循環器内科ナースの仕事内容とは? やりがいや勉強法も現役看護師が解説!

循環器内科のお仕事といえば「心電図の読み取り」が思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。

急変対応も多く「難しい」というイメージかもしれませんが、実際はどうなのでしょう?

循環器で働く現役ナースの皆さんのお話から、仕事内容をまとめました!

循環器科ナースのイラスト

 

6つのポイントでわかる

循環器ナースのお仕事とは?

 

 

 

【1】循環器ナースの役割4選

循環器ナースには、どのような役割があるのでしょう?

ここでは、特徴的な役割や、よく行う手技・ケア等をご紹介します。

循環器内科ナースの役割を表すイラスト。心電図の読み取りと患者ケア、生活指導、急変の対応、家族のケア

 

循環器ナースの役割1:心電図の読み取りと患者ケア

循環器ナースに特徴的な役割として代表的なものが「心電図の読み取り」と、それに基づくアセスメント、患者ケアです。

循環器科に入院している患者さんは常時、心電図を装着している方がほとんどです。

 

そのため、心電図の波形から患者さんの状態をアセスメントする必要があります。

心電図の読み取りに熟達してくると、その患者さんの心臓の状態を知ることにつながります。

 

たとえば「この患者さん、心機能が通常の1/3程度だから、厳しい飲水制限が入るだろうな」など、患者さんの状態をとらえることで、医師のオーダーの根拠がわかるということなどです。

その理解は、投薬や退院指導をはじめ、患者さんのケアにも直結するものです。

 

◆先輩の声

循環器内科の勤務は、まさに心電図で始まり心電図に終わる感じです。

日勤でも、朝の情報収集とともに最初に行うのが心電図をとること。

 

患者さんの状態の良し悪しは、如実に波形に表れてきます。

そのデータは、その日の看護ケアを組み立てる指針にもなります。

 

回復している兆しが波形から見えると、嬉しくもなりますね。

(大学病院勤務 看護師4年目)

 

 

循環器ナースの役割2:生活指導

生活指導も循環器ナースの大切な役割です。

循環器の疾患は、生活習慣に大きく左右されます。

たとえば、心不全は生活習慣の改善で再発のリスクが低くなります。

 

飲水制限や食事制限をしている患者さんも一定数います。

そのため、患者さんに根気強く説明し、生活指導をするのも循環器ナースの役割です。

 

◆先輩の声

私が勤務している病棟では、早期離床を大切に考えています。

時間があるときには、できるだけベッドから起き上がり、車椅子に座ってもらうなど、ADLを早期に回復できるように工夫していることが多いです。

 

状態に応じて、お手洗いも自立歩行で行けるように介助しています。

自宅や施設へ退院したあとに、ご自身らしい生活が過ごせるよう、看護師として頑張りどころだなぁと思います。

(民間病院 看護師5年目)

 

 

循環器ナースの役割3:急変の対応

循環器科では、心疾患が中心となるだけに、常に急変のリスクと隣合わせです。

そのため、急変時の対応も循環器ナースの重要な役割です。

 

循環動態を看ている緊張感から、病棟は静かな雰囲気、という声も。

 

◆先輩の声

急変対応もそうなんですけど、基本は「急変させない看護」です。

「あっちょっと、心筋の値、伸びてきましたね」

カリウムの値どうですか?」

などと、検査のデータから、急変しないように先手を打った対応をとることが基本です。

 

急変があると、バタバタするイメージがあるかもしれませんけど、静かに地に足がついた対応をしている、といった雰囲気ですよ。

 

最初はその静かな雰囲気を「冷たい」と感じてしまう部分もあったんですけど、わずかな変化にも気づく繊細さが必要だからこそ、患者さんの安全を守るための雰囲気なんだな、と感じます。

(大学病院 看護師3年目)

 

 

循環器ナースの役割4:家族ケア

「心臓の病気」ということで、ご家族は重篤なイメージを抱くことも少なくありません。

特に心配が大きい様子の方もいらっしゃいます。

退院後の生活も含めて、ご家族にお話しすることが家族ケアの第一歩として必要です。

 

◆先輩の声

ご家族は、19時前くらいにお見舞いにいらっしゃる方が多いですね。

私たち看護師は、夜勤帯でお話しする流れになります。

 

気持ちに寄り添うこともそうなんですが、冷静に理路整然と、お話しできるようにしています。

具体的な数字の改善などをお伝えすると、安心する方が多いですね。

(大学病院 看護師3年目)

 

 

【2】循環器ナースの1日ってどんなスケジュール?

