1. 看護roo!>
  2. 看護・ケア>
  3. 糖尿病|内分泌

2017年03月24日

糖尿病|内分泌

看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。

今回は、糖尿病について解説します。

片野由美
山形大学医学部名誉教授
内田勝雄
山形県立保健医療大学名誉教授

 

Summary

  • 糖尿病の診断は、空腹時血糖値、経口ブドウ糖負荷試験、HbA1cなどで行われる。
  • 1型および2型糖尿病は、それぞれ若年型および成人型糖尿病とよばれる。

〈目次〉

 

糖尿病の診断基準

糖尿病の診断基準は、1999年に表1のように改定された(より厳しい基準になった)。

表1糖尿病の診断基準

糖尿病の診断基準

OGTT : oral glucose tolerance test(75gのグルコースを飲んで2時間後の血糖値を測定)
HbA1c : hemoglobin A1c (糖化ヘモグロビン、Hbのβ鎖にグルコースが結合)
2012年からHbA1cの表記が国内標準(JDS値)から国際標準(NGSP値)になった。両者の換算は下記にようになる。
HbA1c(National Glycohemoglobin Standardization Program : NGSP)= HbA1c(Japan Diabetes Society : JDS)+0.4

 

1型、2型および“3型”糖尿病

先天的なインスリン分泌の低下 insulin deficiency が1型糖尿病、インスリン分泌能力はあるがインスリンの作用が低下 insulin resistance (インスリン抵抗性)するのが2型糖尿病で、かつては小児は1型、成人は2型といわれた。しかし、小児の生活習慣が成人同様(不活動なのに過剰な飲食)になってきたため、いまでは小児でも2型糖尿病のほうが多い。

神経細胞もインスリンを分泌することが分かってきた。内でインスリン抵抗性が起こることと過剰に分泌されたインスリンがβ-アミロイドの分解を妨げ、アルツハイマー病 Alzheimer's disease を発症すると考えられ、アルツハイマー病が“3型”糖尿病と解釈されるようになった。

 

HbA1c

血中のグルコースが高濃度になるとヘモグロビン(hemoglobin、Hb)のβ鎖の末端にグルコースが結合して糖化ヘモグロビンglycohemoglobinを形成する。糖化Hbのなかで最も量が多いのがHbA1cである。

正常でもHbA1cは、全Hbのなかに4.3~5.8%存在するが、この割合が6.5%を超えると糖尿病と診断される。HbA1cは、血糖値と異なり、食事の影響を受けないこと、数か月にわたる血糖の状態を把握できるという利点がある。

 

無症候性虚血疾患

経口糖尿病薬の1つであるスルホニル尿素剤SU剤)は、膵臓ランゲルハンス島B(β)細胞の膜に存在するATP感受性K+チャネル ATP-sensitive K+channel を閉じることによって、細胞膜を脱分極させる。その結果、電位依存型Ca2+チャネル voltage-dependent Ca2+ channel を開いて細胞外のCa2+を流入させる。そのCa2+によってインスリン分泌が起こる(図1参照)。

図1膵臓ランゲルハンス島B細胞におけるインスリンの分泌

膵臓ランゲルハンス島B細胞におけるインスリンの分泌

 

したがって、インスリンの生合成ができない1型糖尿病にはSU剤は無効である。ATP感受性K+チャネルは心筋細胞膜にも存在し、心筋梗塞などで心筋壊死が起こると細胞内のATPが低下してATP感受性K+チャネルが開いてK+が細胞外に流出する。そのK+が知覚神経を刺激して心筋梗塞などの痛みを感じる。

SU剤がランゲルハンス島B細胞だけでなく心筋細胞にも作用した場合、K+チャネルを閉じるので心筋梗塞が進行しても痛みを感じないことがあって危険である。これを無症候性虚血疾患 silent ischemia という。

 

NursingEye

SU剤とは異なるタイプの経口糖尿病薬として「DPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ-4)阻害薬」が最近承認された。食後に血糖値が上がったときに小腸から分泌されるホルモンであるインクレチンはインスリンの分泌を促進させて血糖値を下げる。インクレチンを分解する酵素DPP-4を阻害するこの薬が血糖コントロールを容易にさせる。

 

