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2018年05月20日

経皮経肝胆囊ドレナージ:PTGBD | ドレーン・カテーテル・チューブ管理

ドレーン・カテーテル・チューブ管理 完全ガイド

ドレーンカテーテル・チューブ管理完全ガイド』より転載。
今回は経皮経肝胆囊ドレナージ(PTGBD)について説明します。

《経皮経肝胆囊ドレナージ(PTGBD)の概要》

主な適応
急性胆囊炎、閉塞性黄疸
目的
胆汁のドレナージ
合併症
術中~直後 : 徐脈・ショック、菌血症、気胸
術直後~数日 : 腹腔内出血・肝内血腫、胆汁性腹膜炎
術後数日以降 : ドレーン閉塞・逸脱、脱水電解質異常、凝固障害
抜去のめやす
術後2週間以上経過し、瘻孔形成および胆囊管開存が確認されれば抜去可能
観察ポイント
排液の色 : 胆汁が緑色の場合、感染もしくは閉塞・逸脱の可能性がある
ケアのポイント
感染時 : 重篤な場合、敗血性ショックを招くため、バイタルサイン、腹痛、採血データで炎症反応を確認する
閉塞時 : 屈曲の有無を確認し、ミルキングローラーでミルキングを行う

経皮経肝胆囊ドレナージ(PTGBD)

 

 

〈目次〉

 

経皮経肝胆囊ドレナージ(PTGBD)の定義

経皮経肝胆囊ドレナージ(percutaneous transhepatic gallbladder drainage:PTGBD)は、胆囊をドレナージする方法の1つである。

右肋間の皮膚から、肝臓を経由して胆囊を穿刺し、胆囊内にドレーンを留置する。

 

経皮経肝胆囊ドレナージ(PTGBD)の適応と禁忌

1適応

経皮経肝胆囊ドレナージ(PTGBD)の主な適応は①急性胆囊炎であるが、②閉塞性黄疸にも適応となることがある。

 

①急性胆囊炎

急性胆囊炎の原因は、ほとんどの場合、胆囊結石による胆囊管の閉塞であり、胆囊内に胆汁がうっ滞して炎症が起こる。

急性胆囊炎は、重症度によって重症・中等症・軽症に分類される1。重症または中等症の急性胆囊炎で、緊急手術の適応がない場合や、緊急手術が困難である場合にPTGBDを行って、うっ滞した胆囊内容をドレナージする。軽症あるいは中等症で手術可能な場合は、早期に腹腔鏡下胆囊摘出術を行う(表11,2

表1急性胆囊炎の重症度と治療法の選択

急性胆囊炎の重症度と治療法の選択

急性胆管炎・胆囊炎診療ガイドライン改訂出版委員会 編:-TG13 新基準掲載- 急性胆管炎・胆囊炎診療ガイドライン2013 第2 版.医学図書出版,東京,2013:162・より引用改変

 

②閉塞性黄疸

総胆管下部の閉塞によって黄疸をきたしている症例で、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP、『内視鏡的胆道ドレナージ』参照)や経皮経肝胆管ドレナージ(PTBD、『経皮経肝胆管ドレナージ:PTBD・PTCD』参照)によるドレナージが困難な場合は、PTGBDによって減黄を図ることがある。

 

2禁忌

①穿刺部位付近の腹水

腹水のため胆汁が腹腔内に漏れやすく、胆汁性腹膜炎を起こす。

大量の腹水がある場合は、カテーテルの留置手技自体が困難である。

 

②出血傾向・凝固異常

血小板減少(5万/mm3以下)、プロトロンビン時間延長(PT-INR1.4以上)、抗血栓薬の使用は、PTGBDによる出血のリスクを増大させる。

抗血栓薬は、適当な期間休薬してからPTGBDを行うのが望ましいが、PTGBDの利益がリスクを上回ると判断される場合は、休薬せずに行うことがある。

 

③造影剤アレルギー

超音波と非造影透視のみでPTGBDを施行する。

 

④呼吸を止められない場合

胆囊が動いてしまうので穿刺が困難となる。ショックなどで全身状態が不良の場合は、気管内挿管のもとでPTGBDを行うこともある。

 

経皮経肝胆囊ドレナージ(PTGBD)の挿入経路と留置部位

超音波で穿刺ルートを確認し、決定する。この際、腹水・胸水の有無を観察し、カラードップラーで穿刺ルート上に血管のないことを確認する。胆囊の頸部寄り3分の1のところを目標とする。胸腔が肝表面まで入り込んでいることがあるので、肺から十分離して穿刺部位を決定する。

