綿棒で耳垢を除去していたら出血してしまった!

『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、綿棒で患者さんの耳垢を除去していたら出血してしまった場合について解説します。

林 真理

製鉄記念八幡病院看護部
集中ケア認定看護師

 

 

綿棒で患者さんの耳垢を除去していたら出血してしまい、焦っている看護師のイラスト

 

ピンチを切り抜ける鉄則

掃除を行うときは、耳垢をかえって奥に押し込んでしまわないよう、綿棒などの柔らかいものを使って耳の入り口付近を優しく掃除します。
あとは、耳鼻科を受診し耳垢を取ってもらうようにします。

 

耳は、本来自浄作用を持っています。
排出されるべき耳垢などの老廃物やゴミなどは、自然に押し出されるような仕組みになっています。
無理に奥まで掃除しないようにしましょう。

 

POINT
  • 耳は音を聞き、に伝える働きがあります。
    外耳道は細長く屈曲し、知覚も過敏です。
    耳の皮膚は柔らかく傷つきやすくなっています。
    耳から出血したらその原因を調べて適切な処置を行う必要があります。

 

 

起こった状況

症例

独居のAさんは自宅で意識不明の状態で発見され、脳梗塞で入院しています。

 

お風呂にも入っていないようでした。

清拭時に耳を拭くととても汚れていました。

 

そこで、綿棒で耳かきを行ってみたところ、耳垢がたくさん取れましたが、耳の中から出血をしてしまいました。

 

 

どうしてそうなった?

まず、耳の解剖学的な構造を理解しておきましょう(図1)。

 

図1耳の解剖

耳の解剖を表した図

 

看護師の習性でしょうか。

耳かきなどで耳垢がたくさん取れると、ついつい集中して奥まで入れてしまうことがあります。

 

出血の原因は耳かきのしすぎです。

耳かき中に誤って鼓膜穿孔を起こしたことも考えられます。

 

患者Aさんは自宅でも耳掃除などをしていなかったと判断されます。

そのため、耳の皮膚も刺激に弱くなっており、少しの力でも傷つきやすくなっていたと思われます。

 

また、もともと患者さんに外耳道炎、外耳道湿疹などがある場合は出血しやすくなります。

 

 

1 外耳道炎

耳かきを頻繁にしてしまってできる傷が多いですが、健康な方であればだいたいは自然に治っていきます。

 

しかし、糖尿病や免疫疾患があって免疫力が下がっている場合などは再発することもあります。
適切な治療を行うようにしましょう。

 

2 外耳道湿疹

かゆみが出ることが多く、患者さんはついつい触ってしまいます。

触れることで悪化すると出血しますし、耳垂れが出てきます。

 

シャンプーなどに含まれている化学物質が刺激となって発症することもありますので、注意が必要です。

ステロイド抗アレルギー薬抗ヒスタミン薬などを使って治療をします。

 

3 鼓膜炎

鼓膜にできた水疱が破れると、出血が見られることがあります。

 

鼓膜炎はウイルス感染などが原因となって起こると考えられており、症状としては耳が聞こえにくくなり、痛みが出たりすることがあります。

 

 

どう切り抜ける?

清潔な綿球などを耳の穴に詰めて止血します。

 

止血しにくい場合は鼓膜炎や中耳炎などの疾患にかかっている場合があるため、必ず耳鼻科受診を行います。

 

 

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参考文献 閉じる

1) 大石延正:耳内の異物(外耳道異物).救急医学 2010;34(7):764-765.

 


 

本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社

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