循環器ナースはどんなふうに日勤と夜勤を過ごしているのでしょうか?

6年目ナースのお話からタイムテーブルを作成しました。

 

循環器内科ナースのある日勤

※循環器内科配属ナース、300床民間病院、循環器内科30床の場合

循環器内科ナースの日勤の流れを表すイラスト。8:30申し送り、9:00レントゲンや配薬、尿量チェックなど 10:30清潔ケア・検査出し 11:30血糖測定・オムツ交換など 12:00ランチ 13:40医師・看護師カンファレンス 14:00ケア・記録 16:30申し送り 17:00終業

 

◆先輩の声

午後のカンファレンスでは、退院支援についても話し合います。

わたしの病院では、患者さんは全員、入院3日目までにカンファレンスで話題にします。

退院支援が必要なのか、支援するとしたらどのように行うのかなどを多職種で議論します。

 

その後、14時からのケアはおむつ交換や体位変換が中心です。

いわゆるラウンドですね。

日勤でも夜勤でも2時間おきに回るというのがルールなんですけど、忙しすぎて時間通りにいかないこともあります。

そういうときは、優先順位をつけて臨機応変に対応するようにしています。

(民間病院 看護師6年目)

 

 

循環器内科ナースのある夜勤

※循環器内科配属ナース、都内300床民間病院、循環器内科30床の場合

循環器内科ナースの夜勤の流れを表すイラスト。15:30情報収集・準備 16:30申し送り、環境整備 18:00食事介助 19:00バイタル測定 20:00 休憩(30分) 22:00消灯 0:30仮眠(2時間) 仮眠後 体位変換やナースコール対応、翌日の準備など 6:00点灯 8:30申し送り

◆先輩の声

夕方のラウンド時の環境整備は「危険因子がないか」が確認項目になります。

点滴の位置に危険がないか、転倒リスクに配慮します。

離床センサーの作動確認も行います。

 

夜勤は看護師の目が少ないので、そのような中でも危険にすぐ気づけるように、夕方の確認が大事になりますね。

(民間病院 看護師6年目)

 

 

【3】新人ナース必見!循環器ナースの特徴

循環器の看護師ってどんな特徴がある?

現役ナースへの取材・アンケートからイメージを作成しました!

循環器内科ナースの特徴を表すイラスト。頭:段取り上手 目:心電図から異変を見抜く 胸:情熱家 耳:アラームに敏感 口:冷静な口調 手:血圧計 腹:動じない 足腰:軽やか がま口:ふつう

頭:段取り上手

段取り上手!たくさんの仕事を効率的にこなしていきます。

 

耳:アラームに敏感

患者さんのコールとアラームには即反応! 

 

目:心電図で異変を見抜く

心電図から異変を見抜く力を持っている!

 

口:冷静な口調

たとえ急変が起こっても、冷静な口調で病棟内の患者さんのケアにあたります。

 

手:血圧計

異変を感じたときにはすぐに血圧測定できるよう、血圧計の扱いがうまい!

 

胸:情熱家

難しい心電図の読み取りや、長い時間をかけて行う治療にも使命感をもって取り組む情熱家!

 

腹:動じない

どんな急変でも動じずに対応!

 

足腰:軽やか

急ぐときもドタバタ走らず、軽やかな足取りで患者さんのもとへ向かいます。

 

がま口:ふつう

循環器科勤務、という理由で手当がつくケースはあまりないようです。

※あくまでインタビューや取材から作成したイメージです。

 

 

【4】循環器ナースのキャリアプラン。4つの実例

循環器科という経験からどのようなキャリアプランが考えられるでしょうか?

先輩たちの経験を聞いてみました!

 

1. 循環器内科→ICU

循環器内科・外科からICUへのキャリアプランを表すイラスト。

循環器内科からICUに移った先輩のケースです。

 

◆先輩の声

私が入職したとき、先輩には「循環器をやるとどこでも通用する」と言われましたが、ICUに移って実感したのは、心電図波形が見れるというのは大きな強みだということ。

 

ICUでも、基本的にモニター心電図をつけている患者さんが多いので、アセスメントに役立ちます。

波形について同僚から質問されることも多くなってきました。

一方で、循環動態以外の内臓系の疾患などについては勉強が足りないと痛感しています。

総合的なアセスメント力をつけたいです。

(転職時、看護師5年目)

