1. 看護roo!>
  2. 看護・ケア>
  3. ワンポイント生理学>
  4. 血液の成分と働き|血液と生体防御

2016年06月05日

血液の成分と働き|血液と生体防御

看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。

〈前回の内容〉

自律神経系の機能|神経系の機能

今回は、血液の成分と働きについて解説します。

片野由美
山形大学医学部名誉教授
内田勝雄
山形県立保健医療大学名誉教授

 

Summary

  • 血液は、生体の重要な細胞外液であり、体重の1/13(約8%で5L)を占める。
  • 血液の組成は、液体成分である血漿と有形成分である血球に分けられる。
  • 血漿から凝固成分(フィブリノゲン)を取り除いたものを血清という。したがって、血漿は凝固するが、血清はしない。
  • 血球は、赤血球白血球血小板の3種類に大別できる。
  • 血液のpHは、通常7.35~7.45に保たれている。
  • 血液の主な機能として、物質(O2、CO2、栄養素)の運搬、体液量の調節、体温の維持、生体防御、止血作用などがある。

 

〈目次〉

 

血液の成分

血液は、生体の重要な細胞外液で、体重の約1/13(約8%で約5L)を占める。血液は、血管内を循環し、体内の全器官に分配され、物質(O2やCO2、栄養素、代謝産物)や熱の運搬、体液量の調節、体温の維持など、生体の生理的調節、生体防御および止血に働いている。

血液の組成は、液体成分である血漿 plasma と有形成分である血球に分けられる(表1)。

表1血液成分の組成

血液成分の組成

 

血漿は、全血液の55~60%を占める。血球は血液の40~45%を占めている。そのため、血液は粘稠度の高い液体になる。血漿の91%は水で、そのほか約1%の電解質と約8%の有機物を含む。血漿に含まれる血漿タンパクは、栄養など酸素以外の物質を運搬したり、出血の際に血液凝固の主体となる。血漿から凝固成分を取り除いたものを血清 serum という。

血液を1滴取り顕微鏡で観察すると、淡黄色の液体中に細胞がたくさん浮遊しているのが見える。この細胞が血球である。血球は、大きく赤血球白血球血小板の3種類に分けられる。このなかで最も重く、量も多いのが赤血球である。血液の比重を測ることで、おおよその赤血球の量を測定することができる。赤血球の量には男女差があり、男性のほうが多い。

また、新生児のほうがやや多く、高齢者では少なくなる。成人の基準比重値は、男性で1.055~1.063、女性で1.052~1.060であり、男性が重い。なお、献血は比重が1.052以上の場合に行われる。

血液のpHは、通常7.35~7.45の間に保たれている。

 

血清と血漿

血液を試験管にとってしばらく放置しておくと、血液はゼリー状に固まる。このゼリー状の血液のかたまりを血餅(けっぺい) clot という。血餅は、血液凝固反応が起こった結果、固まったものである。

さらに時間が経つと血餅がしだいに退縮して、血餅から透明な液体(黄色)が分離してくる。この液体を血清 serum という(図1-B)。

図1血漿と血清の違い

血漿と血清の違い

血漿は、血液凝固因子であるフィブリノゲンを含んでいるので、凝固しうる。?
血清は、フィブリノゲンを含まないので凝固しない。?

 

一方、血液凝固抑制剤を使用して凝固が起こらないように処理した血液を遠心分離すると、血液は液体成分と有形成分に分かれる。液体成分を血漿 plasma という(図1-A)。血漿には血液凝固因子であるフィブリノゲンが含まれている。

 

各血球の役割

赤血球の最も重要な役割は酸素の運搬である。血漿も微量の酸素を運ぶが、赤血球は血漿の約70倍の酸素を運ぶことができる。

血球(大部分は赤血球)が血液中で占める容積の割合(%)をヘマトクリット(Ht)値という。正常のHt値は、男性で40~50%、女性で35~45%である。100%からHt値を引いたものを血漿量とみなすことができる。

白血球の役割は免疫で、体外から侵入した細菌類やがん細胞などから生体を防御する。

血小板の役割は止血である。血液の凝固力を高めるために血小板がある。血小板は、骨髄において巨球(幹細胞から分化した細胞)の一部がちぎれてできる。

 

〈次回〉

血球の産生(造血)

 

⇒〔ワンポイント生理学一覧〕を見る


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典] 『新訂版 図解ワンポイント 生理学』 (著者)片野由美、内田勝雄/2015年5月刊行/ サイオ出版

参考文献

著作権について

この連載

  • 赤血球の働き(1)|ヘモグロビンの働き [06/12up]

    看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。 〈前回の内容〉 血球の産生(造血) 今回は、赤血球の働きについての解説の1回目です。 片野由美 山形大学医学部名誉教授 内田勝雄 山形県立保... [ 記事を読む ]

  • 血球の産生(造血)|血液と生体防御 [06/09up]

    看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。 〈前回の内容〉 血液の成分と働き 今回は、血球の産生(造血)について解説します。 片野由美 山形大学医学部名誉教授 内田勝雄 山形県立保健医... [ 記事を読む ]

  • 血液の成分と働き|血液と生体防御 [06/05up]

    看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。 〈前回の内容〉 自律神経系の機能|神経系の機能 今回は、血液の成分と働きについて解説します。 片野由美 山形大学医学部名誉教授 内田勝雄 山...

