MRI (核磁気共鳴画像)|画像検査

『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、MRI(核磁気共鳴画像)について解説します。

 

高木 康
昭和大学医学部教授

 

〈目次〉

MRIとはどんな検査か

MRI(磁気共鳴画像)とは核磁気共鳴現象(nuclear magnetic resonance;NMR)という物理現象を用いて、生体内に多く存在する水素原子の陽子から出るNMR信号(電磁波)に位置の情報を与えて画像化したものである。

 

放射線は用いないので被曝は全くない。任意の断層画像を得ることができ、また、T1強調画像、T2強調画像、拡散強調画像(図1)、脂肪抑制画像、水抑制画像、磁化率強調画像などの様々な撮像法で脂肪や出血などの存在診断も可能である。ガドリニウム(Gd)製剤を静注し、病変部位のT1時間を短縮させコントラストを上げる造影検査(図2)も行われる。

 

血管内を流れる液体(血液)の信号を造影剤なしで得ることができるので、造影剤を使用せずに血管の画像(MR angiography;図3)を得ることもできる。

 

図1拡散強調画像

拡散強調画像

 

CTでは描出できない急性期の梗塞が拡散強調画像で高信号領域(矢印)として摘出されている。

 

図2コントラストを上げる造影検査

コントラストを上げる造影検査

 

肝血管腫が造影され高信号の病変(矢印)として描出されている。

 

図3頭部のMRA

頭部のMRA

 

造影剤を使用せずに血管が描出されている。中大脳動脈の分岐部に動脈瘤(矢印)がある。

 

また、特殊な検査として、画像のみでなく脳の活性部位を調べるfunctional MRIやコリン、クレアチンなどの腫瘍の代謝物の情報(MR spectroscopy)も得ることができる。

 

脊髄MRI検査の目的

生体内の病変部位を特定し、可能なら質的診断を行う。観察したい臓器や疑われる疾患を正しく診断するために、様々な撮像法の中から適切な撮像法や撮影断面を選ばなければならない。

 

MRIの実際

検査自体はCTと同じように検査台に横になり、コイル(検査部位により様々なコイルがある)を装着し、MRI 装置(図4)のボアと呼ばれる筒の中に入って撮像を行う。造影検査の場合には血管を確保し造影剤を注入して撮像を行う。検査中には大きな音が発生する。また、撮像中に動くと画像が乱れてしまうので撮像中には動けない。体をベルト等で固定することもある。

 

図4MRI装置

MRI装置

 

MRI前後の看護の手順

患者を検査室に案内する前に、MRI 検査禁忌患者でないことの確認、および次項に記述してあるMRI検査における安全性を確認するための問診と検査時間が長いこと、検査中は大きな音が発生するが心配ないこと、検査中動くと良い画像が得られないので動いてはいけないことなどの注意事項の説明を行う。

 

図5に昭和大学病院で使用されている問診表を示す。

 

図5昭和大学病院のMRI検査前の問診票

昭和大学病院のMRI検査前の問診票

 

検査着に着替えてもらい、MRI 検査室に持ち込みできないものを所持していないこと、金属探知機で磁性体がないことを確認後、検査室へ案内する。患者の私物は金庫などで保管する。技師とともに検査の流れを説明して、検査台に寝てもらい、検査部位に適合するコイルの装着を介助する。検査は技師が施行するがその間は患者の状態に注意を払う。検査後終了後は更衣室に案内し私物を返却する。

 

MRIにおいて注意すべきこと

MRI検査室の安全性について

検査室内には常に強い静磁場が発生している(CT検査室内では撮影時のみ放射線が発生している)ため安全管理(図6)が重要となる。

 

図6MRI検査室の扉に表示されている注意事項

MRI検査室の扉に表示されている注意事項

 

酸素ボンベ、点滴台、ストレッチャー、はさみなどの磁性体の検査室への持込は禁忌である。クレジットカードなどの磁気カードは使えなくなる。アナログ時計は故障する。

 

心臓ペースメーカー、人口内、体内電子装置などはほとんどが検査禁忌である。脳動脈クリップ、コイル、プレートなどの術後金属はMRI compatibleであることを確認しなければならない。体内インプラントのMRI 適合性は国際規格としてASTM(American Society for Testing and Materials)のMR 適合性標準規格により定められている。マグネット脱着式義歯は検査可能なもの不可能なものがあり歯科医への確認が必要である。銃弾などの体内の磁性体破片は重要臓器の近くでは禁忌である。マスカラ、入れ墨、コンタクトレンズも酸化鉄を含むものは熱傷の原因となる。

 

胎児における磁気の安全性は確立されておらず、妊娠3か月までの器官形成期は検査を避ける。

 

閉所恐怖症患者では鎮静剤が必要になることもある。また、小児では検査中動かないよう沈静が必要である。

 

造影検査について

MRI用のガドリニウム造影剤、常磁性肝細胞特異性造影剤(EOB)もヨード造影剤同様にアナフィラキシーなどの副作用がある。造影剤使用時には、患者に造影剤使用の目的、理由、長所、短所(副作用)について十分説明し理解してもらう。また、造影剤使用についての同意書も取得しなければならない。

 

造影剤の禁忌(ガドリニウム造影剤に過敏症既往歴など)、原則禁忌(重篤な腎機能低下、気管支喘息患者など)、慎重投与患者(アレルギー体質など)であるかないかの問診をしっかり行い、造影可能であること確認し、もし問題があれば主治医あるいは放射線科医に必ず相談する。造影検査の検査中、検査終了後もアナフィラキシーや造影剤副作用の出現に対処できるよう十分な準備をしておく。

 

腎性全身性線維症(Nephrogenic Systemic Fibrosis;NSF)

重篤な腎障害のある患者にガドリニウム造影剤を使用するとNSFを発症することがあり、eGFRが30mL/min/1.73m2以下の場合ガドリニウム造影剤は禁忌である。eGFRが30から60mL/min/1.73m2の場合には造影しないほうが望ましいが、やむを得ず造影検査する場合にはNSF発症の報告のないガドリニウム造影剤を使用するべきとされている。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版

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