 

 

2. 循環器内科→介護施設

循環器内科・外科から介護施設へのキャリアプランを表すイラスト。

早期離床を含め、退院支援に力を入れている病院も多い循環器。

退院後の生活も含めて継続的に患者さんを看たいと、介護施設に転職した先輩もいます。

 

◆先輩の声

循環器で働いていて、早期離床や退院支援にすごく面白みを感じたんです。

患者さんの退院後の生活を見据えて、長期的に計画を立てるのがいいなぁって。

なので、循環器で7年働いたあと、介護施設に移る決心をしました。

 

心電図の波形を読むスキルとかは、いまはほぼ使わないですけど…(笑)

循環動態や呼吸器の解剖生理などの知識は、現職でも役立っていると感じます。

介護施設ではモニター類をつけることが少ないからこそ、患者さんの状態からちょっとした異変に気づく能力はむしろ上がっているのかもしれません。

(転職時、看護師8年目)

 

 

3. 循環器内科→消化器外科

循環器内科・外科から消化器内科・外科へのキャリアプランを表すイラスト。

 

循環器で培ったデータから患者さんを看るスキルが、消化器外科でも役立っているという先輩の声です。

 

◆先輩の声

消化器は、患者さんの身体に起こっている異変が「症状」として目にみえる形で現れることが多いなぁ、というのが移ってみての実感です。

同僚のナースも、それに慣れている感じがあります。

 

一方で、循環器は心電図など、データから異変を察知しなくてはいけません。

その経験は役立っていると感じますね。

 

たとえば、肝臓は沈黙の臓器と言われますが、症状に出にくいのでデータを見ることが特に重要になります。

そのあたりの微細な数値の変化に敏感なのは、消化器病棟の同僚からは「循環器っぽいねー」と言われます。

循環器で培った異変を読み取る姿勢が、消化器でも早期の異常発見に役立っていると感じます。

(転属時、看護師5年目)

 

 

4. 循環器→循環器

循環器内科・外科から循環器内科・外科へのキャリアプランを表すイラスト。

循環器を極めたいという先輩の声も。

 

◆先輩の声

心不全関連の認定看護師を持っている先輩が病棟にいて、その先輩を見ていて、循環器を極めたいと思うようになりました。

何につけても、とっても詳しいんですよ!

循環動態、心電図はもちろん、医療機器の名前や機能、呼吸器関連の知識も深いんです。

 

その先輩と一緒に仕事をする中で、循環器のエキスパートを目指したいと思い、CCUが併設の循環器病棟がある病院に転職しました。

認定看護師取得に対しても、補助が出る病院として選んだんです。

たくさんの知識をもったうえで、患者さんの生活にも寄り添える看護師を目指しています。

(転職時 看護師5年目)

 

 

【5】現場のリアルがわかる!循環器ナースのあるあるエピソード

循環器の先輩たちが経験してきた「循環器あるある」を集めました。

循環器の雰囲気をとらえてみてください。

循環器ナースのあるあるエピソードを紹介するイラスト。安静中の患者さんに焦らせられる。朝のナースコール地獄 歯磨きVT ドラマのアラーム音にイラっとする。

 

「安静」の患者さんが動き回っているのを見ると、自分の心臓がしめつけられる気がする

治療中、ベッド上安静の指示が出ていることも多い循環器。

でも、患者さんもじっとし続けるのはしんどいもの。

動き回ってしまう方を見ると「頼むからじっとしていて…!」と、自分の心臓の方が締めつけられている気がするのも循環器あるある。

 

 

朝のナースコールが多すぎて、地獄のハーモニーに聞こえる

朝、患者さんの起床時が特に忙しいというのが循環器あるある。

車椅子の患者さんは、自立度が低い方も多いため「お手洗い行きたいです!」などのコールが頻回です。

 

そのプレッシャーに負けず優先順位をつけて対応するのも循環器の腕の見せ所です。

病棟の電気をつけたら「ナースコール来るよー」とお互いに声を掛け合って対応しているというお話も聞かれました。

 

 

歯みがきVT

循環器に配属されると最初は、心電図でVTが出ると焦るものですが、先輩たちは冷静です。

 

VTが出ても冷静に「大丈夫、歯みがきVTなんで」とVTのタイミングや既往歴から、緊急かそうでないかを判断できるようになるのも、循環器ナースあるある。

歯みがきVTというのは、患者さんが歯みがきをしている最中にVTのアラームが鳴ってしまうこと。

 