  • 自律神経系の機能|神経系の機能 [06/02up]

    看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。 〈前回の内容〉 自律神経系の化学伝達物質と受容体 今回は、自律神経系の機能について解説します。 片野由美 山形大学医学部名誉教授 内田勝雄 ... [ 記事を読む ]

  • 自律神経系の化学伝達物質と受容体|神経系の機能 [05/29up]

    看護師のための生理学の解説書『図解ワンポイント生理学』より。 〈前回の内容〉 自律神経系 今回は、自律神経系の化学伝達物質と受容体について解説します。 片野由美 山形大学医学部名誉教授 内田勝雄 山形県... [ 記事を読む ]

もっと見る

関連記事

  • 心電図の波形から何が分かるの? [06/06up]

    看護師のための解剖生理の解説書『からだの正常・異常ガイドブック』より転載。 〈前回〉 心音はどのように聴こえる? 今回は「心電図波形」に関するQ&Aです。 山田幸宏 昭和伊南総合病院健診センター長  ... [ 記事を読む ]

  • リンパ系のしくみとはたらき [01/31up]

    『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』より転載。 今回はリンパ系のしくみとはたらきについて解説します。 中嶋ひとみ 新東京病院看護部   全身のリンパ系のしくみ リンパ系は、リンパ管、リンパ節、リンパ組... [ 記事を読む ]

  • 虚血性心疾患(IHD) の理解に重要な冠動脈のしくみ [02/06up]

    『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』より転載。 今回は冠動脈のしくみについて解説します。 木下智恵 新東京病院看護部 橘 綾子 新東京病院看護部   冠動脈のしくみ 冠動脈は心臓を栄養する終動脈で... [ 記事を読む ]

  • 《循環器の理解に役立つ生理学》心筋の興奮と収縮のしくみ [01/26up]

    『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』より転載。 今回は心筋の興奮と収縮のしくみについて解説します。 中嶋ひとみ 新東京病院看護部   〈目次〉 心筋の組織構造 心筋細胞からみる興奮のしくみ ... [ 記事を読む ]

  • 動脈と静脈|流れる・運ぶ(3) [07/22up]

    解剖生理が苦手なナースのための解説書『解剖生理をおもしろく学ぶ』より 今回は、循環器についてのお話の3回目です。 〈前回の内容〉 心臓は働きもの|流れる・運ぶ(2) 血管の中を冒険中のナスカ。心臓が1日10万回も... [ 記事を読む ]

いちおし記事

新人ナース必見!持っておきたいナースグッズ12選

「とりあえずこれだけ持っとけば大丈夫!」現役看護師厳選のグッズを徹底解説! [ 記事を読む ]

心電図のキホン、ここだけはおさえておこう!

基準値、異常な波形いろいろ、心電図実施時のポイントなどをコンパクトに解説! [ 記事を読む ]

人気トピック

もっと見る

看護師みんなのアンケート

「新人だった頃の私」に言いたいことは?

投票数:
1231
実施期間:
2020年03月17日 2020年04月07日

実習中の看護技術、どれに苦労した?

投票数:
2828
実施期間:
2020年03月20日 2020年04月10日

1日がかりの院外セミナー。ランチは何がベスト?

投票数:
1111
実施期間:
2020年03月24日 2020年04月14日

【エイプリルフール】人生最大級の「嘘」おしえて!

投票数:
1015
実施期間:
2020年03月27日 2020年04月17日

めちゃくちゃ疲れたときの「自分へのご褒美」ある?

投票数:
865
実施期間:
2020年03月31日 2020年04月21日

ついつい職業病が出ちゃうときってどんなとき?

投票数:
543
実施期間:
2020年04月03日 2020年04月24日
もっと見る

今日の看護クイズ 挑戦者5929

◆浮腫の問題◆浮腫について正しい説明はどれでしょうか?

  • 1.すべての浮腫の患者さんに水分管理が優先される。
  • 2.浮腫の観察は下肢以外では行わない。
  • 3.浮腫による皮膚トラブル予防には保湿剤の塗布を行う。
  • 4.浮腫の触診は骨のない柔らかい部分が最適である。
今日のクイズに挑戦!