創部にステロイド軟膏を塗布していたが、創部が悪化した!

『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、創部にステロイド軟膏を塗布していたが、創部が悪化し、培養検査をしたら真菌が検出された場合について解説します。

栗木 公孝

嶋田病院 看護部
クリティカルケア認定看護師

 

 

 

患者の創部にステロイド軟膏を塗布していたが、創部が悪化し、培養検査をしたら真菌が検出され看護師が焦っているイラスト

 

ピンチを切り抜ける鉄則

皮膚障害が起こると、皮膚の感染に対する抵抗力が著しく低下し、細菌や真菌感染が好発します。
特に、皮膚がアルカリ性に変化したときは真菌に適した環境となります。
細菌感染が起こると皮膚障害部および優位の皮膚に強い発赤を伴う炎症性変化が見られるため、菌の同定のためには培養検査を医師へ提案します。
真菌感染を疑う場合は、滲出性紅斑の段階で皮膚科医への診察が勧められます。

 

POINT
  • 副腎皮質ステロイド軟膏は皮膚の局所免疫を抑制する作用があるため、細菌や真菌などの感染症を引き起こす可能性があります。
    使用する場合は、感染性ではないことをアセスメントし、副腎ステロイド軟膏を塗布します。

 

 

起こった状況

症例

患者Aさん。1年前に脳梗塞による嚥下障害のため、ろう造設を行いました。
その後、嚥下状態が改善し、経口での食事摂取が可能となったため、胃ろうチューブを抜去し瘻孔閉鎖術を行いました。
しかし、創部は離開し創部から胃内容液の漏出が続き、創傷周囲は発赤・熱感・疼痛を認めました。


そのため、医師より創傷周囲にステロイド軟膏による加療を受けていましたが、次第に創部周囲の発赤は悪化し、滲出性紅斑を認めたため、創部培養検査を行ったところ、真菌が検出されました。

 

 

どうしてそうなった?

瘻孔からの滲出液によって瘻孔周囲の皮膚は浸軟し、皮膚の表面を被う角質層のバリア機能が障害されることで皮膚障害が起こります。
また、創傷周囲の発赤に対し、ステロイド軟膏による加療をしたことで、皮膚の局所免疫が抑制され、皮膚の角質層に存在する真菌が増殖して滲出性紅斑を認め、創部の状態が悪化しました。

 

 

どう切り抜ける?

1 副腎皮質ステロイド外用薬と、その副作用

皮膚科領域で最も重要な外用薬であり、湿疹、皮膚炎群に用いられます。
副腎皮質ステロイドの皮膚への作用は表1の通りです。

 

表1副腎皮質ステロイドの皮膚への作用

副腎皮質ステロイドの皮膚への作用を表した表

 

ステロイド軟膏は、皮膚のコラーゲンを萎縮させ、皮膚を非薄化させて、易感染状態を惹起します。
また、細胞増殖を抑制することにより創傷治癒を遅延させる作用があり、皮膚や粘膜などの物理的バリアの破綻にも影響します。


特に、外用薬使用時には、細胞免疫機能の低下によって易感染状態となるため、細菌やウイルス、深在性真菌などのさまざまな感染症のリスクとなります。
感染症に対して安易に誤用することにより、感染症(表在性真菌など)の遷延・拡大が見られることがあり、外用薬の副作用を熟知しておく必要があります。


主な副作用を表2に示します。

 

表2副腎皮質ステロイド外用薬の主な局所性の副作用

副腎皮質ステロイド外用薬の主な局所性の副作用を表した表

 

副腎皮質ステロイド外用薬は、その強さにより5段階に分類されています(表3)。
副作用を出さないために、症状の軽快とともに、弱いランクの副腎皮質ステロイド外用薬に適時レベルダウンを検討していく必要があります。

 

表3副腎皮質ステロイド外用薬の使い分け

副腎皮質ステロイド外用薬の使い分け

 

 

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文献 閉じる

1) 安部正敏:イチから学ぶ!ナースのための皮膚科看護学入門.学研メディカル秀潤社,東京,2021:122-128.

2) 西岡清:皮膚外用薬の選び方と使い方(改訂第4版).南江堂,東京,2012:7-15.

 


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社

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