経管栄養を投与しようとしたが滴下しない!カテーテルチップで押すと抵抗がある!
『看護のピンチ!』(照林社)より転載。
今回は、経管栄養を持続投与中、定期の内服薬を投与後カテーテルの閉塞を認めた場合について解説します。
福岡徳洲会病院 看護部
集中ケア認定看護師

ピンチを切り抜ける鉄則
チューブ閉塞を防ぐポイントは経管栄養開始時のリスク評価です。
チューブの特徴や、投与する栄養剤・内服薬の種類を把握することでチューブの閉塞を予測できます。
チューブ・栄養剤・薬剤から閉塞リスクを検討し状況に合わせて変更することが大切です。
- 経管栄養は、経鼻胃管や胃ろう・腸ろうから栄養剤を注入しますが、投与薬剤や栄養剤の成分・栄養剤投与に使用するカテーテルの構造の違いでカテーテルが閉塞します。
また、持続投与中はカテーテル先端で細菌が繁殖することによるカテーテルの閉塞に注意が必要です。
起こった状況
症例
患者Aさん、脳出血で入院中。
入院翌日より、排出チューブから経管栄養が開始されました。
入院5日目に誤嚥性肺炎を合併したため、経管栄養が間欠投与から半消化態栄養剤の微量持続投与に変更となりました。
看護師が栄養剤交換でチューブに通水しようとしたところ通らず、チューブが閉塞していることに気づきました。
どうしてそうなった?
そもそも排出チューブから経管栄養を行ったことがチューブ閉塞の原因となっています。
チューブの閉塞は、チューブの種類・経管栄養剤の内容と投与方法・内服薬の種類が原因として挙げられます。
経管栄養投与前には、現在使用しているチューブの種類、投与している経管栄養剤・内服薬がチューブを閉塞させるリスクがないか確認することが必要です。
どう切り抜ける?
1 チューブの種類と構造を理解する
チューブには、栄養チューブと排出チューブの2種類があります(図1)。
図1栄養チューブと排出チューブの特徴

栄養チューブは、栄養剤・水分・薬剤の投与を目的とするチューブです。
レビン型(単腔構造)で先端部は側孔型が多く、投与した栄養剤や水分が一定の速度で滴下します。
また、先端に栄養剤や水分が溜まらない構造になっています。
排出チューブは元来は体液・ガス・血液を消化管より排出する目的で使用します。
サンプ型(二重管構造)で排出孔は多孔となっているため、注入速度・圧力により多孔から多量に栄養剤が流出する場合があります。
また、チューブ先端に空洞があり、栄養剤や水分が溜まりチューブ閉塞のリスクが高いです。栄養剤を投与する際は、排出チューブからではなく、栄養チューブから投与することをお勧めします。
2 経管栄養剤の種類を確認する
栄養剤は、栄養や水分を豊富に含むため、細菌が繁殖しやすい状態です。
チューブ内に残った栄養剤は細菌が繁殖しpHが酸性に傾きます。
栄養剤が酸性に傾くと蛋白質の構造が変化しヨーグルトのように凝集することがあり、これを“カード化現象”といいます(図2)。
図2カード化によるチューブ閉塞の機序

一度チューブ内でカード化を起こすと、チューブの通りが悪くなり、カード化が上流へ進みチューブが閉塞します。
成分栄養剤や消化態栄養剤は蛋白質を含まないためカード化を起こしません。
蛋白質を含む半消化態栄養剤はカード化を起こすリスクが高く注意が必要です。
3 内服薬は投与前に簡易懸濁可能な薬剤か確認する
簡易懸濁とは、錠剤やカプセルを粉砕して粉状にせず、お湯(約55℃)に入れて溶かし、薬剤を崩壊・懸濁する方法です。
薬剤の形態を変化させずに投与でき、薬効の低下を防ぐなどの利点があります。
簡易懸濁困難な薬剤もあるため、院内の簡易懸濁薬剤リストなどを確認し、簡易懸濁困難であれば薬剤の変更や粉状にして処方するなどの工夫が必要です。
また、複数薬剤の懸濁や1包の量が多い薬剤は、別シリンジに分けると崩壊が容易になります。
4 フラッシングの回数は投与方法に合わせて変更する
チューブの汚染は、チューブ閉塞や感染の原因となります。
薬剤や栄養剤投与のたびに水でチューブ内を洗浄する必要があります。
栄養剤を間欠投与している場合は、投与の前後、微量持続投与の場合は4時間毎に20~30mLの温水を用いて十分に洗浄します。
10倍希釈酢酸や1%重曹水もカテーテル閉塞予防には有効とされています。
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1) 山元恵子ほか:写真でわかる経鼻栄養チューブの挿入と管理.インターメディカ,東京,2015:24-39. 72-75.
2) 日本静脈経腸栄養学会:静脈経腸栄養ガイドライン第3版.照林社,東京,2014:58-63.
本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。
[出典] 『看護のピンチ』 編集/道又元裕/2024年4月刊行/ 照林社


