帯状疱疹|ウイルス感染症③

『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』(南江堂)より転載。
今回は帯状疱疹について解説します。

 

渡辺大輔
愛知医科大学皮膚科学講座

 

 

Minimum Essentials

1水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化によって起こる皮膚疾患である。

2身体の片側の支配神経領域に、痛みを伴う浮腫性の紅斑、水疱が出現する。

3治療は抗ヘルペスウイルス薬の全身投与が基本である。急性、慢性の痛みに対しては種々の疼痛治療薬を用いる。

4皮膚症状は1~2週間で痂皮化し治癒する。疼痛も1ヵ月以内で消失することが多いが、一部の症例では長期にわたり痛みが持続する(帯状疱疹後神経痛)。

 

帯状疱疹とは

定義・概念

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化により生じる、痛みを伴う皮膚疾患である。

 

原因・病態

VZVは初感染で水痘を発症させる。その後、知覚神経節やその周囲に潜伏感染していたVZVが、老化やストレス、免疫力低下などの原因により再活性化すると、ウイルスは知覚神経を末梢に向かって移動し、神経炎症とともに皮膚病変を発症させる。

 

50歳以上になると帯状疱疹の発症率は上昇する。

 

 

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診断へのアプローチ

臨床症状・臨床所見

発疹の出る数日~1週間前より体の片側に疼痛や知覚異常が生じ、やがて同部位に浮腫性紅斑、水疱が出現する。水疱の大きさは粟粒大から小豆大で、中心臍窩を有する(図1図2)。

 

図1 帯状疱疹(顔面)

帯状疱疹(顔面)

 

図2 帯状疱疹(体幹部)

帯状疱疹(体幹部)

 

水疱はやがて膿疱となったあと、1~2週間で痂皮化し治癒する。重症の場合、びらんや潰瘍を形成する。

 

検査

特徴的な臨床症状、経過から典型例では臨床診断可能である。水疱部位のウイルス感染細胞をギムザ染色で観察(ツァンク試験)もしくは抗VZV抗体を用いた蛍光抗体法を用いて単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症との鑑別をする。

 

 

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治療ならびに看護の役割

治療

おもな治療法

治療の基本は、抗ヘルペスウイルス薬の早期全身投与である。重症例では、入院したうえで抗ヘルペスウイルス薬の点滴を行う。抗ヘルペスウイルス薬を発症後早期(皮疹出現後72時間以内)から投与することにより、疼痛の軽減や治癒までの期間の短縮が図れる。

 

急性期の疼痛に関しては、非オピオイド系の鎮痛薬を使用する。高齢者では非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)ではなく、アセトアミノフェンが推奨される。

 

50歳以上の免疫能正常者に対して、帯状疱疹発症予防の目的で水痘ワクチンの接種が任意で認められている。

 

合併症とその治療法

頭頸部の帯状疱疹では、眼科的、耳鼻科的合併症〔ハント(Hunt)症候群〕や脳炎を合併することがあるため、早めに徴候を見つけて各科と協力のうえ治療する。

 

抗ヘルペスウイルス薬は腎排泄型の薬剤であり、過量投与により急性腎不全、またせん妄や失見当識といった中枢神経の副作用をきたすことがあるため、高齢者や腎機能障害患者、透析患者では腎機能に応じて適切な減量を行う。

 

皮疹出現後3ヵ月以上経過しても痛みが残る状態を、帯状疱疹後神経痛(Postherpetic neuralgia:PHN)という。PHNに対しては鎮痛補助薬やオピオイドなどを使用する。一般に高齢者では疼痛が強く、PHNを発症しやすい。

 

ハント症候群

水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化による介周囲の帯状疱疹、顔面神経麻痺、耳鳴・難聴・めまいなどの第8脳神経症状を3主徴とする疾患である。

 

治療経過・期間の見通しと予後

1~2週間で皮疹は痂皮化し治癒する。疼痛は1ヵ月以内で治まることが多いが、PHNを発症すると年余にわたり痛みが持続し、患者のQOLを障害する。

 

看護の役割

治療における看護

高齢者の体力低下時に発症することが多いため、安静を指導する。

 

汎発疹(帯状の皮疹部位以外にも水疱が多発している状態)がある場合は、水痘と同様にウイルス血症を起こしており、空気感染で他者へ感染させる可能性があるため個室管理(空気感染予防策)が必要となる。

 

水疱が破れたびらん面から細菌感染を起こさないよう、患部には抗菌薬の外用を1日1回行い、清潔にする必要がある。

 

発疹が出ている時期に水痘未感染者やワクチン未接種児と接触すると、水痘を発症させてしまう危険性があるので、接触を避けるよう指導する。

 

フォローアップ

疼痛に対しては、冷却するよりも温めたほうが軽減するため、入浴やカイロの使用を勧める。PHNになってしまった場合は、疼痛が長期間にわたるため、心理的なケアも重要となる。

 

 

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本連載は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『皮膚科エキスパートナーシング 改訂第2版』 編集/瀧川雅浩ほか/2018年4月刊行/ 南江堂

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