緊急手術をすることになった患者さんがコンタクトレンズを装用していることを確認せずに、そのまま手術してしまった!
『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、緊急手術をすることになった患者さんがコンタクトレンズを装用していることを 確認せずに、そのまま手術してしまった場合について解説します。
河北総合病院 看護部
手術看護認定看護師

ピンチを切り抜ける鉄則
コンタクトレンズに限らず装用品の確認不足を防ぐためには、チェックリストの活用や周術期管理に関与する複数の職種協力が必要です。
病棟で確認する時間や余裕がなくても、入室時には手術室看護師や麻酔科医とともに装着状況を確認して装用品による術後合併症を予防することができます。
- 時間的猶予のない緊急性の高い緊急手術においては、急ぐあまり装用品を見落とすことがあります。
コンタクトレンズを装用したまま手術をすると角膜損傷を起こす可能性があるので注意しなければなりません。
起こった状況
症例
くも膜下出血で緊急搬送された患者Aさん、緊急手術が決まりました。
準備中、意識低下が見られ呼吸回数も少なくなってきたので、担当看護師は急いで手術前準備をしましたが、コンタクトレンズの装用に気づかず、手術室に申し送りをしてしまいました。
手術室では、麻酔科医が瞳孔確認しましたが、急を要していたこともあり、コンタクトレンズに気づかず、そのまま手術となってしまいました。
術後、目の充血に気づき、コンタクトレンズの装用が発覚しました。
どうしてそうなった?
コンタクトレンズは外見からはわかりにくく、確認不足に陥る可能性があります。
術中は、目の乾燥を防ぐために専用テープを貼って目を閉じていますが、コンタクトレンズが目に張り付き、取り除く際に角膜に傷がつく可能性があります。
どう切り抜ける?
1 チェックリストを活用する
チェックリストの有効活用による効果はさまざまありますが、手術においてはWHOが発表した「安全な手術のためのガイドライン」が有名です。
その中で、チェックリストを活用することにより、見過ごされやすい些細な問題の確認、複雑なプロセスにおける最低限必要な手順の可視化、チームワークの向上などが明らかにされています1。
手術前に確認すべき項目は多数あり、すべてをチェックリスト化する煩雑さや導入後の形骸化など課題があることも事実ですが、有効性を考慮すれば取り入れる価値のほうが大きいのではないでしょうか。
また、医療の進化や時代のトレンドに応じて、確認項目も増えています。
そのつど、現場や問題に即したチェックリストを更新していくことが結果的に患者安全につながり、業務効率の向上も期待されます。
2 複数人で確認する
緊急手術が決まったときや患者さんが急変したときは、どうしてよいかわからなくなったり焦ってしまったりすることがあります。
特に、手術前準備はタスクが多いことから、普段行えていることができなくなることがあります。
そのような状況に陥ることを前提に、担当看護師だけでなく、同じ部署の仲間や部署を超えた他職種も協力して、複数人で確認することが重要です。

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1) 日本麻酔科学会監訳:WHO 安全な手術のためのガイドライン2009:101-102.
2) 山浦健:手術室における医療安全 手術室におけるインシデントーチェックリスト導入後の事例から学ぶー.日本臨床麻酔学会誌 2017;37(1):76-80.
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社



