布団の下で点滴ラインが外れ、大量出血になってしまっていた!

『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、布団の下で点滴ラインが外れ、大量出血になってしまっていた場合について解説します。

上門 大介

那覇市立病院集中治療室
看護師

 

 

患者の布団の下で点滴ラインが外れ、 大量出血になってしまっていた様子に焦っている看護師のイラスト

 

ピンチを切り抜ける鉄則

末梢静脈ラインの目的や必要性を評価する習慣をつけ、末梢点滴は必要最小限になるように心がけましょう。
出血による循環の影響を早期発見するためには、皮膚を観察することが重要です。
細胞外液補充液の大量・急速投与時には、心不全症状に注意しましょう。

 

POINT
  • 大量の出血は看護師にとって焦りを感じさせる事象の1つではないでしょうか。
    そのときの症状だけで安易に「血圧が下がってないから大丈夫」「採血の結果があまり変わってないようでよかった」と観察の手を緩めてしまうと、後々起こりうる重大な循環障害を見逃す危険性があります。

 

 

起こった状況

症例

患者Aさんは急性心筋梗塞のため経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後にICUへ入室となりました。
入室後、抗凝固薬と狭心症治療薬の持続静脈内投与が行われました。

 

入院2日目、薬剤の持続静脈内投与が終了し、点滴は乳酸リンゲル液のみとなりました。

 

入院3日目、血圧測定をするために担当看護師が布団をめくると、輸液ラインの接続が外れ、大量の血液で寝具が汚染していることに気づきました。

 

 

どうしてそうなった?

1 そもそも点滴が必要な患者さんなのかどうか考える

時折、目的や必要性がはっきりしないまま、末梢静脈ラインが留置されていることがあります。

 

日頃から末梢静脈ラインの目的や必要性を確認し、不要と判断されれば速やかに抜去するクセをつけるようにしましょう。

 

それを習慣づけることで、自己抜去や感染症などの合併症予防だけでなく、患者さんの快適性も保つことができます。
 

2 接続の数が増えるだけ外れる箇所が増えることを意識する

点滴ラインの延長や三方活栓の数が増えると、それだけ接続箇所が増えるため、外れることによるトラブルが起こる可能性も高くなります。

 

必要最小限の接続箇所になるように輸液ラインを組み立てることを常に意識することが大切です。


患者さん自身で安全管理を行うことが難しいと判断された場合には、ロックコネクター式の点滴ライン、エクステンションチューブ(図1)などを活用することも効果的です。

 

図1ロック式エクステンションチューブとロックなしエクステンションチューブ

ロック式エクステンションチューブとロックなしエクステンションチューブを表した写真

(NP エックステンションチューブ トップ)

 

どう切り抜ける?

1 出血が及ぼす身体への影響

出血による循環血液量の減少は、血管内容量が低下することで組織循環不全を引き起こし、さまざまな細胞への酸素やエネルギー供給を低下させます。

 

適切な治療が行われなければ、多臓器不全や心停止となり、死に至る危険性もあります。

 

出血による循環障害をなるべく早期に発見するためには、毛細血管再充満時間(capillary refilling time:CRT)※1の延長(3秒以上)がないか観察することが重要です。

 

※1毛細血管再充填時間(capillary refilling time:CRT)
爪床を5秒間圧迫し、圧迫解除後から色調が戻るまでの時間を指します。
通常は2秒未満ですが、3秒以上の延長がある場合、なんらかのショックが疑われます。


これは循環血液量の10%以上の喪失で見られる症状であり、呼吸や循環のバイタルサインの変化よりも前に現れるため、循環血液量減少性ショックの早期発見に有用だと考えられます(表1)。

 

表1循環血液量の喪失割合と症状

循環血液量の喪失割合と症状を表した表

 

これに加えてショックの5P表2)にあてはまる症状を観察し、1つでもみられたらショックを疑って対応します。

 

表2ショックの5P

ショックの5Pを表した表

 

2 出血によるショック時の対応と観察

循環血液量減少性ショックが疑われる場合、生理食塩液やリンゲル液などの細胞外液補充液の投与が行われます。

 

大量出血の要因となった点滴ラインは感染源になりうる可能性や閉塞によって使用できないこともあるため、20〜16G以上の静脈ラインを新たに2本以上確保しておくことが望ましいです。

 

出血量や身体所見にもよりますがショックと判断された場合1〜2Lの細胞外液補充液を30分程度で投与します

 

細胞外液補充液の大量・急速投与を行う場合、急激な前負荷の増加によって、うっ血性心不全や肺水腫を来すことがあるため、呼吸状態には十分注意して観察を行います。

 

 

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引用文献 閉じる

1) 日本集中治療医学会看護テキスト作成ワーキンググループ編:集中治療看護師のための臨床実践テキスト.真興交易医書出版部,東京,2018:70-72.

参考文献 閉じる

1) 道又元裕編著:これならわかるICU看護.照林社,東京,2018:8-12,19-22.

2) 道又元裕編:ICUディジーズ─クリティカルケアにおける看護実践.Gakken,東京,2013:140-144.

3) 北別府孝輔:現場対応策3 カテーテル.:重症集中ケア 2015:14(5):45-51.119

 


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社

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