穿刺は、超音波ガイド下にセルジンガー(Seldinger)法に準じて行う(図1)。

固定時の注意点を表2に示す。

図1急性胆囊炎症例に対するPTGBDの穿刺

急性胆囊炎症例に対するPTGBDの穿刺

 

表2ドレーン固定時の注意点

ドレーン固定時の注意点

 

 

経皮経肝胆囊ドレナージ(PTGBD)の合併症

PTGBDの注意すべき合併症を表3に示す。

表3PTGBDの注意すべき注意すべき合併症

PTGBDの注意すべき合併症

 

経皮経肝胆囊ドレナージ(PTGBD)の利点と欠点

利点 : 手技が比較的容易で、安全性・確実性が高い4。さらに、重篤な急性胆囊炎の患者でも安全に施行可能で、全身状態が回復してから待機的に手術を行える。

欠点 : 胆囊癌が合併していると、瘻孔などに播種してしまう危険性がある5。また、早期手術例と比較すると、入院期間が長期になる。

 

経皮経肝胆囊ドレナージ(PTGBD)のケアのポイント

PTGBD挿入管理において、排液の色調(図2)、量、ドレーンの固定方法の観察が重要であり、観察することで異常に気づき早期に対処できる。

図2胆汁の性状

胆汁の性状

 

 

1胆囊管が開存していない場合(図3

胆汁は閉塞(胆囊結石や炎症による浮腫など)により胆囊内へ流れないため、色は「膿性」や「淡血性」である。

流出量は0~50mL/日で、炎症の改善とともに減少する。

図3胆囊管が開存していない場合

胆囊管が開存していない場合

 

 

2胆囊管が開存している場合(図4

胆汁は胆囊内へ流れるため、胆汁と混同したものが流出する。

正常な胆汁は透明な黄茶色をしているため、炎症の改善とともに「透明な黄茶色」に変化する。

胆汁の生産量は約500mL/日であるが、胆管側へも流出するため、これよりも少ない400mL/日前後である。

図4胆囊管が開存している場合

胆囊管が開存している場合

 

 

3特に注意したいポイント

①出血

1日の出血量が少量であっても、長期間つづく場合は貧血に注意する。

 

②感染

胆汁が細菌感染すると「緑色」に変化する。重篤な場合は敗血性ショックを起こすため、バイタルサイン、腹痛の有無、採血データで炎症反応を確認する必要がある。

 

③ドレーンの閉塞・逸脱

胆汁が緑色に変化した場合は閉塞も疑われるため、ドレーンを固定しているテープを剥がし、ドレーンの屈曲の確認やミルキングローラー用いたミルキングを行い、排液の流出を促す。それでも改善がない場合は医師へ報告する。

流出がないときは、ドレーンの逸脱か閉塞が疑われる。固定位置の確認や前述のように介入する。

 

 


[Profile]
野村幸博
総合病院国保旭中央病院副院長/外科主任部長

志村謙次
■総合病院国保旭中央病院消化器内科主任部長

三浦清代
■総合病院国保旭中央病院看護部

 

*略歴は掲載時のものです。

 


[引用・参考文献]

  • (1)Yamashita Y,Takada T,Strasberg SM,et al. TG13 surgical management of acute cholecystitis.J Hepatobiliary Pancreat Sci2013;20(1):89-96.
  • (2)急性胆管炎・胆囊炎診療ガイドライン改訂出版委員会編:ーTG13新基準掲載ー急性胆管炎・胆囊炎診療ガイドライン2013第2版.医学図書出版,東京,2013:161-169.
  • (3)加藤裕治郎,田中淳一,梅澤昭子,他:PTBD,PTGBDチューブ逸脱例の検討.胆道1993;7(5):587-593.
  • (4)伊藤啓,洞口淳,越田真介,他:急性胆囊炎に対する経皮的ドレナージ術.胆と膵2013;34:911-915.
  • (5)岡本好司:胆囊癌を合併した急性胆囊炎に対する手術.手術2006;60(12):1827-1832.

本記事は株式会社照林社の提供により掲載しています。/著作権所有(C)2015照林社

[出典]『ドレーン・カテーテル・チューブ管理完全ガイド第一版』(編著)窪田敬一/2015年7月刊行

ドレーン・カテーテル・チューブ管理完全ガイド第一版

著作権について

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