4人に3人が「看護師になってよかった!」|もう一度職業を選べるとしたら「看護師になりたい」は3割強

【日経メディカルAナーシング Pick up!】

 

石川奈々子=医療・看護エディター

 

 

看護師は、女性が働き続けられる資格の代表例であり、子どもたちの「なりたい職業ランキング」の上位に必ず挙がる人気職業でもある。

 

そんな憧れの存在である看護師たちは、自分の仕事に満足しているのだろうか。

 

そして、もう一度職業を選べるとしたら、それでも看護師になりたいだろうか。

 

Aナーシングでは看護職会員を対象に、看護師であることの満足度に関する調査を実施。同調査は2019年7月8~21日にウェブ上で行い、260人が回答した。

 

 

看護師になってよかった理由は「経済的な安定」と「仕事のやりがい」

まず、「看護師になってよかったかどうか」について、「よかった」「よくなかった」「どちらともいえない」という3つの選択肢を示し、最も自分の考えに近いものを選んでもらった。

 

その結果、「よかった」との回答が75.8%と圧倒的で、続いて「どちらともいえない」が20.4%、「よくなかった」という回答はわずか3.8%だった(図1)。

 

図1「あなたは看護師になってよかったと思いますか?」(n=260)

図1「あなたは看護師になってよかったと思いますか?」/よかった:75.8%、よくなかった:3.8%、どちらともいえない:20.4%

それぞれの回答を選んだ理由を尋ねると、「よかった」と答えた理由では、「仕事に困らない」「給料がよい」「やりがいがある」「社会に貢献している」など、経済的に安定していることと、患者・家族からの学び、自身の成長などを含めた仕事のやりがいを挙げた回答が多かった。

 

「よくなかった」と答えた理由は、「緊張度が高い」「精神的・肉体的にきつい」など。

 

「どちらともいえない」と答えた理由の「(やりがいがあるのはよいが)忙しすぎる」「仕事の責任が重い」といった回答とともに、「仕事からの重圧」を挙げる内容が目立った。
 

 

「よかった」と答えた理由


・ロスジェネ世代でも仕事が見つかる。(40歳代看護師、中病院[100~499床])


・看護師免許があれば、仕事がない・生活が困窮するということがなく、結婚や妊娠・出産、夫の転勤やリストラ、離婚や生涯独身など、どんな状況にも対応できる。(40歳代看護師、診療所・クリニック)


・いろんな患者・ご家族にかかわる機会がある。たくさんの人生話を聞け、出会いのすべてが宝。ありがたい仕事だと思う。(40歳代保健師、その他)


・やりがいがあり感動の毎日。給料もいい。どこでも働ける。家族には少し負担をかけているが家族を食べさせられる。(50歳代看護師、訪問看護ステーション)


・医師が治せない病気はあっても看護ができない病気はない。世界中どこでも、誰と向き合っても、最後まで全力を尽くせる仕事。(30歳代看護師、診療所・クリニック)


・日々、自身の成長を感じられ充実感が得られる。社会に対して貢献していると思う。(40歳代看護師、大病院[500床以上])

 

「よくなかった」と答えた理由


・プロとして業務時間の緊張度(特に夜勤)が高い。経験を重ねても常に新しい知識を習得していかないとならず、ゴールが見えない。認定看護師になったが、結局、大卒の肩書きがなければ希望する職種につけない。(50歳代、看護師、中病院[100~499床])


・不規則な勤務で精神的にも肉体的にもきつく後悔ばかり。一般常識に疎くなり、世間に取り残された気がする。(30歳代看護師、大病院[500床以上])


・負わされる責任に対して給料が安い。(40歳代看護師、大病院[500床以上])


・指導に疲れた。対応に困る患者・家族が多い。(40歳代看護師、中病院[100~499床])


・看護師以外の職に就きづらい。(20歳代看護師、中病院[100~499床])

 

「どちらともいえない」と答えた理由


・患者・家族から「ありがとう」と言われるとなってよかったと感じるが、最近は患者のクレーム対応に追われている。(50歳代看護師、中病院[100~499床])


