最終更新日 2018/04/16

異常呼吸パターン

異常呼吸パターンとは・・・

異常呼吸パターン(いじょうこきゅうぱたーん、abnormal breath pattern)は、1)呼吸回数の異常2)呼吸の深さの異常3)呼吸リズムの異常4)呼吸様式の異常に分けられる。成人の正常呼吸は、呼吸数が1分間あたり12~20回、1回換気量400~500mLで、ほぼ規則正しいリズムでされる。

1)呼吸回数の異常

頻呼吸

呼吸回数が1分間あたり24回以上となり、一回換気量が低下することが多い。いわゆる「ハカハカ」ないしは「ハーハー」している状態で、低酸素をきたす呼吸疾患でみられるが、不安など心理的な状態の変化でも起こる。

・徐呼吸

呼吸回数が1分間あたり12回以下のゆっくりした呼吸で、通常1回換気量は維持されている。頭蓋内圧亢進や麻酔時、睡眠薬服用時などにみられる。

・無呼吸

呼吸が一時的に10秒以上停止する状態で、睡眠時無呼吸症候群が知られている。

2)呼吸の深さの異常

過呼吸(過換気)

呼吸数の増加とともに、1回の換気量が増えた状態、いわゆる深呼吸のような呼吸で、激しい運動の後に見られる過呼吸や精神的不安定などにより誘発される過換気症候群が知られている。

・低呼吸(低換気)

1回換気量が低下した状態、睡眠時などにもみられることがある。呼吸中枢が抑制されて生じる中枢性肺胞低換気症候群が知られている。死期が迫った際にも呼吸回数が低下するとともに、換気量が低下した浅い呼吸になることがしばしばみられる。

3)呼吸リズムの異常

・周期的呼吸リズム異常

チェーンストークス呼吸のように無呼吸と漸増漸減型呼吸(ゆっくり浅い呼吸とゆっくり深い呼吸を繰り返すこと)を周期的に繰り返す。

・不規則な呼吸リズム異常

ビオー呼吸のように頻呼吸と無呼吸を不規則に繰り返す。

4)呼吸様式の異常

・奇異呼吸

正常の呼吸運動とは逆に、吸気時に胸壁が陥没し、呼気時に膨隆(ぼうりゅう)する呼吸のことで胸部外傷の際にみられることが多い。

努力呼吸

吸気時に頸鎖乳突筋などの補助呼吸筋を用いたり、呼気時に内肋間筋や腹筋を収縮させたり、安静呼吸では使わない呼吸筋を動員して行う呼吸をいう。健常者における安静呼吸は横隔膜や外肋間などの吸気筋の収縮と弛緩によって行われている。

・起座呼吸

努力呼吸を必要とする病態で、臥位に比べて座位で呼吸が楽な状態をいう。これは座位のほうが胸郭の伸展や横隔膜の運動がよりしやすくなるためである。気管支喘息発作時や心不全や肺うっ血などでみられることが多い。

執筆: 﨑尾浩由

那須赤十字病院 第二内科部長

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