NursingEye

骨格筋および脂肪組織の細胞内に血中のグルコースが取り込まれるためにはグルコース・トランスポーターのGLUT4が必要である。GLUT4は他のグルコース・トランスポーターと異なり、最初から細胞膜に発現しているわけではなく、インスリンまたは筋収縮の刺激により細胞内から細胞膜に移行する。
インスリンと筋収縮は異なる細胞内情報伝達を介してGLUT4を細胞膜に発現させるので、インスリン抵抗性のある場合でも運動療法は有効である。筋収縮によるGLUT4の細胞膜移行には筋細胞内のAMPキナーゼという酵素が関与している。

経口糖尿病薬でも塩酸メトホルミン metformin hydrochliride は筋収縮による経路を活性化させることによりGLUT4を発現させる作用があるので、インスリン分泌を促進させるSU剤とは異なる機構で血糖値を下げる。DHEAにもGLUT4を細胞膜に移行させる作用があるといわれている。

表2血中グルコースの取り込み(血糖低下)に関する臓器の相違

血中グルコースの取り込み(血糖低下)に関する臓器の相違

 

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典] 『新訂版 図解ワンポイント 生理学』 (著者)片野由美、内田勝雄/2015年5月刊行/ サイオ出版

参考文献

著作権について

関連記事

  • 内分泌系の副司令塔はどこにあるの? [09/15up]

    『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。 今回は「内分泌系の副司令塔」に関するQ&Aです。 山田幸宏 昭和伊南総合病院健診センター長   内分泌系の副司令塔はどこにあるの? 視床下部からのホルモンを受... [ 記事を読む ]

  • サーカディアンリズムって何? [08/11up]

    『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。 今回は「サーカディアンリズム」に関するQ&Aです。 山田幸宏 昭和伊南総合病院健診センター長   サーカディアンリズムって何? 私たちは24時間周期で睡眠と覚... [ 記事を読む ]

  • ホルモンってどんなもの? [06/23up]

    『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。 今回はホルモンに関するQ&Aです。 山田幸宏 昭和伊南総合病院健診センター長   ホルモンってどんなもの? ホルモンは、ギリシャ語の刺激する、目を覚まさせて活... [ 記事を読む ]

  • BNP/NT-proBNP|ホルモン | 検査値早わかりガイド [03/02up]

    看護師のための検査値の解説書『検査値早わかりガイド』より。 今回は、BNP/NT-proBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド/BNP前駆体N端フラグメント)について解説します。   江口正信 公立福生病院部長 ... [ 記事を読む ]

  • 内分泌機能検査|検体検査(血液検査) [06/23up]

    『看護に生かす検査マニュアル』より転載。 今回は、内分泌機能検査について解説します。 高木 康 昭和大学医学部教授   〈目次〉 内分泌機能検査とはどんな検査か 下垂体機能検査 ・成長ホルモ... [ 記事を読む ]

いちおし記事

6年目ナースが辞める時|マンガ・病院珍百景

職場を離れる人、ひとつの場所で働く人…。その差って…? [ 記事を読む ]

感染対策で重要な「ガウンテクニック」おさらい

「プラスチックガウン」「マスク」「ゴーグル」「手袋」のつけ方を動画でチェック! [ 記事を読む ]

看護師みんなのアンケート

仕事中、透明コンタクト?カラーコンタクト?

投票数:
1719
実施期間:
2020年01月28日 2020年02月18日

あなたの病院に「4」「9」「13」の数字はある?

投票数:
1597
実施期間:
2020年01月31日 2020年02月21日

東京オリンピック、観に行く?

投票数:
1476
実施期間:
2020年02月04日 2020年02月25日

あなたが恋に落ちた瞬間♡教えてください

投票数:
1341
実施期間:
2020年02月07日 2020年02月28日

バレンタイン、チョコ以外になにかプレゼントあげる?

投票数:
1214
実施期間:
2020年02月11日 2020年03月03日

国試直前!言っちゃえ合格宣言&エール!

投票数:
1047
実施期間:
2020年02月14日 2020年03月06日

国試の問題、難しかった?

投票数:
360
実施期間:
2020年02月18日 2020年03月10日
もっと見る

今日の看護クイズ 挑戦者7547

◆糖尿病の問題◆血糖測定を行う際の第一選択となる部位はどこでしょうか?

  • 1.耳たぶ
  • 2.指先
  • 3.手のひら
  • 4.大腿
今日のクイズに挑戦!