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2015年10月30日

ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)|消化器系の検査

『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、ERCP検査(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)について解説します。

〈目次〉

 

ERCP検査とはどんな検査か

ERCPは、内視鏡を十二指腸まで挿入し、ファーター乳頭開口部からカテーテルを挿入し、造影剤を注入することにより胆管・膵管を造影し、形態の観察・疾患の診断を行う検査である。

検査は30〜60分と時間がかかり、内視鏡下で行うことから患者の負担が大きいため、十分な説明と援助が必要である。また、検査後の合併症に注意し管理することが必要である。

 

ERCP検査の目的

造影により胆管・膵管の形態の変化を観察する。

  1. 胆管:胆石・胆管癌・胆管の拡張や狭窄の有無
  2. 膵臓:慢性膵炎・膵癌・膵管の拡張や狭窄の有無
  3. その他、十二指腸乳頭部位の病変の観察や、胆石の除去・乳頭切開などを行うことも可能である。

 

ERCP検査の実際

  1. 医師の指示により前投薬を投与する。
  2. 患者を検査台に寝かせ仰臥位をとらせる。顔の下に処置用シーツを敷き、ガーグルベースンを顔の横に準備する。
  3. 咽頭麻酔(キシロカインスプレー)を行い、マウスピースを噛ませる。
  4. 医師の指示により鎮静剤を投与する。
  5. 内視鏡を挿入する。挿入時の体位は左側臥位とし、患者に声をかけ、必要時介助する。内視鏡挿入時は身体の力を抜くように声をかける。
  6. 十二指腸乳頭部まで内視鏡を挿入後、鉗子口からカテーテルを挿入し造影剤を注入する。この際、患者の体位は腹臥位となるよう介助する。また、内視鏡挿入・造影時は患者の表情を観察し、手を握るなど苦痛の緩和に努める。
  7. 造影剤を注入後、X線撮影を行う。
  8. 造影が終了したら静かに内視鏡を抜去する。
  9. 患者に検査が終了したことを説明し、体位を整える。

 

ERCP検査前後の看護の手順

ERCP検査に関する患者への説明

  • 内視鏡を挿入・造影剤を注入してX線撮影をすることにより、胆管・膵管の状態を調べる検査である。
  • 検査前に前投薬を注射し、検査中は体位の変換を行う。
  • 検査後、膵炎を予防するための点滴を行う。
  • 身体の力を抜いてリラックスしてもらう。

 

ERCP検査で準備するもの

・十二指腸ファイバースコープと付属品・造影剤 ・医師の指示により鎮静剤、前投薬・キシロカインスプレー ・マウスピース・アルコール綿 ・処置用シーツ ・ガーグルベースン

 

ERCP検査前後の管理

1)検査前日

  • 夜9時以降は禁飲食とする。
  • 検査の目的と方法を説明し、同意を得るとともに不安の軽減に努める。

2)検査前

  • 朝から禁飲食とする。
  • 感染症の有無、既往歴を確認する。
  • 内服薬の確認をする。
  • 検査中は会話ができないため、苦痛があるときには手を軽くあげ合図をするよう説明する。
  • 検査中は看護師がついていることを説明し、不安の軽減に努める。

3)検査中

  • 内視鏡挿入時、造影剤注入時は患者の手を握るなどして、不安の軽減に努める。
  • 造影剤注入時は副作用の有無を観察する。
  • 検査中は声をかけ、必要時体位の変換を介助する。
  • 撮影時は動かないよう説明する。

4)検査後

  • 安静:検査終了後から3時間はベッド上安静とする。
  • 食事:検査終了後3時間は禁飲食とする。腹痛、発熱のないことを確認した後、水分から摂取させる。
  • 観察:検査終了後と安静解除前にバイタルサインを測定し、腹部症状、造影剤の副作用を観察する。腹痛・発熱を生じた場合は、検査後膵炎を起こしている可能性があるため、速やかに医師に報告し対処する。
  • 合併症(検査後膵炎・胆管炎・造影剤の副作用など)が生じた場合は、速やかに医師に報告し対処する(表1)。
  • 検査終了時は病棟までストレッチャーで搬送し、安静を保つ。
  • 検査後は膵炎の予防のため、抗生物質と蛋白分解酵素阻害剤の点滴を行う。
  • 造影剤の排泄を促すため、なるべく水を飲むように説明する。

表1ERCPの合併症

ERCPの合併症

 

ERCP検査において注意すべきこと

  • 検査後膵炎を生じた場合は、禁飲食とし点滴管理とする。
  • 高血圧・心疾患などの内服薬は医師の指示に従い内服させる。
  • 苦痛を伴う検査であるため、常に声をかけながら行うよう努める。

 

ERCP検査現場での患者との問答例

明日は内視鏡的逆行性胆管膵管造影という検査を行います。

どんな検査ですか。

口からカメラを挿入して造影剤を入れ、胆管と膵臓の状態をレントゲン撮影する検査です。

苦しいですか。

のどにも麻酔をしてカメラが入りやすいようにします。検査中は看護師が常についていますので、つらい時は手をあげて教えてください。医師の指示により鎮静剤も使用します。

何か準備をしておくことはありますか。

夜9時以降は飲んだり食べたりしないでください。

検査が終わってから制限はありますか。

検査が終わってから3時間安静にしていただきます。点滴をする予定です。

わかりました。

 

ERCP検査に関する患者への説明用資料

説明用資料ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)を受ける方へ

この検査は内視鏡を口から十二指腸まで挿入し、ファーター乳頭という部分から造影剤を使用することにより、胆管や膵臓の状態を調べるものです。

【注意事項】

  • 前日の夕食は21時までに摂り、それ以降はおやめください。
  • 検査当日の飲食は検査の妨げになりますので、検査終了までおやめください。
  • 朝の内服薬は少量の水でお飲みください。
  • 血糖降下薬やインスリンを使用している方は、検査終了まで中止してください。

略語

  • ERCP:endoscopic retrograde cholangiopancreatography

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

[出典]『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』(編著)高木康/2016年3月刊行

新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版

参考文献

著作権について

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橈骨動脈微弱で末梢冷感あり。声かけに容易に反応あり。『お腹が痛い』と話している。
右上腹部打撲痕および、右腹部圧痛あり。

  • 1.生理学的評価では循環に異常があるため、カテゴリーは赤。解剖学的評価は腹部圧痛、右上腹部打撲痕があることから、カテゴリーは赤となる。
  • 2.意識レベルは低下していないため、生理学的評価ではカテゴリーは黄。解剖学的評価は、右上腹部に打撲痕があるため、カテゴリーは黄となる。
  • 3.橈骨動脈微弱のため、生理学的評価ではカテゴリーは赤。解剖学的評価は、右上腹部打撲痕があることから、カテゴリーは黄となる。
  • 4.呼吸回数24回/分、意識レベル清明で生理学的評価は黄色のため、最終的な優先順位のカテゴリーは黄となる。
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