・女性の仕事としてやりがいもあり、経済的にも自立できる点ではとてもよい仕事だと思うが、職場環境の過酷さや人間関係の厳しさを感じる。(40歳代看護師、大病院[500床以上])


・人の生き死ににかかわることの重責に、やりがいと無力感の両方を感じる。(40歳代看護師、大病院[500床以上])


・忙しすぎて自分のしたい看護からかけ離れた考え方をするようになった。いかに楽して稼ぐかを常に考えてしまい、やりたい看護が何なのか分からなくなった。(30歳代看護師、教育・研究機関)


・給与と仕事内容が見合わない。「夜勤で身体に負担が大きく危険も伴うのに、この額」と思うと、働きがいなどない。(20歳代看護師、中病院[100~499床])

 

 

「看護師もいいが、ほかの仕事もしてみたい」

次に、「もう一度、職業を選べるとしたら、それでも看護師になりたいか」と尋ねたところ、「なりたい」が33.5%、「なりたくない」が21.9%、「どちらともいえない」が44.6%と回答が分かれた(図2)。

 

図2「もう一度職業を選べるとしたら、それでも看護師になりたいですか?」 (n=260)

図2「もう一度職業を選べるとしたら、それでも看護師になりたいですか?」/なりたい:33.5%、なりたくない:21.9%、どちらともいえない:46.6%

 

「なりたい」と答えた理由としては、「この仕事が好き」「自分に合っている」「天職だから」の3つが多かった。

 

同じ看護師になるのでも、今度は「教育・研究に携わりたい」(60歳代看護師、その他)、「大学に行って助産師になりたい」(30歳代准看護師、中病院[100~499床])、「地域で働きたい」(30歳代看護師、その他)、「ほかの領域を経験したい」(40歳代看護師、中病院[100~499床])という回答もあった。

 

「なりたくない」と答えた理由は、「労働内容に給料が見合わない」(50歳代准看護師、訪問看護ステーション)、「精神的・肉体的ストレスが大きい」(40歳代助産師、診療所・クリニック)などの「看護師はもうやりたくない」派と、「(看護師はもう経験したから)ほかの仕事をしてみたい」派に分かれた。

 

やってみたい仕事としては、「一般企業のOL」(30歳代看護師、中病院[100~499床])、「デザイン関係の仕事」(50歳代看護師、働いていない)、「モノづくりにかかわる仕事」(40歳代看護師、大病院[500床以上])、「建築家」(50代看護師、中病院[100~499床])などが挙がった。

 

「看護師以外の医療職になりたい」という答えも多く、薬剤師、作業療法士(OT)、理学療法士(PT)、臨床心理士などを上回って「今度は医師になりたい」という答えが目立った。

 

なお、「専業主婦になりたい」(50歳代看護師、訪問看護ステーション)という回答は1人のみ。「仕事自体をしたくない」という回答はなかった。

 

調査概要

 

日経メディカルAナーシング看護職会員を対象にウェブアンケートを実施。

 

期間は2019年7月8~21日。回答者数は260人。

 

内訳は、看護師93.1%、准看護師3.1%、保健師2.7%、助産師1.1%。

 

年代は20歳代3.8%、30歳代23.8%、40歳代42.7%、50歳代27.3%、60歳代1.9%、70歳代0.4%。

 

勤務先は病院が55.8%(20~99床2.7%、100~499床34.1%、500床以上19.0%)、診療所・クリニックが12.8%、訪問看護ステーションが9.3%、介護系施設・事務所が5.4%、教育・研究機関が6.6%、自治体・公共団体が0.8%、その他7.4%、働いていないが1.9%だった。

 

 


 

<掲載元>

日経メディカルAナーシング

Aナーシングは、医学メディアとして40年の歴史を持つ「日経メディカル」がプロデュースする看護師向け情報サイト。会員登録(無料)すると、臨床からキャリアまで、多くのニュースやコラムをご覧いただけます。Aナーシングサイトはこちら

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