新人ナースの「VT出ました!」という焦った報告にも、「大丈夫。QRS出てるから心臓動いてるんじゃない?」とか、アラームを止めたうえで「ちょっと見てきます」というように冷静に対応します。

 

 

ドラマでモニターのアラーム音を聞くとイラッとしてしまう

循環器ナースは、モニターのアラーム音に敏感。

患者さんの異変に直結することなので、プライベートでアラーム音を聞くと緊張が走ってしまうという声も。

それがドラマだったら「なんだよー!」とちょっとイラっとしてしまうのも循環器あるある。

 

 

【6】循環器を目指す新人の疑問に答える!3つのQ&A

循環器看護師の先輩に新人ナースからの質問をぶつけてみました!

 

Q:新人で循環器配属になって、一番難しかったのは何ですか?

A:心電図波形をアセスメントにつなげることです。

私は新人で循環器内科に配属になりました。

最初に衝撃を受けたのは、先輩たちは「症状」と「心電図」が一致するのが速くてすぐに次を考えられるんです。

でも私は、「皆が何を言っているのかまったくわからない…」という状況でした。

 

「SAT落ちてきました」

「NPPVつけますか?」

「PVC散発してきましたね」

GI療法やりますか?」

「PSVTが出たら様子観察のオーダー受けてます…」

 

心電図を読み取って次の対応を考えるのって、すごく難しいです。

正直、何度も落ち込みました。

 

ただ単純に勉強さえしていればいいわけでもなく「臨床で学ぶ」部分が大きいなと思います。

心電図は教科書通りにはいきません。

「なんでこういう波形が出ているのか」が、教科書を見るだけではわからないんです。

 

心電図が読めないことが「怖いな」と思うことも、私もいまだにあります。

でも、その怖さも臨床でしか感じられません。

 

「難しい」と凹むことは多いですが、それにめげずに心電図に向き合い続けてほしいです。

絶対にわかる日がきます。

 

読めるようになったら面白いですよ。

先生や先輩の話の内容がよくわかったり、次に起こることが予測できたり、患者さんの説明にも役立つと思います。

(大学病院 看護師3年目)

 

 

Q:一日でも早く心電図を読めるようになりたいです。どんな勉強をすればいいですか?

A:私は自分なりの“心電図ノート”をつけていました。

心電図って教科書通りにはいかないです。

波形だけ読めても、症状と一致しなかったり、教科書を読んでもわからないことが多いので毎日凹んでます。

 

私は、患者さんの心電図のコピーをとって、それをノートに貼って勉強していました。

「この人は、こういう波形が出てきたときにこうなった」「このときはこの薬を使った」などの状況も合わせて書き込むようにしました。

先輩にもそのノートを見てもらって、「これってこういうことですか?」と質問していきました。

 

最初は先輩たちが何を話しているのかまったくわからなかったのが、徐々にわかるようになり、

先輩たちも「私が何がわからないのか」を理解してくれていったように思います。

そうすると、よりわかりやすく説明してくれたりと、周囲の協力を得られやすくなったとように感じています。

(民間病院 看護師6年目)

 

 

Q:循環器看護は「繊細」と先輩に聞きました。具体的にはどのような部分が繊細なんですか?

A:ほんの微細な確認漏れが、患者さんの生死に直結するところです。

毎日のラウンドのときにも、患者さんの安全を守るために、さまざまな確認をしています。

少しの確認漏れが、文字通り患者さんの命に直結するので、緊張感があります。

たとえばシリンジポンプ

流量と積算量、速度チェックと末梢チェックは欠かせません。

コンセントが赤コンセントに入っているかも確認します。

ラウンドのときに、シリンジポンプがつながっているところを全部見るのがルールになっています。

 

1時間に2ccなど、本当に微量な薬剤の調整が必要なのが循環器の特徴でもあります。

もし「1時間分入ってない!」などに気づいたら、即、医師に報告。

フラッシュ(早送り)で入れるかどうかなど、判断をもらいます。

 

ただ、薬剤によっては早送りすると血圧がガクンと下がってしまうこともあるので、その事前予測やケアも医師とともに行います。

 

特に循環器は、薬効が強い薬を扱う機会も多いです。

私ももっと、薬の知識を身につけたうえで、アセスメントできるようになりたいですね。

(民間病院 看護師6年目)

 

 


(取材・文)看護roo!編集部、新田哲嗣

(イラスト)明(みん)

 

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