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2016年09月15日

SOFAスコア|知っておきたい臨床で使う指標[8]

臨床現場で使用することの多い指標は、ナースなら知っておきたい知識の一つ。毎回一つの指標を取り上げ、その指標が使われる場面や使うことで分かること、またその使い方について解説します。

根本 学
埼玉医科大学国際医療センター 救命救急科診療部長

 

SOFAスコア(Sequential Organ Failure Assessment score)

SOFAスコアとは、呼吸・循環系や中枢神経系、肝臓腎臓および凝固系といった臓器障害を簡便に点数化してその合計点で重症度を判定することを目的に作成されたものです。
当初はSepsis-related Organ Failure Assessment(SOFA)、つまり敗血症による臓器障害の評価方法として使用されていましたが、後にSequential Organ Failure Assessment(SOFA)と改名されました(1)(2)

〈目次〉

 


SOFAスコア(Sequential Organ Failure Assessment score)

SOFAスコア   敗血症

 

qSOFAスコア(Quick Sequential [Sepsis-related] Organ Failure Assessment)

qSOFAスコア

文献(3)より引用一部改変
 

SOFAスコアを主に使う場所と使用する診療科

SOFAスコアは重症患者の集中治療を行うICUで使用されます。一方、ICU以外の病棟や外来で使用されるスコアにqSOFAスコア(Quick Sequential [Sepsis-related] Organ Failure Assessment)があります。
従って、SOFAは主に集中治療科や救急科が、qSOFAは診療に携わるすべての診療科が使用することになります。

 

SOFAスコアで何がわかる?

先にも説明しましたが、SOFAスコアとは、呼吸・循環系や中枢神経系、肝臓、腎臓および凝固系といった臓器障害を簡便に点数化してその合計点で重症度を判定することを目的に作成されたものです。

 

この臓器障害を引き起こす原因の一つに、敗血症があります。敗血症は、病原体が血液中に入り込んで全身に広がり多臓器不全を起こしている重篤な状態を指します。

 

2016年2月、敗血症の定義が改定されました。
敗血症の新しい定義は、「感染症に対して制御不可能な宿主反応が生じ、生命を脅かす臓器障害を伴う」とされ、診断基準は集中治療室(以下、ICU)ではSOFAスコアが、一般病棟や外来ではqSOFAスコアが用いられることになりました(4)

 

参考:敗血症に新定義、SIRSよりも臓器障害を重視―ICU外での敗血症を把握する「qSOFA」登場

 

SOFAスコアは重要臓器の障害程度を評価するための指標ですが、主に敗血症の診断基準として用いられることが多い指標です。

 

SOFAスコアをどう使う?

SOFAスコアは、重要臓器の障害程度を評価する目的で作成された指標のため、上の表に示す呼吸器、凝固能、肝機能、循環機能、中枢神経系、腎機能の6項目について、0~4点の5段階で評価します。
また、算出するタイミングは、一般的には、ICU入室時とその後48時間ごとです。

 

ICU入室時のSOFAスコアが9点以下では死亡率は33%以下であり、11点以上では死亡率が95%とされています。
また、48時間以内に点数が増加する症例では、死亡率が50%と報告されていることから、SOFAスコアを算出することで感染症の重症度や予後の判定、早期対応の重要性などを知ることができます。

 

qSOFAスコアは、ICU以外の病棟や外来で簡便に算出することが可能です。
項目は、収縮期血圧、呼吸回数および意識状態の3項目で、2項目以上該当すれば(2点以上)、敗血症と判断でき、集中治療が必要となります。
従って、qSOFAスコアは集中治療の必要性があるかどうかの判断に役立ちます。

 

SOFAスコアを実際に使ってみよう

症例1

68歳の女性。下部消化管穿孔の診断で緊急手術後、ICUに入室となった。
気管挿管下に人工呼吸管理されており、FiO2は0.5でPaO298mmHg。血圧はドパミンおよびドブタミンがそれぞれ10γ持続投与されて124/84mmHg、意識レベルはGCS E2VTM4、血小板数は82×103/µL、ビリルビン値 1.1mg/dL、クレアチニン値 1.3mg/dLであった。
この患者のSOFAスコアは何点?

答え:合計12点

呼吸機能は補助呼吸下にPaO2/FiO2 なので、98÷0.5=196 mmHgであるため3点。
凝固能は血小板数82×103/µLで2点。
肝機能はビリルビン値 1.1mg/dLで0点。
循環機能はドパミンおよびドブタミンがそれぞれ10γ持続投与されているので3点。
中枢神経系は全身麻酔の影響もあるがGCS E2V1M4なので3点。
腎機能はクレアチニン値 1.3mg/dLで1点。
SOFAスコアは合計12点で、この患者は重症敗血症であり予後不良と判断できる。

 

症例2

58歳の男性。2、3日前から全身の倦怠感と腰痛を自覚していたが様子を見ていた。
本日、体温を測定したところ38.8℃であったため、救急外来を独歩受診した。既存症に糖尿病があり、インスリン療法を受けている。検査の結果、腎盂腎炎と診断され入院となった。
入院時の呼吸回数は24回/分で動脈血ガス分析の結果、PaO292mmHg(室内気)、血小板数 220×103/µL、ビリルビン値 1.1 mg/dL、血圧 140/82mmHg、意識レベル GCS15点、クレアチニン値 1.4 mg/dLであった。
抗菌薬を投与されていたが、第2病日の朝、受け答えが鈍くなっていたため、血圧を測定したところ100/78mmHgであった。当日朝の血液検査は、血小板数 132×103/µL、ビリルビン値 2.1mg/dL、クレアチニン値 2.4 mg/dLである。
この患者への対応は?

答え:集中治療を行う必要あり(担当医にすぐに報告)

腎盂腎炎で入院した患者が翌日朝になって様子がおかしいことに気付いた。
受け答えが鈍くなっていることから、意識レベルはGCSで14~13程度で1点
平均血圧は(100-78)÷3+78=85mmHgで0点
血小板数は132×103/µLと低下で1点
ビリルビン値 2.1mg/dLで2点
クレアチニン値 2.4 mg/dLで2点 SOFAスコアは合計6点。抗菌薬を投与されても入院時より状態は悪化していることから、集中治療が必要と判断できる。

 

症例3

72歳の男性。胆嚢癌の診断で手術を受け、術後2日間はICUに滞在し、その後、一般病棟に転棟となった。
術後5日目、朝の検温で様子がおかしいのに気付いた。呼吸数は24回/分で浅く早い。呼びかけには応じてくれるがすぐに目を閉じてしまうため、血圧を測定したところ、121/83mmHgであった。
さあ、どうしよう?

答え:術後感染症を疑い、担当医にすぐに報告する

呼びかけに応じてくれるがすぐに目を閉じてしまうことからGCSはE3と評価できる。呼吸数は24回/分、血圧に問題はなさそうだが、72歳という年齢を考慮すると低いかも知れない。
術後1週間以内なので術後感染症を疑ってqSOFAスコアで評価すると、3項目中、呼吸と意識が引っかかり、2点となるため直ちに担当医に報告すべきである。

 



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