最終更新日 2018/01/09

間質性肺炎

間質性肺炎とは・・・

間質性肺炎(かんしつせいはいえん、interstitial pneumonia)とは、肺の間質に炎症を起こす疾患である。

進行して線維化を生じ、肺が硬くなり膨らみにくくなることで拘束性換気障害(肺活量が予測値の80%未満に低下)をもたらす。また、毛細血管と肺胞の間が肥厚することでガス交換能(拡散能)が低下する。さらに進行すると、肺の血流障害が生じ、心臓に負担がかかり心不全を引き起こす。

【症状】
症状は、肺が硬くなり膨らみにくいことから呼吸困難を自覚し、慢性刺激により乾性咳嗽がもたらされる。呼吸音は特徴的で、呼気時閉塞した細い気道が吸気により再開放する際に生じる振動が音源になり吸気時のパチパチというfine crackleがある。髪を捻る(ねじる)時の音に似ているため捻髪音と呼ばれたり、マジックテープ®を剥がした時の音に似ているため欧米で同種の商品として有名なVelcro®からとってVelcroラ音と呼ばれたりする。また、間質性肺炎は膠原病に合併することが多く、膠原病の症状として関節の腫脹や疼痛、皮膚病変などを認めることがある。

【検査・診断】
胸部X線写真や胸部CTでは病変部はスリガラス様陰影を呈する。これは病変部の線維化によってもたらされるもので、進行すると蜂巣肺を認めるようになる。呼吸機能検査では肺活量の低下、拡散能の低下が認められる。血液検査ではLDH、SP-D、SP-A、KL-6が上昇することが多い。

以前は、確定診断に病理検査が必要であり、肺の生検の侵襲から間質性肺炎の急性増悪を引き起こすことがあった。最近は、画像診断の発展により、画像所見、臨床経過、身体所見から診断することが可能となり、生検を行うことは少なくなった。

【治療】
治療は、炎症を抑制する副腎皮質ステロイド免疫抑制薬、線維化を抑制する薬物の投与を行い、低酸素血症があれば酸素の投与を行う。間質性肺炎が急速に進行することがあり、急性増悪と呼ばれ、副腎皮質ステロイドの大量療法や人工呼吸器管理を要することがある。また、肺移植の適応にもなり得る。

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