食事介助中にチアノーゼが出現した!

『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、窒息の可能性があると判断したが、どう対応すればよいかわからない場合について解説します。

後藤 順一

河北総合病院看護部
急性・重症患者看護専門看護師

 

 

 

患者が窒息の可能性があると判断した看護師が、どう対応すればよいかわからない様子のイラスト

 

ピンチを切り抜ける鉄則

窒息を防ぐ最大のポイントは、窒息を起こす可能性を事前に察知し、注意していくことです。
患者さんの意識状態にムラがあったり、覚醒が悪い、嚥下機能が落ちてきたなど、日頃から評価していることによってそのときの変化に気づくことで、窒息の危険性はかなり少なくなります。

 

POINT
  • 嚥下機能に問題がある患者さんや、治療上長期間の禁食が行われた患者さんなど、経口での食事摂取に問題を抱える患者さんは多くいます。
    このような患者さんが食事を開始する場合、「誤飲」は特に注意しなければいけません。

 

 

起こった状況

症例

患者Aさん。肺炎で入院中。2日前より食事が開始されました。
食事は常食を摂取しています。嚥下機能は問題ありませんが、肺炎による咳嗽がまだ続いており、時折咳き込むことがあります。

 

朝食中、パンを咀嚼している最中に咳嗽があり、息を吸った瞬間に苦しみ出しました。
そこに居合わせた看護師がAさんの容態の変化に気づきましたが、どう対応すればよいのかわからずにオロオロしています。

 

 

どうしてそうなった?

異物の誤飲は、上気道(特に咽頭・喉頭部)に異物が詰まったことで、気道が狭窄または閉塞した状態です。
気道が狭窄・閉塞するため、呼吸による空気の流入が妨げられます。
そのため、患者さんは強い呼吸困難を自覚し、酸素化が障害され、早期に気道を開通する処置を施さなければ生命が危険な状況になります。

 

 

どう切り抜ける?

1 窒息を疑わせる症状を確認する

窒息時には一般的に、喉を抑えるしぐさである「チョーキングサイン」(universal choking sign)(図1)をとることが知られています。

 

図1チョーキングサイン

チョーキングサインのイラスト

 

しかし、すべての患者さんが窒息を起こしたとき同様のサインを示すとは限らず、なかには何も表現しないでぐったりとしている患者さんもいます。
そのため、患者さんの呼吸様式、呼吸音、顔や手指の色調などからも瞬時にアセスメントを行うことが重要です。

 

2 異物の狭窄・閉塞の程度を確認する

気道に異物が入ったとき、気道を完全に閉塞した場合を「完全閉塞」といい、部分的に閉塞した場合を「不完全閉塞」といいます。

 

まず、患者さんは会話が可能かを確認します。
もし会話が可能であれば、気道が完全に閉塞していないことを意味し、会話が不可能であれば気道の完全閉塞の可能性もあるため、早急な対応が必要となります。

 

完全閉塞では気道が閉塞されているため、呼吸をしようとすることで横隔膜は下がり腹部は膨らみますが、気道が閉塞しているため空気が肺には入らず、胸郭は膨らまず腹部の動きとは逆に胸は下がるような呼吸様式、いわゆる「シーソー呼吸」(図2)となります。

 

図2シーソー呼吸

シーソー呼吸のイラスト

 

上気道閉塞

呼気時に胸部がへこみ、腹壁が膨らむ。

 

呼吸筋疲労

呼吸時に腹部がへこみ、胸部が膨らむ。

 

不完全閉塞では上気道狭窄の場合には吸気時に気道狭窄音(Stridor)が聴取される場合があります。
また、左右どちらかの片側の気管に異物が入った場合には、異物が入った側の肺は呼吸の動きは減少または消失します。

 

3 意識レベルの把握

気道の閉塞による窒息が予測された場合、患者さんの意識レベルの低下があれば、への酸素供給量が低下していることが予測されるため、早急に心肺蘇生が必要となります。
そのため、気道が狭窄・閉塞した際には、救急カートやAEDなどの蘇生対応を迅速に進めておく必要があります。

 

4 窒息は救急対応におけるAの異常

誤嚥などにおける窒息は救急対応ABCにおけるA(air way)の異常です。
そのためAが確保されなければ、数分後にはB(breathing)、C(circulation)ともに機能が低下しはじめ患者は死亡します。
つまり、気道が確保できるまでの時間経過が患者さんの生命予後を左右するのです。


そこで、窒息を疑わせる患者さんを発見したときには、すぐに応援を要請し救命対応できる環境作りが必要です。
血圧やSpO2の測定ができず何度も測定しなおしたりする猶予はない状態です。
つまり、皮膚の色調や湿潤、橈骨・頸動脈などの脈圧などによるフィジカルアセスメントにより緊急事態であることを判断することが患者救命の第一歩です。

 

5 窒息解除の方法

窒息解除には「腹部突き上げ法(図3)」と「背部叩打法(図4)」の2種類があります。

 

図3腹部突き上げ法

腹部突き上げ法を表したイラスト

腹部突き上げ法(※妊婦や乳児には行えません)

1患者さんの後ろに回り、ウエスト付近に手を回します。

2一方の手で「へそ」の位置を確認します。

3もう一方の手で握りこぶしを作って、親指側を、患者さんの「へそ」の上方で、みぞおちより十分下方に当てます。

4「へそ」を確認した手で握りこぶしを握り、すばやく手前上方に向かって圧迫するように突き上げます。

5腹部突き上げ法を実施した場合は、腹部の内臓を傷める可能性があるため、救急隊にその旨を伝えるか、速やかに医師の診察を受けさせてください。

 

 

図4背部叩打法

背部叩打法を表したイラスト

背部叩打法(はいぶこうだほう)

  • 患者さんの後ろから、手のひらの基部で、左右の肩甲骨の中間当たりを力強く何度も叩きます。
  • 妊婦や乳児では、腹部突き上げ法は行いません。背部叩打法のみ行います。

 

窒息の際に吸引が第一の選択として行われる場合がありますが、この際に注意する点は、食事の形態により効果が変わることです。
ペースト食のように吸引により吸い上げやすい食事形態では効果的ですが、ペースト食は完全閉塞にはなりにくく、常食や刻み食などの場合の窒息での吸引は、気管に入った異物をさらに奥へ押し込む可能性があるため避けたほうがよいとされています。

 

咳嗽反射がある場合には、そのままを促すか喀出を試みます。

 

 

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本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社

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