痛性の腫瘤(しこり)を触知して認知することが多い。その他、陥没乳頭や乳頭からの血性分泌、乳頭・乳輪びらん皮膚の橙皮様変化(とうひようへんか)、えくぼ徴候といった視診上の異常が診られる。

 

【検査・診断】
マンモグラフィー超音波検査が基本的な検査となる。
乳がんが疑われる場合は、確定診断のために針生検を行う。
また、治療方針の決定のためにホルモン受容体(エストロゲンプロゲステロン受容体)やHER2(ハーツー:がん細胞の増殖に関係するタンパク質)の存在を確認する。
病変の広がりを見るには造影MRI検査が有用であり、遠隔転移が疑われる場合や術前化学療法の適応となる場合ではCT、PET/CT検査にて転移巣の精査を行う。

 

【治療法】
腫瘍の進行度やホルモン受容体、HER2発現の有無などから、手術・薬物療法・放射線療法を組み合わせて治療を行う。

 

(1)薬物療法
以下の薬物療法から進行度や患者の希望などに応じて選択する。
・ホルモン療法 
・分子標的治療薬(抗HER2療法、CDK4/6阻害薬など)
・化学療法
近年は、腫瘍の縮小効果が得られれば乳房温存術が選択できるようになること、画像検査で確認できない微小転移にも有効であること、また患者自身も治療効果を実感できることから、術前化学療法が行われている。

 

(2)放射線療法
原発巣の治療のほかに、骨やへの転移に対する局所治療としても行われる。

 

【原因】
危険因子として、食生活の欧米化(肥満に伴うエストロゲン過剰や初経の早期化に伴うエストロゲン曝露期間の長期化)、晩婚化・少子化(初産の遅れや出産・授乳経験が少ないことによるエストロゲン曝露期間の長期化)、家族歴喫煙、アルコール摂取などが挙げられる。

 

【引用・参考文献】
1)最新がん統計.がん情報サービス.(2023年10月閲覧)
2)日本乳癌学会編.乳癌診療ガイドライン2022年版,第5版.2022,金原出版.

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