最終更新日 2023/09/27

pH

pHとは・・・

pH(ぴーえっち、potential of hydrogen)とは、その液体が酸性なのか、アルカリ性なのかを表す水素イオン濃度の指標である。血液中のpHに影響するのは、肺の機能を反映する動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)と腎臓の機能を反映する重炭酸イオン(HCO3)である。医療分野においては、特に血液中の水素イオン濃度を指す。

 

【基準値】
pHの値は通常1~14で、pH7は中性を表す。それより低い場合を酸性、高い場合をアルカリ性という。
血液検査としての基準値は7.35~7.45である。

 

pHは以下の式で表される。
pH= ーlog[H+

 

【アシドーシスとアルカローシス】
pHが低下した(酸性に近づいた)状態をアシデミア、上昇した(アルカリ性に近づいた)状態をアルカレミアという。
また、pHを低下させる病態が存在することをアシドーシス、上昇させる病態が存在することをアルカローシスという(図1)。

 

図1アシドーシス、アルカローシス

アシドーシス、アルカローシス

 

人間の身体は傾いたpHを代償しようとする働きがある。そのため、アシドーシスが存在すると代償性にアルカローシスの機構が働き、アルカローシスが存在すると代償性にアシドーシスの機構が働くといった具合に、常にpHを基準値付近に保とうとする。

 

アシドーシス、アルカローシスには呼吸不全が原因で起こる呼吸性と、腎臓や消化器の障害で起こる代謝性とがある。

 

なお、pHがアシデミア、アルカレミアのどちらかに傾いている場合は、変化が急性で代償機構がまだ働いていない可能性や、変化が重篤なため身体が代償できなくなっている可能性などを考慮しなければならない。

 

それぞれの代表的な病態の一例は以下の通り。
・代謝性アシドーシス
下痢腎不全乳酸アシドーシス(敗血症などで全身状態が悪化した場合もここに含まれることが多い)など
・代謝性アルカローシス
嘔吐、利尿薬、脱水、クロライド不応症など
・呼吸性アシドーシス
低換気状態など
・呼吸性アルカローシス
過換気、低酸素血症、発熱など

 

 

【引用参考文献】
1)丸山一男.酸塩基平衡の考えかた―故きを・温ねて・Stewart.南江堂.2019,p278.

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